![]() | 税制改革の渦中にあって 石 弘光 岩波書店 2008-01 売り上げランキング : 60,783 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
6年間にわたって政府税制調査会の会長を務めてきた租税・財政学の大家による、これまでの税制改革議論を綴った回顧録。著者はその司馬遼太郎然とした風貌からこれまで冷静沈着なイメージがあったが、公職から解放された安堵感と鬱憤からか、本書ではそれまで聞かれなかったような凄まじい弁舌が並ぶ。曰く、
「増税請負人と揶揄されようが、言うべきは言うのが政府税調の役割」
「少子高齢化と未曾有の財政赤字の前では、もはや増税は不可避」
「将来世代のためにも、負担増から逃げるな」
「負担増を先送りしてきた結果が、今日の財政赤字の山だ」
「経済成長や歳出削減だけで赤字が消えると思ったら大間違い」
「マスコミは本質を正しく報道せよ」
「政治家は覚悟を持て」
「政治家を選ぶ国民の目こそ問題だ」 etc
──けだし正論である。賛否両論は当然あろうが、多面的な税制改革議論のためには、是非とも押さえておきたい論点ばかりである。それにしても、こうした議論を公職在任中に提起しても「サラリーマン増税」などと曲解して報じる辺りに、わが国のマスメディアの病巣が覗える。現在の年金改革議論においてもまた然り(汗)。
