[ゴーログ]年金:再び「年金脱退論」を唱える!
(前略)皆さん、こんにちは。木村剛です。それにしても、社会保険庁はヒドイお役所ですねぇ。私はこの際、緑資源機構と同じように、完全に解体すべきだと思います。
「えっ、社会保険庁を解体したら、私たちの年金はどうなるの?」と心配される方は多いのではないか、と思いますが、じつは私、前々から「年金脱退論」を主張し続けてきました。みんなが公的年金から脱退すれば、社会保険庁も要らなくなります。(後略)
・・・もうね、ツッコむ気力すら失せますな(汗)
他のエントリ(ココとかコレとか)を見ても、混乱を極めている現場を大所高所から面白可笑しくコキおろしているだけで、そこには、事態収拾に寄与しようという意思や、金融コンサルタントとしての知慮や知見は微塵も感じられない。
そもそも木村氏は、年金について偉そうに講釈垂れる前に、かつて自身が華々しく打ち上げておきながらその後すっかり廃屋状態の「公的年金タスクフォース」(←注:既に閉鎖)について未だ釈明すらしていない。せめて中間報告もしくはギブアップ宣言ぐらい表明したらどうだ。このまま自身の不作為を棚に上げているようでは、事務完遂能力の低さは木村氏も社会保険庁も五十歩百歩と揶揄されても致し方あるまい。

木村氏のご見解は、公的年金制度が積立方式なら成立する可能性がありそうに思います。けれども、現実に公的年金制度は賦課方式(政府も国会の質問主意書で公式に認めました)ですよね。
確かに、払っている人は脱退すれば、保険料負担からは逃げられるでしょう。けれども、今受け取っている人が制度から脱退するとは思えません。そうすると、今受け取っている人に支払うための財源を確保する必要が生じます。それは積立金か租税か国債(償還は租税)しかない筈ですが、積立金で足りなくなれば、現役世代に保険料のかわりに税金の請求書が届くだけでしょうから。
管理人様には、この様な事は自明でいらっしゃるのでしょう。木村氏におかれましては年金タスクフォースを通じてでも、この辺りの事はご理解いただけなかったのでしょうか?純粋に疑問です。
木村氏のブログ界における影響力は大きいだけに、氏の珍説を支持する輩が後を絶たないのもまた事実。困ったものです(汗)。
年金問題の本質は、現在騒がれている保険料履歴の不正確さは実は大した問題ではなく、「賦課方式であるのに、そうであることを曖昧にしていること」、つまり、積立方式ではないのに「毎月保険料を納めれば、老後は十分な年金を貰える」と国民を勘違いさせてきたことでしょう。しかし、現実には公的年金はDBでもDCでもない。
この問題は履歴を正常化しても解決しないので、今の若者が年金受給する段階になると、その時の人口構成や国家財政の状況によっては「あれっ?保険料は正確に納めている筈なのに、貰えるのはたったこれだけなの?」と気づく事態になる可能性も低くないものと思います。公的年金をアテにして老後資金を蓄えていない人も多いでしょう。
結局、制度として賦課方式とする限り、給付水準は時勢によって変化せざるを得ない。であれば、「年金も所得再分配の制度です」と宣言した上で、保険料は応能負担、給付は(保険料履歴に関係なく)一律とする、もしくは公的年金制度を段階的に廃止するしかないでしょう。足りない分は自己責任で頑張ってくださいねと事前に警告しておく。
そして、混乱期の今が、将来の年金をどうするかを再び議論する最高のタイミングではないかと思う訳です。
コメントありがとうございます。
仰せの通り、公的年金制度ができて40年以上経つにも関わらず、「賦課方式」「所得再分配」などの公的年金の基本原則がいまいち世間に認知されてないように思います。国家が運営するからこそ所得再分配が正当化されるわけでして。「拠出に見合った給付」というのは企業年金や個人年金の専売特許かと。