2017年05月26日

企業年金の概況(2017年3月末)

毎年5月下旬に公表される「企業年金の受託概況」が、今年も信託協会生保協会JA共済連の連名によりリリースされた。

 ◆企業年金(確定給付型)の受託概況(平成29年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
  ■JA共済連のリリース
 (注)上記3つのリリースはいずれも同じ内容。

上記によると、2017年3月末における企業年金(確定給付型)の受託概況は、厚生年金基金が基金数110件(前年度比▲146件)、加入員数139万人(前年度比▲115万人)、資産残高は19兆714億円(前年度比▲5兆1,356億円)となった。2014年4月より施行された改正厚生年金保険法による事実上の縮小・廃止措置を受けて、施行時点に存在した526基金のうちじつに8割が解散または代行変更を済ませた形だ。
一方、確定給付企業年金(DB)は、制度数13,540件(前年度比▲150件)、加入者数818万人(前年度比+23万人)、資産残高は59兆4,429億円(前年度比+1兆5,427億円)となった。制度数は適格退職年金への移行措置が終了した2011年度末以降5年連続の減少となったが、加入者数・資産額は前年に引き続き増加基調にある。

ところで、このプレスリリースを基にした記事が幾つか報じられていたが、中には、業界の実情をちっとも把握していない残念な記事も見られた。

企業年金、確定拠出型への移行進む (SankeiBiz)
信託協会、生命保険協会などが23日発表した企業の確定給付型の今年3月末の年金制度の資産残高は前年同月比4.4%減の78兆5144億円だった。一方、企業型の確定拠出年金は、9.9%増の10兆4794億円となり、確定給付年金からの移行が進んだ。
(2017/5/24 産経新聞)

上記の記事では、厚生年金基金と確定給付企業年金をひっくるめて「確定給付型」「確定給付年金」と明記し、トータルの資産残高が減少していると報じている。しかし、前述した通り、厚生年金基金の資産残高は減少している一方で、確定給付企業年金の資産残高は堅調なマーケットの恩恵を受けてむしろ増加基調にある。法令改正で縮小を余儀なくされている制度とそうでない制度を混同するのは、ミスリードも甚だしい。

また、上記の記事では、確定給付年金からの移行が進んだため確定拠出年金(企業型)の資産残高が増加したとある。しかし、出典元である「確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成29年3月末現在)」によると、2017年3月末時点における企業型DCの概況は、規約数5,236件(前年度比+356件)、資産額10兆4,794億円(前年度比+9,479億円)、加入者数592万人(前年度比+42万人)であった。企業型DCの普及は依然として右肩上がりだが、前述のDBの減少分を吸収しているとまでは言えない。

 ◆確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成29年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
 (注)上記2つのリリースはいずれも同じ内容。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2015/5/27): 企業年金の受託概況(2015年3月末)






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2016年03月29日

2016年度の企業年金の予定利率

厚生労働省は本日3月29日、厚生年金基金および確定給付企業年金の財政検証に用いる2016年度の利率を告示した(厚生労働省告示第110〜112号、年企発第0329第1号)。継続基準に用いる予定利率の下限は0.3%非継続基準に用いる利率は1.76%となり、予定利率が自由化された1997年以降では4年連続で史上最低水準を更新した。当該利率の根拠となる国債の応募者平均利回りは、財務省Webサイトの「国債入札カレンダー」から入手できる。

それにしても、ただでさえ金利水準は低下基調だったのに、今年に入りわが国でもマイナス金利政策(マイナス金利付き量的・質的金融緩和)が導入されたのを受けて、ひょっとすると将来、企業年金の予定利率もマイナスで告示・通知される時代が到来するのだろうか・・・?(汗)
なお、各企業年金制度における下限予定利率の推移は以下のとおり。

◆継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.0%   ──   10年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  3.4%   ──         
 1999年  2.9%   ──         
 2000年  2.4%   ──         
 2001年  2.0%   ──         
 2002年  1.2%  1.2%  5年平均または1年平均のいずれか小さい率
 2003年  1.2%  1.2%       
 2004年  0.9%  0.9%       
 2005年  1.3%  1.3%       
 2006年  1.2%  1.2%       
 2007年  1.3%  1.3%       
 2008年  1.4%  1.4%       
 2009年  1.5%  1.5%       
 2010年  1.3%  1.3%       
 2011年  1.1%  1.1%       
 2012年  1.1%  1.1%       
 2013年  0.8%  0.8%       
 2014年  0.7%  0.7%       
 2015年  0.5%  0.5%       
 2016年  0.3%  0.3%       



非継続基準については、利率そのものは告示等で定められているものの、2003年以降は、当該利率に0.8〜1.2の調整率を乗ずることが可能となっている。非継続利率の推移は以下のとおり。

◆非継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.75%   ──   20年国債応募者平均利回りの5年平均(小数点以下0.25揃え)
 1998年  4.00%   ──         
 1999年  3.50%   ──         
 2000年  3.00%   ──         
 2001年  2.75%   ──         
 2002年  2.50%  2.50%       
 2003年  2.23%  2.23%  (小数点以下0.25揃えを廃止)
 2004年  2.29%  2.29%  30年国債応募者平均利回りの5年平均
 2005年  2.20%  2.20%       
 2006年  2.17%  2.17%       
 2007年  2.20%  2.20%       
 2008年  2.27%  2.27%       
 2009年  2.44%  2.44%       
 2010年  2.38%  2.38%       
 2011年  2.32%  2.32%       
 2012年  2.24%  2.24%       
 2013年  2.13%  2.13%       
 2014年  2.00%  2.00%       
 2015年  1.90%  1.90%       
 2016年  1.76%  1.76%       



※参考資料
企業年金制度における各利率の設定基準(日本年金数理人会) (pdfファイル)
◆10年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 keizoku-rate2016.jpg
◆20年・30年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 hikeizoku-rate2016.jpg


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2014/3/21): 2014年度の企業年金の予定利率
The企業年金BLOG(2007/3/16): 企業年金の予定利率の算出根拠とは



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2015年05月27日

企業年金の概況(2015年3月末)

毎年5月下旬に公表される「企業年金の受託概況」が、今年も信託協会生保協会JA全共連の連名によりリリースされた。

 ◆企業年金(確定給付型)の受託概況(平成27年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
  ■JA全共連のリリース
 (注)上記3つのリリースはいずれも同じ内容。

上記によると、2015年3月末における企業年金(確定給付型)の受託概況は、厚生年金基金が基金数444件(前年度比▲87件)、加入員数363万人(前年度比▲55万人)、資産残高は31兆2,882(前年度比+3,581億円)となった。2014年4月より施行された改正厚生年金保険法(正式名称:公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律)を受け、じつに87もの基金が解散・代行返上したにもかかわらず、資産残高はむしろ微増している。
一方、確定給付企業年金(DB)は、制度数13,884件(前年度比▲394件)、加入者数782万人(前年度比▲6万人)と、3年連続で制度数・加入者数が減少という結果となった。資産残高は58兆4,636億円(前年度比+4兆8,515億円)と依然増加基調にあるが、これを「資産運用の効率化を企図した制度の集約」とみるか、「企業のDB離れ」とみるか、判断は分かれよう。

なお、運営管理機関連絡協議会、信託協会および生命保険協会の連名で同時に公表された「確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成27年3月末現在)」によると、2015年3月末時点における確定拠出年金(DC企業型)の状況は、規約数4,572件(前年度比+191件)、資産額7兆4,871億円(前年度比+1兆3,132億円)、加入者数507万人(前年度比+41万人)であった。DCは普及が依然として右肩上がりだが、前述のDBの減少分を吸収しているとまでは言えない。

 ◆確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成27年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
 (注)上記2つのリリースはいずれも同じ内容。

なお、現在国会提出されている「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」では、個人型DCの加入対象の拡大等が大きな柱となっている。数年後には、個人型DCの統計概況なんてものも公表されるようになるかもしれない。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2014/5/27): 企業年金の受託概況(2014年3月末)
The企業年金BLOG(2013/5/27): 企業年金の受託概況(2013年3月末)



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2015年04月30日

厚生年金基金の実質的廃止措置の施行から早1年

厚生年金基金制度の実質的廃止措置を盛り込んだ改正厚生年金保険法(正式名称:公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律)が2014年4月に施行されて早1年。その間、厚生年金基金はどのような選択(存続or廃止or他制度への移行)を行ってきたのだろうか? 改正法施行後の厚生年金基金の解散・代行返上の状況については、実は、厚生労働省ホームページでひっそりと公表(月次更新)されている。

まず、厚生年金基金の解散・代行返上数は、以下の通り。
◆解散・代行返上の状況(2014年度)
 20150430kaisan
2014年度に解散した基金数は74件で、うち特例解散措置を利用した基金は28件と全体の4割弱に留まった。ここ数年間の資産運用環境の好転を受けて基金財政が回復し、特例解散措置の利用条件である「代行割れ」状態を脱した基金が増加したことが要因と考えられる。

次に、解散方針または代行返上方針の決定状況は、以下の通り。
◆解散または代行返上の方針内諾済基金数(2014年度)
 20150430houshin.jpg
施行当初(2014年4月)の段階では、解散も代行返上も選択しない「方針未定」の基金が半数を占めていたが、時間の経過とともに方針を決定する基金が増加し、2015年3月末時点では、解散方針が280件(全体の63%)、代行返上が103件(同23%)、未定が61件(14%)となっている。

改正法の施行当初は、殆どの基金が解散・清算を選択するものと目されていたが、ここにきて、代行返上を選択する基金が増加していることは特筆に値する。代行返上は全ての加入事業所が揃って確定給付企業年金(DB)へ移行することを前提としており、総合設立基金ではハードルが高いとされている。また、解散を選択した基金には、確定拠出年金への移行」を選択した基金や、「清算後にDBを新規設立」する基金も一定程度含まれている。単に制度を廃止するよりも、他制度への移行による生き残りを模索している基金関係者は思いのほか多い。
こうした基金関係者の動きを、「自身の雇用(既得権益)を守るための私利私欲」とみるか「中小企業の老後所得保障を守るための使命感」とみるかは、人によって様々だろう。当BLOG管理人は、例え動機が不純であったとしても、また運用環境の好転という追い風に便乗したものであったとしても、その行為が結果的に社会に便益をもたらすのであれば、それはそれで意義があるのではないかと考える。


※参考資料
厚生年金基金の解散・代行返上の状況(厚生労働省) (pdfファイル)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2014/3/26): 政省令・告示・通知がようやく出たわけだが
The企業年金BLOG(2013/11/6): 歴史ある制度を葬るなら万全を期するべし!
The企業年金BLOG(2013/6/19): 厚生年金基金の改正法案が可決したわけだが



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2014年05月27日

企業年金の概況(2014年3月末)

毎年5月下旬に公表される「企業年金の受託概況」が、今年も信託協会生保協会JA全共連の連名によりリリースされた。

 ◆企業年金(確定給付型)の受託概況(平成26年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
  ■JA全共連のリリース
 (注)上記3つのリリースはいずれも同じ内容。

上記によると、2014年3月末における企業年金(確定給付型)の受託概況は、厚生年金基金が基金数531件(前年度比▲29件)、加入員数408万人(前年度比▲18万人)、資産残高は30兆9,301億円(前年度比+2兆409億円)となった。厚生年金基金の実質的廃止を目論んだ改正厚生年金保険法(正式名称:公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律)が昨年6月に可決・成立し、29基金が解散・代行返上したにもかかわらず、資産残高は直近2年間で4兆円増加した。アベノミクスさまさまか(汗)。

一方、確定給付企業年金(DB)は、前年度は制度数・加入者数とも初めて減少したが、2014年3月末は制度数14,278件(前年度比▲398件)、加入者数788万人(前年度比▲8万人)と、2年連続で制度数・加入者数が減少という結果となった。資産残高は53兆6,121億円(前年度比+3兆5,862億円)と依然増加基調にあるが、これを「資産運用の効率化を企図した制度の集約」とみるか、「単なるDB離れ」とみるか、判断は分かれよう。

なお、一昨年から運営管理機関連絡協議会、信託協会および生命保険協会の連名で公表が始まった「確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成26年3月末現在)」では、2014年3月末時点における確定拠出年金(DC企業型)の状況は、規約数4,381件(前年度比+160件)、資産額7兆4,871億円(前年度比7,261億円)、加入者数466万人(前年度比+23万人)であった。2012年1月から解禁されたマッチング拠出はDC導入・普及の起爆剤になると喧伝されたが、こちらも期待通りとまでは行っていない模様。

 ◆確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成26年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
 (注)上記2つのリリースはいずれも同じ内容。


最後に、毎年恒例の感想を述べて締めくくりとしたい。
確定給付と確定拠出でプレスリリースを分けるのは無意味だ!


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2013/5/27): 企業年金の受託概況(2013年3月末)



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2014年03月31日

2014年度の企業年金の予定利率

厚生労働省は本日3月31日、厚生年金基金および確定給付企業年金の財政検証に用いる2014年度の利率を告示した(厚生労働省告示第167〜169号、年企発第0331第1号)。継続基準に用いる予定利率の下限は0.7%非継続基準に用いる利率は2.00%となり、予定利率が自由化された1997年以降では史上最低の水準となった。当該利率の根拠となる国債の応募者平均利回りは、財務省Webサイトの「国債入札カレンダー」から入手できる。なお、各制度における下限予定利率の推移は以下のとおり。

◆継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.0%   ──  10年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  3.4%   ──        
 1999年  2.9%   ──        
 2000年  2.4%   ──        
 2001年  2.0%   ──        
 2002年  1.2%  1.2%  5年平均または1年平均のいずれか小さい率
 2003年  1.2%  1.2%       
 2004年  0.9%  0.9%       
 2005年  1.3%  1.3%       
 2006年  1.2%  1.2%       
 2007年  1.3%  1.3%       
 2008年  1.4%  1.4%       
 2009年  1.5%  1.5%       
 2010年  1.3%  1.3%       
 2011年  1.1%  1.1%       
 2012年  1.1%  1.1%       
 2013年  0.8%  0.8%       
 2014年  0.7%  0.7%       



非継続基準については、利率そのものは告示等で定められているものの、2003年以降は、当該利率に0.8〜1.2の調整率を乗ずることが可能となっている。非継続利率の推移は以下のとおり。

◆非継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.75%   ──  20年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  4.00%   ──  (小数点以下0.25揃え)
 1999年  3.50%   ──        
 2000年  3.00%   ──        
 2001年  2.75%   ──        
 2002年  2.50%  2.50%       
 2003年  2.23%  2.23%  (小数点以下0.25揃えを廃止)
 2004年  2.29%  2.29%  30年国債応募者平均利回りの5年平均
 2005年  2.20%  2.20%       
 2006年  2.17%  2.17%       
 2007年  2.20%  2.20%       
 2008年  2.27%  2.27%       
 2009年  2.44%  2.44%       
 2010年  2.38%  2.38%       
 2011年  2.32%  2.32%       
 2012年  2.24%  2.24%       
 2013年  2.13%  2.13%       
 2014年  2.00%  2.00%       



※参考資料
企業年金制度における各利率の設定基準(日本年金数理人会) (pdfファイル)
◆10年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 keizoku-rate2014.jpg
◆20年・30年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 hikeizoku-rate2014.jpg


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2013/3/21): 2013年度の企業年金の予定利率
The企業年金BLOG(2007/3/16): 企業年金の予定利率の算出根拠とは



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2013年12月27日

2014年の最低責任準備金の付利利率

厚生労働省は本日12月27日、厚生年金基金の最低責任準備金の算定に用いる2014年の利率を9.57%と告示した(厚生労働省告示第387号)。最低責任準備金に付与する利率は、厚生年金本体の実績に基づき設定されることとなっており、今回の利率は、2012年度における年金特別会計(厚生年金勘定)の積立金の運用実績に基づき定められたもの。なお、特例解散における最低責任準備金の分割納付に用いる利率も同日付で8.65%と告示された(厚生労働省告示第388号)。

厚生年金基金の代行部分の予定利率については、1999年9月までは一律5.5%という固定利率だったものの、1999年10月以降は、厚生年金本体の運用実績に準拠した変動利率を用いている。このとき、厚年基金の最低責任準備金の算定に用いる利率と厚生年金本体の実績利回りには最大1年9ヶ月の乖離(いわゆる「期ズレ」)が生じることが問題視されていたが、来年4月からの改正厚生年金保険法(正式名称:公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律)の施行により、厚生年金本体の運用実績利回りをそのまま使用することとなったため、期ズレも補正(解消)されることとなった。1999年以来毎年12月頃に公布されていたこの告示も、今年で見納めである。付利利率の推移は以下のとおり。


 <暦年>  <利率>
 1999年   4.66% ※10〜12月のみ
 2000年   4.15%
 2001年   3.62%
 2002年   3.22%
 2003年   1.99%
 2004年   0.21%
 2005年   4.91%
 2006年   2.73%
 2007年   6.82%
 2008年   3.10%
 2009年 ▲3.54%
 2010年 ▲6.83%
 2011年   7.54%
 2012年 ▲0.26%
 2013年   2.17%
 2014年   9.57%



<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2013/8/12): 2012年度公的年金決算からみる最低責任準備金の利回り
The企業年金BLOG(2009/10/1): 10月1日は「転がし計算の日」に決まってるだろ
The企業年金BLOG(2006/12/14): 代行部分の予定利率は5.5%に非ず



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2013年08月12日

2012年度公的年金決算からみる最低責任準備金の利回り

今月9日に発表された公的年金の2012年度収支決算によると、厚生年金本体(年金特別会計:厚生年金勘定)の運用利回りは9.57%前年度(2.17%)から大幅増となった。
厚生年金基金の代行部分の予定利率については、従来は一律5.5%という固定レートが用いられていたが、1999年10月以降は、厚生年金本体の運用利回り実績に準拠した利率を毎年洗い替えて用いることとされている。正式な数値は例年12月頃に厚労省より告示されるが、その根拠となる厚生年金の実績利回りは今回の決算発表に収録されているため、こちらを速報値に用いる業界人も多い。今回の発表により、2014年1〜12月(暦年ベース)の厚生年金基金の最低責任準備金(代行部分)に付利する利率も9.57%と告示される公算が大きい。
なお、厚年基金の最低責任準備金の算定に用いる利率は、上記のとおり厚生年金本体の実績利回りを基に決定されることから、最大1年9ヶ月の乖離(いわゆる「期ズレ」)が生じることが問題視されていたが、2009年度決算からは継続基準の財政検証および掛金計算において「調整金」を計上することにより期ズレを調整することが可能となっている。厚生年金本体の運用利回りおよび年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の修正総合収益率(市場運用分)の推移は以下のとおり。

 <年度>   <厚年> <GPIF(市場運用分)>
 1997年度   4.66%   7.15%
 1998年度   4.15%   2.80%
 1999年度   3.62%  10.94%
 2000年度   3.22%  ▲5.16%
 2001年度   1.99%  ▲2.48%
 2002年度   0.21%  ▲8.46%
 2003年度   4.91%  12.48%
 2004年度   2.73%   4.60%
 2005年度   6.82%  14.37%
 2006年度   3.10%   4.75%
 2007年度 ▲3.54%  ▲6.41%
 2008年度 ▲6.83% ▲10.03%
 2009年度   7.54%   9.55%
 2010年度 ▲0.26%  ▲0.57%
 2011年度   2.17%   2.47%
 2012年度   9.57%  11.33%



<参考資料>
厚生年金・国民年金の平成24年度収支決算の概要 (厚生労働省)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/12/14): 代行部分の予定利率は5.5%に非ず
The企業年金BLOG(2007/8/15): 公的年金決算から見る代行部分の予定利率の動向
The企業年金BLOG(2009/8/11): 08年度公的年金決算からみる代行部分の予定利率の動向
The企業年金BLOG(2010/8/24): 09年度公的年金決算からみる最低責任準備金の利回り
The企業年金BLOG(2011/8/15): 2010年度公的年金決算からみる最低責任準備金の利回り



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2013年05月27日

企業年金の概況(2013年3月末)

毎年5月下旬に公表される「企業年金の受託概況」が、今年も信託協会生保協会JA全共連の連名によりリリースされた。

 ◆企業年金(確定給付型)の受託概況(平成25年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
  ■JA全共連のリリース
 (注)上記3つのリリースはいずれも同じ内容。

上記によると、2013年3月末における企業年金(確定給付型)の受託概況は、厚生年金基金が基金数560件(前年度比▲17件)、加入員数426万人(前年度比▲14万人)、資産残高は28兆8,892億円(前年度比+1兆9,947億円)となった。基金数および加加入員数は引き続き減少傾向にあるものの、昨秋以降の円安・株高が幸いして資産残高は前年度比で約2兆円増加に転じた。もっとも、現在国会で審議されている改正法案が成立したら、またもや減少に転じるだろうが(汗)。
一方、2002年の制度施行以来、順調に普及してきた確定給付企業年金だが、2013年3月末時点では制度数14,991件(前年度比▲315件)、加入者数796万人(前年度比▲5万人)と、制度数・加入者数ともに初の減少となった。資産残高こそ50兆259億円(前年度比+4兆6,852億円)と続伸したが、適年移行という特需が無くなってからDBが伸び悩んでいる様が伺える。

また、昨年から運営管理機関連絡協議会、信託協会および生命保険協会の連名で公表が始まった「確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成25年3月末現在)」によると、2013年3月末時点における確定拠出年金(企業型)の状況は、規約数4,221件(前年度比+85件)、資産額6兆7,610億円(前年度比7,847億円)、加入者数443万人(前年度比+20万人)となった。しかし、当BLOG管理人は、昨年も同じ感想を述べたが、確定給付と確定拠出でリリースを分ける意味はあるのかね?(汗)

 ◆確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成25年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
 (注)上記2つのリリースはいずれも同じ内容。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2012/5/26): 企業年金の受託概況(2012年3月末)



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2013年03月21日

2013年度の企業年金の予定利率

厚生労働省は3月21日、厚生年金基金および確定給付企業年金の財政検証に用いる2013年度の利率を告示した(厚生労働省告示第51〜53号、年企発第0321第1号)。継続基準に用いる予定利率の下限は0.8%非継続基準に用いる利率は2.13%となり、予定利率が自由化された1997年以降では史上最低の水準となった。当該利率の根拠となる国債の応募者平均利回りは、財務省Webサイトの「国債入札カレンダー」から入手できる。なお、各制度における下限予定利率の推移は以下のとおり。

◆継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.0%   ──  10年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  3.4%   ──        
 1999年  2.9%   ──        
 2000年  2.4%   ──        
 2001年  2.0%   ──        
 2002年  1.2%  1.2%  5年平均または1年平均のいずれか小さい率
 2003年  1.2%  1.2%       
 2004年  0.9%  0.9%       
 2005年  1.3%  1.3%       
 2006年  1.2%  1.2%       
 2007年  1.3%  1.3%       
 2008年  1.4%  1.4%       
 2009年  1.5%  1.5%       
 2010年  1.3%  1.3%       
 2011年  1.1%  1.1%       
 2012年  1.1%  1.1%       
 2013年  0.8%  0.8%       



非継続基準については、利率そのものは告示等で定められているものの、2003年以降は、当該利率に0.8〜1.2の調整率を乗ずることが可能となっている。非継続利率の推移は以下のとおり。

◆非継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.75%   ──  20年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  4.00%   ──  (小数点以下0.25揃え)
 1999年  3.50%   ──        
 2000年  3.00%   ──        
 2001年  2.75%   ──        
 2002年  2.50%  2.50%       
 2003年  2.23%  2.23%  (小数点以下0.25揃えを廃止)
 2004年  2.29%  2.29%  30年国債応募者平均利回りの5年平均
 2005年  2.20%  2.20%       
 2006年  2.17%  2.17%       
 2007年  2.20%  2.20%       
 2008年  2.27%  2.27%       
 2009年  2.44%  2.44%       
 2010年  2.38%  2.38%       
 2011年  2.32%  2.32%       
 2012年  2.24%  2.24%       
 2013年  2.13%  2.13%       



※参考資料
企業年金制度における各利率の設定基準(日本年金数理人会) (pdfファイル)
◆10年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 keizoku-rate2013.jpg
◆20年・30年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 hikeizoku-rate2013.jpg


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2012/3/26): 2012年度の企業年金の予定利率
The企業年金BLOG(2007/3/16): 企業年金の予定利率の算出根拠とは



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2013年01月31日

2013年の最低責任準備金の利回り

遅れ馳せながら、本年も宜しくお願い致します。m(__)m

厚生労働省は昨年12月28日、厚生年金基金の最低責任準備金の算定に用いる2013年の利率を2.17%と告示した(厚生労働省告示第598号)。最低責任準備金に付与する利率は、厚生年金本体の実績に基づき設定されることとなっており、今回の利率は、2011年度における年金特別会計の厚生年金勘定にかかる積立金の運用実績に基づき定められたもの。なお、特例解散における最低責任準備金の分割納付に用いる利率も同日付で2.17%と告示された(厚生労働省告示第599号)。

厚生年金基金の代行部分の予定利率については、1999年9月までは一律5.5%という固定利率だったものの、1999年10月以降は、厚生年金本体の運用実績に準拠した変動利率を用いている。このとき、厚年基金の最低責任準備金の算定に用いる利率と厚生年金本体の実績利回りには最大1年9ヶ月の乖離(いわゆる「期ズレ」)が生じることが問題視されていたが、2009年度決算からは継続基準の財政検証および掛金計算において「調整金」を計上することにより期ズレを調整することが可能となっている。更に、現在開催中の「厚生年金基金制度に関する専門委員会」では、期ズレだけでなく0.875問題も解消した代行部分の完全中立化について議論されている。もっとも、この委員会での最大の争点は厚生年金基金の廃止だが(汗)。
最後に、1999年10月以降の付利利率の推移は以下のとおりである。


 <暦年>  <利率>
 1999年   4.66% ※10〜12月のみ
 2000年   4.15%
 2001年   3.62%
 2002年   3.22%
 2003年   1.99%
 2004年   0.21%
 2005年   4.91%
 2006年   2.73%
 2007年   6.82%
 2008年   3.10%
 2009年 ▲3.54%
 2010年 ▲6.83%
 2011年   7.54%
 2012年 ▲0.26%
 2013年   2.17%



<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/10/1): 10月1日は「転がし計算の日」に決まってるだろ
The企業年金BLOG(2006/12/14): 代行部分の予定利率は5.5%に非ず



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2012年05月26日

企業年金の概況(2012年3月末)

毎年5月下旬に公表される「企業年金の受託概況」が、今年も信託協会生保協会JA全共連の連名によりリリースされた。

 ◆企業年金(確定給付型)の受託概況(平成24年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
  ■JA全共連のリリース
 (注)上記3つのリリースはいずれも同じ内容。

上記によると、2012年3月末における企業年金(確定給付型)の受託概況は、厚生年金基金が制度数577件(前年度比▲18件)、加入者数440万人(前年度比▲11万人)、資産残高は26兆8,945億円(前年度比▲9,593億円)となった。AIJ問題によって年金資産が大きく毀損されたかの如き論調が蔓延しているが、統計を見た限りでは、年金資産の減少は制度減少によるものと捉えるのが妥当であろう。
一方、確定給付企業年金は、制度数14,991件(前年度比+4,941件)、加入者数801万人(前年度比+74万人)、資産残高は45兆3,407億円(前年度比+3兆3,686億円)となった。適年移行の最終年度ということもあり、駆け込み移行で制度数は約1.5倍に増加したものの、小規模制度が中心であるせいか資産規模の伸びは制度数ほどではなかった。なお、適格退職年金は本年3月末をもって廃止となったことから、今回より本統計の対象外となっている。

また、確定拠出年金制度の施行から10年が経過したこと等を受け、「確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成24年3月末現在)」が運営管理機関連絡協議会、信託協会および生命保険協会の連名で本年より公表されることとなった。2012年3月末時点における確定拠出年金(企業型)の状況は、規約数4,136件、資産額5兆9,763億円、加入者数423万人となった。しかし、確定給付と確定拠出でリリースを分ける意味はあるのかね?(汗)

 ◆確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成24年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
 (注)上記2つのリリースはいずれも同じ内容。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/5/25): 企業年金の受託概況(2011年3月末)



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2012年03月26日

2012年度の企業年金の予定利率

厚生労働省は3月26日、厚生年金基金および確定給付企業年金の財政検証に用いる2012年度の利率を告示した(厚生労働省告示第153〜155号、年企発第0326第1号)。継続基準に用いる予定利率の下限は1.1%、非継続基準に用いる利率は2.24%となった。企業年金の予定利率は1997年以降ほぼ自由化されており、上記の利率は例年3月頃に告示または通知される。当該利率の根拠となる国債の応募者平均利回りは、財務省Webサイトの「国債入札カレンダー」から入手できる。なお、各制度における下限予定利率の推移は以下のとおり。

◆継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.0%   ──  10年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  3.4%   ──        
 1999年  2.9%   ──        
 2000年  2.4%   ──        
 2001年  2.0%   ──        
 2002年  1.2%  1.2%  5年平均または1年平均のいずれか小さい率
 2003年  1.2%  1.2%       
 2004年  0.9%  0.9%       
 2005年  1.3%  1.3%       
 2006年  1.2%  1.2%       
 2007年  1.3%  1.3%       
 2008年  1.4%  1.4%       
 2009年  1.5%  1.5%       
 2010年  1.3%  1.3%       
 2011年  1.1%  1.1%       
 2012年  1.1%  1.1%       



非継続基準については、利率そのものは告示等で定められているものの、2003年以降は、当該利率に0.8〜1.2の調整率を乗ずることが可能となっている。非継続利率の推移は以下のとおり。

◆非継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.75%   ──  20年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  4.00%   ──  (小数点以下0.25揃え)
 1999年  3.50%   ──        
 2000年  3.00%   ──        
 2001年  2.75%   ──        
 2002年  2.50%  2.50%       
 2003年  2.23%  2.23%  (小数点以下0.25揃えを廃止)
 2004年  2.29%  2.29%  30年国債応募者平均利回りの5年平均
 2005年  2.20%  2.20%       
 2006年  2.17%  2.17%       
 2007年  2.20%  2.20%       
 2008年  2.27%  2.27%       
 2009年  2.44%  2.44%       
 2010年  2.38%  2.38%       
 2011年  2.32%  2.32%       
 2012年  2.24%  2.24%       



※参考資料
企業年金制度における各利率の設定基準(日本年金数理人会) (pdfファイル)
◆10年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 keizoku-rate2012.jpg
◆20年・30年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 hikeizoku-rate2012.jpg


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/3/30): 2011年度の企業年金の予定利率
The企業年金BLOG(2007/3/16): 企業年金の予定利率の算出根拠とは



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2012年02月16日

2011年12月末時点の適格退職年金は1,045件

本日、厚生労働省ホームページ内の適格退職年金制度の動向コーナーが更新され、適格退職年金は2011年12月末時点で契約件数1,045件、加入者数10.0万人であることが公表された。2011年9月末時点から3ヶ月で2,379件減少したことを考慮すると、廃止期限が到来する本年3月までにはほぼ対応が終了するであろう。
なお、上記とは別に、閉鎖適年は同時点で2,903件(受給者数:約2.72万人)となり、閉鎖適年が契約件数で上回る事態となった。
最後に、適年移行が始まった2002年以降の適年の推移は、以下のとおりである。

  <年月> <件数> <減少数>
  2002.3  73,582   ──
  2003.3  66,741 (▲6,841) 
  2004.3  59,162 (▲7,579) 
  2005.3  52,761 (▲6,401) 
  2006.3  45,090 (▲7,671) 
  2007.3  38,885 (▲6,205) 
  2008.3  32,826 (▲6,059) 
  2009.3  25,441 (▲7,385) 
  2010.3  17,184 (▲8,257) 
  2011.3   8,051 (▲9,133)
  2011.9   3,424 (▲4,627) ※半期ベース
  2011.12  1,045 (▲2,379) ※四半期ベース
  (注)遡及修正されているため、公表時の数値とは必ずしも一致しない。



<参考資料>
適格退職年金制度の動向 (厚生労働省)
適格退職年金契約関係 (国税庁)
適格退職年金移行支援 (企業年金連合会)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/12/21): 2011年9月末時点の適格退職年金は3,424件
The企業年金BLOG(2011/5/25): 企業年金の受託概況(2011年3月末)
The企業年金BLOG(2011/1/31): 簡素化と言っても「閉鎖適年」の話だけどね



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2011年12月21日

2011年9月末時点の適格退職年金は3,424件

今週に入り、厚生労働省ホームページ内の適格退職年金制度の動向コーナーがひっそりと更新され、適格退職年金は2011年9月末時点で契約件数3,424件、加入者数52万人であることが公表された。2011年3月末時点では契約件数8,051件、加入者数126万人だったことから、この半年間で契約件数・加入者数ともに半分以上減少した計算となる。なお、上記とは別に、閉鎖適年も2011年9月末時点で3,227件(受給者数:約3.36万人)存在している。
最後に、適年移行が始まった2002年以降の適年の推移は、以下のとおりである。

  <年月> <件数> <減少数>
  2002.3  73,582   ──
  2003.3  66,741 (▲6,841) 
  2004.3  59,162 (▲7,579) 
  2005.3  52,761 (▲6,401) 
  2006.3  45,090 (▲7,671) 
  2007.3  38,885 (▲6,205) 
  2008.3  32,826 (▲6,059) 
  2009.3  25,441 (▲7,385) 
  2010.3  17,184 (▲8,257) 
  2011.3   8,051 (▲9,133)
  2011.9   3,424 (▲4,627) ※半期ベース
  (注)遡及修正されているため、公表時の数値とは必ずしも一致しない。



<参考資料>
適格退職年金制度の動向 (厚生労働省)
適格退職年金契約関係 (国税庁)
適格退職年金移行支援 (企業年金連合会)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/5/25): 企業年金の受託概況(2011年3月末)
The企業年金BLOG(2011/1/31): 簡素化と言っても「閉鎖適年」の話だけどね



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2011年12月20日

2012年の最低責任準備金の利回り

厚生労働省は12月20日、厚生年金基金の最低責任準備金の算定に用いる2012年の利率をマイナス0.26%と告示した(厚生労働省告示第455号)。最低責任準備金に付与する利率は、厚生年金本体の実績に基づき設定されることとなっており、今回の利率は、2010年度における年金特別会計の厚生年金勘定にかかる積立金の運用実績に基づき定められたもの。なお、特例解散における最低責任準備金の分割納付に用いる利率も同日付で0%と告示された(厚生労働省告示第456号)。

厚生年金基金の代行部分の予定利率については、1999年9月までは一律5.5%という固定利率だったものの、1999年10月以降は、厚生年金本体の運用実績に準拠した変動利率を用いている。2012年の利率がマイナス0.26%となるであろうことは当BLOGでも既に報告済みである。このとき、厚年基金の最低責任準備金の算定に用いる利率と厚生年金本体の実績利回りには最大1年9ヶ月の乖離(いわゆる「期ズレ」)が生じることが問題視されていたが、2009年度決算からは継続基準の財政検証および掛金計算において「調整金」を計上することにより期ズレを調整することが可能となっているため、本告示の重要性はかつてほどではない。
最後に、1999年10月以降の付利利率の推移は以下のとおりである。


 <暦年>  <利率>
 1999年   4.66% ※10〜12月のみ
 2000年   4.15%
 2001年   3.62%
 2002年   3.22%
 2003年   1.99%
 2004年   0.21%
 2005年   4.91%
 2006年   2.73%
 2007年   6.82%
 2008年   3.10%
 2009年 ▲3.54%
 2010年 ▲6.83%
 2011年   7.54%
 2012年 ▲0.26%



<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/8/15): 公的年金決算からみる最低責任準備金の利回り(2010年度)
The企業年金BLOG(2009/10/1): 10月1日は「転がし計算の日」に決まってるだろ
The企業年金BLOG(2006/12/14): 代行部分の予定利率は5.5%に非ず



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2011年08月16日

公的年金決算からみる代行返上・離婚分割の動向(2010年度)

前回に引き続き、2010年度公的年金決算から企業年金(主に厚生年金基金)の動向を見ることとする。

厚生年金・国民年金の平成22年度収支決算の概要(厚生労働省) (pdfファイル)

上記資料の6ページおよび7ページには、年金特別会計(厚生年金勘定)の収支状況が掲載されている。歳入科目の中に「解散厚生年金基金等徴収金」とあるが、これは代行返上(過去返上)を行った厚生年金基金から徴収した最低責任準備金であり、いわゆる代行返上資産額のことを指す。返上金額および過去返上基金数の推移は以下のとおりである。2010年度は、過去返上基金数は8基金と増加したものの、返上額は93億円と前年度より大幅に減少している。これは、過去返上を行った8基金中7基金が、総資産に占める代行部分の比率が小さい(かつ資産規模も小さめな)単独連合型基金であるためと思われる。

  <年度>   <返上額>  <過去返上基金数>
 2003年度  3兆5364億円      203
 2004年度  5兆3855億円      438
 2005年度  3兆4568億円      121
 2006年度     6800億円       21
 2007年度     5552億円       20
 2008年度     3486億円        4
 2009年度     1905億円        6
 2010年度       93億円        8



また、離婚時の年金分割に伴う離婚分割移換金の動きを表す「厚生年金基金等徴収金」は46億円と、前年比4億円のマイナスとなっている。こちらも推移を以下にまとめてみた。

  <年度>  <厚生年金基金等徴収金>
 2007年度     0.17億円
 2008年度     30億円
 2009年度     50億円
 2010年度     46億円



<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/8/13): 公的年金決算から見る代行返上の動向
The企業年金BLOG(2009/8/13): 08年度公的年金決算からみる代行返上・離婚分割の動向
The企業年金BLOG(2010/8/25): 09年度公的年金決算からみる代行返上・離婚分割の動向



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2011年08月15日

2010年度公的年金決算からみる最低責任準備金の利回り

今月10日に発表された公的年金の2010年度収支決算によると、厚生年金本体(年金特別会計:厚生年金勘定)の運用利回りは▲0.26%2年ぶりにマイナスに転じた。
厚生年金基金の代行部分の予定利率については、従来は一律5.5%という固定レートが用いられていたが、1999年10月以降は、厚生年金本体の運用利回り実績に準拠した利率を毎年洗い替えて用いることとされている。正式な数値は例年12月頃に厚労省より告示されるが、その根拠となる厚生年金の実績利回りは今回の決算発表に収録されているため、こちらを速報値に用いる業界人も多い。今回の発表により、2012年1〜12月(暦年ベース)の厚生年金基金の最低責任準備金(代行部分)に付利する利率も▲0.26%と告示される公算が大きい。
なお、厚年基金の最低責任準備金の算定に用いる利率は、上記のとおり厚生年金本体の実績利回りを基に決定されることから、最大1年9ヶ月の乖離(いわゆる「期ズレ」)が生じることが問題視されていたが、2009年度決算からは継続基準の財政検証および掛金計算において「調整金」を計上することにより期ズレを調整することが可能となっている。厚生年金本体の運用利回りおよび年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の修正総合収益率(市場運用分)の推移は以下のとおり。

 <年度>   <厚年> <GPIF(市場運用分)>
 1997年度   4.66%   7.15%
 1998年度   4.15%   2.80%
 1999年度   3.62%  10.94%
 2000年度   3.22%  ▲5.16%
 2001年度   1.99%  ▲2.48%
 2002年度   0.21%  ▲8.46%
 2003年度   4.91%  12.48%
 2004年度   2.73%   4.60%
 2005年度   6.82%  14.37%
 2006年度   3.10%   4.75%
 2007年度 ▲3.54%  ▲6.41%
 2008年度 ▲6.83% ▲10.03%
 2009年度   7.54%   9.55%
 2010年度 ▲0.26%  ▲0.57%



<参考資料>
厚生年金・国民年金の平成22年度収支決算の概要 (厚生労働省)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/12/14): 代行部分の予定利率は5.5%に非ず
The企業年金BLOG(2007/8/15): 公的年金決算から見る代行部分の予定利率の動向
The企業年金BLOG(2009/8/11): 08年度公的年金決算からみる代行部分の予定利率の動向
The企業年金BLOG(2010/8/24): 09年度公的年金決算からみる最低責任準備金の利回り



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2011年06月30日

適年の基準利率、最後の改定

財務省は本日6月30日、法人税法施行規則の一部を改正する省令を公布した(財務省令第30号)。これにより、法人税法施行規則附則第5条第4項で規定する適格退職年金(適年)の基準利率(下限予定利率)は、予定通り1.1%に変更された。施行は6月30日からである。
上記の省令改正は、例年ならば年度末(3月末)までに行われるのが通例だが、今年は政局混乱の余波を受けてか、例年より3ヶ月遅れの公布となった。基準利率改定の遅延といえば、3年前の2008年も暫定税率問題の余波を受けて公布が1月遅れたことがある。

なお、適年の基準利率は、それまで年5.5%(法令上は「年5.0%以上」だったが、国税庁の行政指導により一律5.5%で固定されていた)とされていた予定利率が1997年に自由化されて以降毎年改定されていたが、適年が来年3月で廃止(正確には税制優遇の停止)となることから、基準利率の改定は今回が最後となる。


<参考資料>
◆平成23年6月30日財務省令第30号「法人税法施行規則の一部を改正する省令」
 ・冒   頭(Web官報より抜粋、p.187) (pdfファイル)
 ・該当部分(Web官報より抜粋、p.188下段) (pdfファイル)
 ・附   則(Web官報より抜粋、p.248) (pdfファイル)
企業年金制度における各利率の設定基準(日本年金数理人会) (pdfファイル)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/6/29): 消えゆく適格退職年金の名残を惜しむ
The企業年金BLOG(2011/3/30): 2011年度の企業年金の予定利率
The企業年金BLOG(2008/5/7): 適年の基準利率がようやく改定
The企業年金BLOG(2007/3/16): 企業年金の予定利率の算出根拠とは



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2011年05月25日

企業年金の受託概況(2011年3月末)

毎年5月下旬に公表される「企業年金の受託概況」が、今年も信託協会生保協会JA全共連の連名によりリリースされた。

 ◆企業年金の受託概況(平成23年3月末現在)
  20110525nenkin-jutaku2010.jpg

  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
  ■JA全共連のリリース
 (注)上記3つのリリースはいずれも同じ内容。

上記の3団体が公表している「企業年金の受託概況」では、厚生年金基金確定給付企業年金および適格退職年金という3つの給付建て(確定給付型)制度の状況が掲載されている。このうち前2制度については厚生労働省や企業年金連合会からも精緻な統計数値が公表されるが、適格退職年金に関する統計は、事実上この「企業年金の受託概況」でしか把握できない。しかも、適格退職年金は来年3月末を以って廃止(正確には税制優遇の停止)されることから、本統計で適格退職年金を取り扱うのは今回が最後である。

さて本題に入ろう。上記によると、適格退職年金は2011年3月末で契約件数8,051件(前年度比▲9,133件)、加入者数126万人(前年度比▲123万人)、資産残高は3兆998億円(前年度比▲3兆3,033億円)となった。契約総数は1万件の大台を下回り、来年(2012年)3月末に迫った移行期限に向けた駆け込みぶりがうかがえる。
また、確定給付企業年金は2011年3月末で10,050件1万件の大台を超えた一方で、厚生年金基金は595件と1969年(昭和44年)以来40年ぶりに600件を下回った。確定給付企業年金法・確定拠出年金法の制定から10年、時代は移り変わりつつあるということか(遠い目)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/5/28): 適格退職年金の2010年3月末の状況
The企業年金BLOG(2009/5/27): 適格退職年金の2009年3月末の状況
The企業年金BLOG(2008/5/30): 適格退職年金の2008年3月末の状況
The企業年金BLOG(2007/5/25): 適格退職年金の2007年3月末の状況
The企業年金BLOG(2006/5/26): 適格退職年金の2006年3月末の状況



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