2008年04月23日

「投稿論文でキャリアを売り込め」

ツール(道具)としての論文執筆

投稿論文でキャリアを売り込め投稿論文でキャリアを売り込め
中野 雅至

日経BP社 2004-05
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先日のエントリに便乗して書籍の紹介をば。

論文執筆をテーマにした書籍というと、従来は書き方・作法に関するものが殆どであったが、キャリアアップのためのツールとして論文執筆を捉えたのはおそらく本書が初。論文執筆は、専門職大学院への通学や資格取得と同等かそれ以上の効果があるだけでなく、「名刺代わり」「履歴書代わり」果ては「遺言書代わり」にもなるという。名刺代わりというと一般的には出版をイメージしがちだが、サラリーマンが業務で培った実務知識を披露するための手段としては、出版よりも投稿論文の方が敷居が低くて効率的なのは言うまでもない。一見素っ頓狂な主張でいて実は確かな計算に裏打ちされており、しかも著者の実体験を伴っているだけに説得力大。一部には「著者の元キャリア官僚という特性に依る所が大きく、民間サラリーマンには応用不可能」との批判があるが、そんな事はない。

なお内容としては、前半が論文執筆の効用を説く精神論、後半は「大人のための勉強法」のダイジェスト版といった内容で、技術論にはあまり言及していない(汗)。書き方・作法については、他の書籍で補うか、もしくは習うより慣れろが得策。






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2007年06月25日

「世界にひとつしかない「黄金の人生設計」」

本書を鵜呑みにしない判断力が経済的自立への第一歩

世界にひとつしかない「黄金の人生設計」世界にひとつしかない「黄金の人生設計」
橘 玲、海外投資を楽しむ会

講談社 2003-11-21
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世に蔓延するマネーの常識に淡々と異議を唱えるゴミ投資家シリーズから派生した新シリーズ。著者のシニカルかつ冷静ぶった語り口は「悲観論は論者を知的に見せる」の格言通り、読んでいて自分がさも"勝ち組"の側にいるような錯覚を感じてしまうが、ここで鵜呑みは禁物。著者は旧来の持ち家神話・生命保険神話を高度成長(=インフレ期)時代の遺物と切り捨てるが、著者の主張にしたって逆の見方をすればデフレ期を前提とした決め付けと言えなくもない。後半になると、「サラリーマンは搾取される可哀想な人種」とばかりに、年金や保険制度の不備を役人批判を交えつつ断言口調で書いているものの、これも論理の飛躍が随所に散見される。例えば「厚生年金基金は絶対上手く行きっこない」と断言している箇所だが、確かに一昔前は予定利率は5.5%で固定されていたが、現在は(つうか本書の刊行時には既に!)予定利率は自由化されており、本書の批判は当たらない。
思うに、著者は他人よりも秀でているが故に、(富裕層から貧困層への所得移転を伴う)社会保障制度などは自身の所得減少要因としか目に写らないのだろう。でもこれって、強者の論理というか、自分さえ良ければいいという下品な金持ちの発想というか、もっともらしい理由を付けて給食費の支払いを拒むバカ親と同じ思考回路では。そりゃ学級崩壊も増えるわな(汗)。著者は言動こそcoolを装っているものの、そのスタンスというか立ち位置はちっともcoolに非ず。

全般的にマネー勉強のきっかけとしては面白い読み物だとは思うが、本書を鵜呑みにして「公的年金はねずみ講」「法人になって経済的自由をGET」などとしたり顔で語っているようでは、経済的自立など覚束ないことだけは確か。本書の内容すら疑ってかかる判断力・洞察力こそ経済的自立への第一歩である。



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2007年03月09日

「国内MBA 無敵の合格戦略」

受験対策としては前著より実践的

国内MBA 無敵の合格戦略ウインドミル飯野の国内MBA無敵の合格戦略
飯野 一

中央経済社 2005-06
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前著「国内MBA 研究計画書の書き方」から2年後の刊行だけあって、収録されている大学院は直近のものとなっており、また小論文対策や面接対策の記述が手厚くなっている。「ウインドミル飯野の」とか「国内MBA受験予備校業界の反逆児」とかいう自己主張が鼻につくものの、試験対策・情報提供という目的においては本書の方が実践的。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/3/6): 「国内MBA 研究計画書の書き方」



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2007年03月06日

「国内MBA 研究計画書の書き方」

ただの文例集に非ず 参考文献紹介が充実

国内MBA 研究計画書の書き方国内MBA 研究計画書の書き方―大学院別対策と合格実例集
飯野 一、佐々木 信吾

中央経済社 2003-07
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この4月より某社会人向け大学院(名目上はMBAだが実際は企業年金中心)に通うことになったのだが、その出願時に必須であった研究計画書作成のため急遽購入したのが本書。
タイトルどおり国内MBA各校の研究計画書の記載例だけで本書全体の8割を占める構成なのだが、意外にも残りの2割「MBAとは何か」「伝達効果の高い文章の書き方」が大変参考になった。また、組織論・ファイナンス・アカウンティングといった分野毎に参考文献が詳細に掲載されており、これらを完全読破すれば大学院など通学不要では!?(知識習得という面においては)とすら思わせる充実ぶり。対策本というよりもむしろMBA理論の入門書として有用。

なお、本書の刊行後、国内MBAを称する大学院の数が更に増殖したため、近年は大学院の網羅性に欠けつつある感がある。私が受験した大学院も、本書では扱われていなかった。設立間もない新しめの大学院を受験するならば、同じ著者による「国内MBA無敵の合格戦略」にて補足されたし。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/3/9): 「国内MBA 無敵の合格戦略」



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2007年02月01日

「マッキンゼー流 図解の技術」

図解というより「グラフ作成」の入門書として高評価

マッキンゼー流 図解の技術マッキンゼー流図解の技術
ジーン ゼラズニー、数江 良一 他

東洋経済新報社 2004-08-20
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表紙にデカデカと掲げられたマッキンゼー(世界有数のコンサルファームの一つ)というタイトルをもって「どうせマッキンゼーとは無縁な便乗本だろ?」と早合点してはいけない(←確かに原題には"マッキンゼー"の文字は無いが、著者は一応マッキンゼーの関係者)。中身はプレゼンテーション用のレジュメ作成、とりわけチャート(グラフ・図表)の作成ノウハウに特化した高品質な入門書。「伝えたいメッセージを明確かつ正しく伝える」という理念のもと、どんなチャートを用いればメッセージが明確に伝わるかを体系的に解説してくれる実用的な一冊。本書を「単なるテンプレート集(確かにSection3はそんな感じ)」「マッキンゼーの威光を利用している」「もっとマシな類書が他にもある」「日本語訳が下手」と揶揄する声は少なくないが、チャート作成ノウハウを体系的に解説した入門書としての地位は依然健在。時間が無い向きでも、せめてIntroductionおよびSection1には目を通しておきたい。



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