◆企業年金(確定給付型)の受託概況(平成29年3月末現在)
■信託協会のリリース
■生保協会のリリース
■JA共済連のリリース
(注)上記3つのリリースはいずれも同じ内容。
上記によると、2017年3月末における企業年金(確定給付型)の受託概況は、厚生年金基金が基金数110件(前年度比▲146件)、加入員数139万人(前年度比▲115万人)、資産残高は19兆714億円(前年度比▲5兆1,356億円)となった。2014年4月より施行された改正厚生年金保険法による事実上の縮小・廃止措置を受けて、施行時点に存在した526基金のうちじつに8割が解散または代行変更を済ませた形だ。
一方、確定給付企業年金(DB)は、制度数13,540件(前年度比▲150件)、加入者数818万人(前年度比+23万人)、資産残高は59兆4,429億円(前年度比+1兆5,427億円)となった。制度数は適格退職年金への移行措置が終了した2011年度末以降5年連続の減少となったが、加入者数・資産額は前年に引き続き増加基調にある。
ところで、このプレスリリースを基にした記事が幾つか報じられていたが、中には、業界の実情をちっとも把握していない残念な記事も見られた。
企業年金、確定拠出型への移行進む (SankeiBiz)
信託協会、生命保険協会などが23日発表した企業の確定給付型の今年3月末の年金制度の資産残高は前年同月比4.4%減の78兆5144億円だった。一方、企業型の確定拠出年金は、9.9%増の10兆4794億円となり、確定給付年金からの移行が進んだ。
(2017/5/24 産経新聞)
上記の記事では、厚生年金基金と確定給付企業年金をひっくるめて「確定給付型」「確定給付年金」と明記し、トータルの資産残高が減少していると報じている。しかし、前述した通り、厚生年金基金の資産残高は減少している一方で、確定給付企業年金の資産残高は堅調なマーケットの恩恵を受けてむしろ増加基調にある。法令改正で縮小を余儀なくされている制度とそうでない制度を混同するのは、ミスリードも甚だしい。
また、上記の記事では、確定給付年金からの移行が進んだため確定拠出年金(企業型)の資産残高が増加したとある。しかし、出典元である「確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成29年3月末現在)」によると、2017年3月末時点における企業型DCの概況は、規約数5,236件(前年度比+356件)、資産額10兆4,794億円(前年度比+9,479億円)、加入者数592万人(前年度比+42万人)であった。企業型DCの普及は依然として右肩上がりだが、前述のDBの減少分を吸収しているとまでは言えない。
◆確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成29年3月末現在)
■信託協会のリリース
■生保協会のリリース
(注)上記2つのリリースはいずれも同じ内容。
<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2015/5/27): 企業年金の受託概況(2015年3月末)
