2016年12月10日

個人型確定拠出年金の通信教育ミシュラン2016

本年(2016年)5月に可決・成立した改正DC法の最大の目玉は、何といっても個人型確定拠出年金(個人型DC)の加入対象の拡大である。これまでDC制度の対象外だった公務員や専業主婦も対象となるなど、加入可能となる層(潜在マーケット)が、従来の約3,600万人から約6,700万人とほぼ倍増する。これを受けて、金融機関が運用商品ラインナップを拡充するなどの動きが早くも見受けられるほか、これまで個人型DCの普及にちっとも関心の無かった厚生労働省ですら、iDeCo(イデコ)という(事前に登録商標されていないか回避しまくった果ての)珍妙な愛称を付ける力の入れよう(汗)。

さて、今般の個人型DCの大幅拡充で算盤を弾いているのは、何も金融機関だけではない。金融機関向けの書籍・テキストを専門としている出版社もまた、金融機関向けの個人型DCに関する通信教育講座を相次いで立ち上げている。
そこで、先月からIdeCo担当となり多忙を極めているヘタレな当BLOG管理人が、今年の秋から年末にかけて開講が相次いでいる個人型DCの通信教育講座を4点ご紹介しよう。


◆個人型確定拠出年金の提案セールスに強くなる講座(近代セールス社)
個人型確定拠出年金の提案セールスに強くなる講座個人型確定拠出年金の提案セールスに強くなる講座

近代セールス社
2ヵ月 5,400円(税込)
3ヵ月 7,020円(税込)

老後資金づくりにおける確定拠出年金の重要性を踏まえた上で、確定拠出年金の仕組みを解説しているこの講座。中でも、税制優遇措置の重要性について1章まるまる割いているのは、なかなかの着眼点である。また、自営業者、公務員、専業主婦など、ターゲット別にポイントやトーク例を取り上げているのは、金融機関の職員にとっては実践的である。個人型DCの通信教育テキストとしては最高峰といっても過言ではない。文句なしに星5つ!
(★★★★★)


◆すぐわかる! iDeCo(個人型確定拠出年金)Q&A講座(きんざい)
すぐわかる! iDeCo(個人型確定拠出年金)Q&A講座すぐわかる! iDeCo(個人型確定拠出年金)Q&A講座

きんざい
2ヵ月 10,800円(税込)

金融機関向け専門出版社では最大手の金融財政事情研究会(きんざい)による通信教育講座。同社刊行の「DCプランナー教本」を彷彿とさせるQ&A形式に加えて2色刷りと、読み易さ・とっつき易さに配慮したレイアウトとなっている。しかし、読み物としては秀逸だが、通信教育のテキストとなるとQ&A形式はなかなか頭に入ってこないのがネック。また、今回紹介する通信講座の中では月単価が最高値というのも、マイナス金利の現状に喘ぐ金融機関としては採用すべきか迷うところ。
(★★★★☆)


◆改正確定拠出年金法対応〜iDeCo(イデコ)〜 個人型DC早わかり講座(銀行研修社)
改正確定拠出年金法対応〜iDeCo(イデコ)〜 個人型DC早わかり講座改正確定拠出年金法対応〜iDeCo(イデコ)〜 個人型DC早わかり講座

銀行研修社
2ヵ月 9,800円(税込)
3ヵ月 10,880円(税込)

こちらも金融機関向け専門出版社では老舗の部類に入る銀行研修社の通信教育講座。老舗だけあって、テキストのレイアウトも老舗を思わせるレトロなテイストを醸し出しているのはご愛敬か(汗)。内容については、2分冊のうち2冊目の「投資知識と個人型年金の提案」はそれなりに実践的な内容となっているが、残念ながら1冊目の「確定拠出年金の基礎知識」が無味乾燥かつ退屈な内容に堕している。推察するに、実務を知らない(or金融機関にいたが実務にさほど携わっていない)大学教授に書かせてしまったのが最大の敗因と思われる。
(★★★☆☆)


◆ここだけは押さえておきたい よくわかる確定拠出年金コース(ビジネス教育出版社)
ここだけは押さえておきたい よくわかる確定拠出年金コースここだけは押さえておきたい よくわかる確定拠出年金コース

ビジネス教育出版社
2ヵ月 5,650円(税込)
3ヵ月 7,350円(税込)

「年金制度における確定拠出年金の位置づけや改正のポイントを徹底理解!」という触れ込みに偽りなく、わが国の年金制度を取り巻く環境や、公的年金、私的年金、確定拠出年金の制度解説は充実している。ただし、資産運用・金融商品に関する記述は一切ない。一般向けの解説書ならそれでも良いかもしれないが、金融機関の職員をターゲットとした通信教育テキストとしては、顧客への推進・提案事例に関する解説が皆無というのは、ある意味致命的かもしれない。読み易い文体とレイアウトなだけに、購読層を意識した構成にすべきだった。
(★★☆☆☆)



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2016年06月12日

確定拠出年金の入門書ミシュラン2016

個人型確定拠出年金(個人型DC)の大幅拡充等を柱とした「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」が本年(2016年)5月24日に可決・成立し、翌6月3日に公布された(平成28年法律第66号)。
これを受けて、一部の金融機関では運用商品ラインナップの見直し・拡充など個人型DCの推進強化を図る動きが早くも見受けられるほか、書籍の世界においても、DCの入門書が相次いで刊行されている。
そこで、改正DC法成立の煽りを受けて業務多忙を極めているヘタレな当BLOG管理人に代わり、先月から今月にかけて刊行が相次いでいるDCの入門書を数点ご紹介しよう。


◆はじめての確定拠出年金投資(大江英樹著)
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大江 英樹

東洋経済新報社 2016-06-10
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野村證券でDCの運営管理業務に携わり、独立後は経済コラムニストとして活躍中の著者によるDCの入門書。同じ著者によるDC本には「自分で年金をつくる最高の方法」があるが、タイトルと内容のそぐわなさやレイアウトの素っ気なさが災いしてか、良書の割にはいまいちパッとしなかった感があった。
そんな前著の反省を踏まえてか、本書は初心者でも読み易くとっつき易いレイアウトに配慮している。また、この種の本を手にする読者が一番知りたがる「どこの金融機関が良いか」「何に投資すれば良いか」という正解の無い質問に対しても、逃げることなく著者なりの方向性を打ち出している点は好感が持てる。著者は、行動経済学関連の記事では「何言ってるんだこのオッサン!?」的な言動が散見されるものの、本書については著者のDCにおける実務経験がベースになっており、安心して読める。2016年上期の確定拠出年金の「入門書」としては早くも最高峰といっても過言ではない。


◆確定拠出年金の教科書(山崎元著)
確定拠出年金の教科書確定拠出年金の教科書
山崎 元

日本実業出版社 2016-06-09
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理知的だが歯に衣着せぬ物言いで資産運用業界のみならずマルトタレントとしても名を馳せている山崎元氏による入門書。氏のスタンスは「合理的な個人が合理的な判断を行えば由」という徹底した個人主義・実力主義に根ざしており、本書もそんな山崎イズムあふれる一冊となっているが、この「説明は以上。あとは自分で考えろ」というスタンスが、本書のような入門書・教科書では裏目に出てしまっている。
肝心のDCの解説にしても、著者自身にDCに関する確固たる知識や実務経験があるわけではないため、どこか上っ面。山崎氏の最近の著作は「手数料批判と銀行員・証券マン批判ばかり」との指摘もあるが、その時の歯切れの良さは本書からは微塵も感じられない。山崎師匠から直々に教えを乞いたいという「信者」から見れば星5つなのだろうが、それ以外の者からすると中途半端さは否めない。


◆図解 はじめての確定拠出年金(朝倉智也著)
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朝倉智也

学研プラス 2016-05-17
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投資信託の格付評価を生業とするモーニングスター社の社長による、確定拠出年金(DC)の入門書。前半は、DC制度のメリットやおすすめ金融機関について解説しているが、とにかく様々な業態(銀行・保険・証券・ネットetc)の運営管理機関を紹介しており、結局どれがオススメなのかは不明。投信評価会社ならではの全方位外交の様相を呈しているが、そうした事情を差し引いても「情報量」では類書の中ではピカイチ。
しかし、後半(というか本書の大半)は投資信託や運用スタイルの解説にページが割かれており、やはり著者の関心はDCよりも投資信託や資産運用にあるのだなあと感じる内容。まあ、それを隠そうともしない馬鹿正直さは逆に好感が持てるが(笑)。各トピックが見開き2ページでまとまっており拾い読み可能で、DCを利用しようと決めた者が具体的な情報収集に用いるには最適。良くも悪くも投信評価会社ならではの網羅性が特徴である。



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2015年01月29日

「確定拠出年金 ベストアンサー100」


前著刊行から7年、今度は「加入者」の視点から確定拠出年金を解説!

確定拠出年金 ベストアンサー100確定拠出年金 ベストアンサー100
みずほ銀行 年金営業部

きんざい 2014-10
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みずほグループによる確定拠出年金(DC)本といえば、「企業のための確定拠出年金」もなかなかの力作だったが、前著刊行から7年、今度は加入者の視点に立った解説書を著してきた。DCの直近の制度改正や市場情勢を反映しているのは勿論、従来の類書では手薄だった給付や税制に関する解説も充実しており、網羅性は高い。また、一問一答形式のレイアウトは、回答内容がベストアンサーかどうかはともかく(笑)、つまみ食い的にトピックを調べるには利便性が高い。およそDC業務に携わる業界関係者ならば、本書を手にして「わが社でもこんな本を出したかったのに・・・!」と半ば嫉妬せずにはいられないまとまりの良さ。DCに関する入門書のファーストチョイスとして、本書の地位は当面安泰であると言っても過言ではないだろうか。



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2008年07月26日

「DCプランナー教本」(全3冊)

通信教育テキストを市販化

DCプランナー教本 1DCプランナー教本1 わが国の年金・退職金制度
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DCプランナー2級試験対策用の通信教育「企業年金・退職金に強くなる講座」のテキスト(3冊セット)を分割・市販化したもの。市販化に向けて装丁を改めるでもなくまんま刊行するやっつけ仕事ぶりは賛否分かれるところだが、書店で気軽に入手できるようにしたのは宣伝面からも利便性の面からも賢明な戦略かもしれない。内容はテキストだけにオーソドックスかつ無難だが、章間の山崎元氏の辛口コラムが白眉。


DCプランナー教本 2DCプランナー教本2 確定拠出年金の仕組み
きんざいファイナンシャル・プランナーズ

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DCプランナー教本 3DCプランナー教本3 投資の知識とライフプランニング
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2008年03月15日

「個人型確定拠出年金Q&A」

個人型に特化しているわけではないが、入門書としては良質

個人型確定拠出年金Q&A(制度編)個人型確定拠出年金Q&A 50問50答(制度編)

商工会議所年金教育センター 2008-01

個人型確定拠出年金Q&A(運用編)個人型確定拠出年金Q&A 50問50答(運用編)

商工会議所年金教育センター 2008-01

DCプランナー(当BLOGでは「企業年金総合プランナー」とは称しないので悪しからず)資格の胴元である商工会議所年金教育センターから発刊された解説書。「過去に商工会議所が出してきた書籍や参考書の内容をQ&A形式に焼き直しただけ」「運用編なんて個人型に特化してないし」といった批判はあるが、記述自体はオーソドックスで、良質な入門書に仕上がっている。まあ、個人型DCに特化した書籍は珍しい(かつてはこんな駄本もあったが)だけに、マニアなら押さえておいて損はない。

また本書は、DCプランナーの力量を判断する試金石としても重宝する。本書と同程度かそれ以下のレベルの知識の披露で「エキスパートでござい」と嘯く自称プランナー氏には、速やかに三行半を叩きつけるべし。



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2007年05月22日

「企業のための確定拠出年金」

制度施行から5年間の試行錯誤を網羅

企業のための確定拠出年金企業のための確定拠出年金
みずほフィナンシャルグループ確定拠出年金研究会

東洋経済新報社 2007-05-11
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確定拠出年金に関する書籍と言えば、制度導入が叫ばれていた90年代末から2000年初頭は雨後のタケノコの如く刊行されていたものの、施行後はそれが嘘のように沈静化、今や毎年改訂されているのはDC資格関連の参考書・問題集だけという衰退ぶりなのはもはや知る人ぞ知るところ。
しかしそんな折、久々に歯応えのあるDC本が刊行された。本書は、実際に制度導入・運営を手掛けている金融機関によるものだけに、実務に裏打ちされた解説が特徴。内容的には過去の自社主催セミナーの資料を繋ぎ合わせただけとも言えなくもないが、こうした一連の形でまとめられたものはないだけに、資料としての利便性は却って高い。まさに制度施行から5年間の金融機関の試行錯誤を一冊に凝縮した内容。



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2005年12月26日

「企業年金コンサルタント養成講座」

"企業年金"コンサルタントとは大きく出たものよ

consultant企業年金コンサルタント養成講座

金融財政事情研究会

日商・金財が主催するDCプランナー試験の1級向け通信講座。6分冊+2別冊から成っており、計算すると1冊あたり約5,000円(汗)。
金融機関の並居る面々が執筆・編集しただけあって、金融機関サイドに都合の良い理論一辺倒かと思いきや、さに非ず。あの山崎元氏も編集に関わっており、「手数料は確実なマイナス要因だ」「仕組みを理解できない商品は買うな」等々、金融業界を敵に回して憚らない山崎イズム全開の内容となっている。読み物としてはなかなか面白い。

ただし、試験対策用としてはやや重装備な感がある。DCプランナー試験は4つの分野(A:公的・私的年金、B:確定拠出年金、C:投資、D:ライフプラン)から構成されているのに対し、当講座は6分冊。中身もA〜D分野の区分があいまいで、過去問をやってても該当事項を6冊の中から探すのに苦労した。また制度移行に関する記述が無駄に多く、この事項だけで2冊分は軽く水増しされている印象を受ける。試験ではせいぜい応用編で1問出る程度だろうに。
とはいえ、DC試験対策用の書籍なんてそもそも選択肢が少ないし、通信添削は試験傾向に即してイイ感じなことから、余裕資金のある向きは買っておいて損は無い。



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2005年12月05日

「日本版401k 導入・運営・活用のすべて」

立案当事者による貴重な証言の数々
日本版401k 導入・運営・活用のすべて日本版401k 導入・運営・活用のすべて
尾崎 俊雄

東洋経済新報社 2002-03
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著者は現役の厚生官僚で、確定拠出年金法(いわゆる日本版401k)の企画立案から施行まで携わった、いわばDC界の「生き字引き」。法令・通達等についての解説が詳細になされているのは勿論のこと、制度導入時における論点・根拠や検討経緯まで多岐に触れられているのは、やはり当事者ならでは。拠出限度額(36,000円や15,000円など)にもそれぞれ根拠があるって知ってた? 納得できるかどうかはともかくとして(汗)。

また、刊行当初はDC制度が創設されたばかりということもあり、類似の解説本が氾濫されてそれこそ玉石混合であったが、本書は制度のメリット・デメリット双方について触れられているなど、公平・公正という観点からもオススメ。法改正もあり刊行当初から事情は幾分変わったが、それでも古さを感じさせない骨太な造りとなっている。およそ退職金コンサルに関わる者であれば、是非一度目を通しておきたい一冊だ。




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posted by tonny_管理人 at 22:03 | Comment(0) | TrackBack(1)
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