「これなら自分でも出来そうだ!」と思わせる構成が秀逸
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巷に溢れる「自分年金」本は、ともすると「公的年金は信用できない→だから個人年金や投資信託で自助努力せよ」といった食傷気味のパターンばかり。これらの書籍の欠点は、自助努力だけで全て賄おうとする余り目標貯蓄額が法外な金額に膨んでしまい、結果として読者にとっては非現実的かつ非実践的なものとなってしまう事である。
本書は、読者の不安を煽るのではなく、不安を取り除くところに注力している点が異色。公的年金にしても、いきなり制度の否定に走るのではなく(制度廃止のリスクを侵す政治家・官僚は皆無)、将来の年金額を完全予想することは不可能にしても「最悪のケースでもこれ位は確実に貰える」金額を紐解くところから始めている。確かに、「これでは足りない」と不安を煽るよりも「これだけあれば足りる」と安心させる方が、日本人の貯蓄マインドに適っていると思う。
後半では、老後資金の準備手段として「変額保険(月払・終身)」「個人型確定拠出年金」の活用を提唱している。これも単純な比較論・技術論ではなく、ズボラな一般人でも手軽に長期投資・分散投資できるという観点から検討した結果であり、そこに至るまでに積み重ねられた数々の考察は深い。とりわけ「(変額"年金"ではなく変額"保険"を奨める理由として)変額年金は年金開始日時点の積立状況に左右される」という指摘には思わず唸った。
ともあれ、「(公的年金があてにならないから)1から100まで自分で頑張らねば!」というのと、「(公的年金は最悪でもこれ位は出るから)あとは足りない分だけ補おう!」というのでは、登山でいえばエベレストと富士山くらい心理的重圧が異なる。「老後」「年金」という後ろ向きなテーマにも関わらず、読んでいて前向きな気分にさせてくれる一冊である。
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