2013年10月31日

「2時間でわかる! はじめての企業年金」

企業年金を利用した老後生活設計指南 自助努力の重要性を前向きに説く

2時間でわかる! はじめての企業年金2時間でわかる! はじめての企業年金 知って得する50のQ&A
野村證券株式会社 監修
野村證券フィデューシャリーサービス研究センター/野村資本市場研究所 著

東洋経済新報社 2013-05
売り上げランキング : 298,577
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証券会社が監修しているだけあって、タイトルこそ「企業年金」とあるものの、実際には確定拠出年金および資産運用の話が大半を占める構成となっているのは、まあご愛嬌(笑)。
全体的には、「公的年金や給付建て(確定給付型)企業年金だけでは豊かな老後は過ごせない」「だから確定拠出年金や投資信託など自助努力でも備えよう!」という投資本に良くあるストーリーなのだが、本書では、後者だけでなく前者(公的年金・企業年金)についても役割や意義を踏まえた上で利用すべきとしている点が異色。また、公的年金・企業年金・資産運用に関するトピックを分かり易くまとめるだけでなく、世代や性別の異なる4名をガイド役にすることにより、同一トピックに対して多面的な視点を提供するという効果を生んでいる。タイトル通り2時間でサラッと読める分量だが、読んでいて「自助努力もまた重要なのだな」と前向きに認識させてくれる力作。



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2011年11月14日

「企業年金再生」

企業年金制度および年金資産運用の現状分析としては一級品だが・・・

企業年金再生企業年金再生─老齢大国を襲う危機の構図と生き残りの方策
永森 秀和

日本経済新聞出版社 2011-09
売り上げランキング : 20,817
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資産運用および退職給付制度の専門誌としての地位を確立している「年金情報」編集長が手がけただけあって、企業年金や年金資産運用を取り巻く情勢および問題点が客観的かつ詳細にまとめられている。前著「企業年金の真実」と同様、現状分析のツールとして、また、これまで企業年金に全く関心を抱いていない層に向けてのリポートとしては一級品の出来栄え。ただし、前著同様、業界関係者および当業界誌の読者にとっては既知既出の事項ばかりなので、目新しさを求める向きには少々不満が残るかもしれない。もっとも、企業年金を巡る状況に一向に進展が見られない現状にあって、業界動向を映す「鏡」でしかない業界誌にのみ打開策を示せと求めるのは酷というものであろう(汗)。少なくとも、警鐘を鳴らす役割は存分に果たしている一冊。



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2011年07月11日

「適年から移行してはみたものの・・・どうもダメな会社が読む本」

適年移行「後」を見据えた中堅・中小企業向け企業年金本

適年から移行してはみたものの・・・どうもダメな会社が読む本適年から移行してはみたものの・・・どうもダメな会社が読む本
中澤 武、石井 孝治

日本法令 2011-06
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関西の企業年金コンサルタント広島の社会保険労務士のコラボによる適年移行本第2弾。本書の特徴はズバリ、適年移行「後」に主眼を置いた構成にある。前著に比べると、実は内容的にはさほど差は無いのだが(汗)、看板(タイトル)を書き換えるだけでここまで目新しく見せるとは、おそらく著者だけでなく出版社サイドの企画力の賜物でもある。とはいえ、第4章「確定給付企業年金の誤解」「確定拠出年金の誤解」第6章「金融機関選定のポイント」「コンサルタント選定のポイント」などのトピックは相変わらず読み応えがあり、ナントカの一つ覚えみたいに確定拠出年金中小企業退職金共済(中退共)を推奨して悦に入っているだけの凡庸な類書に比べると、その完成度の差は歴然。中堅・中小企業向け企業年金本としてはもはや定番のシリーズと化しつつある。

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/1/15): 「適年移行先はこうしなさい」



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2010年10月31日

「どう変える? 退職金・企業年金」

むしろDCプランナー試験(A・B分野)の対策書として有用

どう変える? 退職金・企業年金どう変える? 退職金・企業年金
― 改革の選択肢を探る ―

久保 知行

オフィスTM 2009-08
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年金アクチュアリー界の論客による、適年移行を踏まえた退職金・企業年金改革のあり方をまとめた一冊。単なる知識の羅列ではない骨太な解説は相変わらずだが 内容的には、従来の著作である「わかりやすい企業年金」等とさほど差はない。横書きかつ2色刷りという読み易い装丁と、内容の半分弱を確定拠出年金(DC)の解説に焦点を当てている構成からすると、むしろDCプランナー試験(A・B分野)の対策書として活用するのが有効であるように思う。

※著者の久保氏のサイトはこちら

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/10/27): webセミナー「確定拠出年金で老後の準備を」
The企業年金BLOG(2009/8/31): 「わかりやすい企業年金」第2版
The企業年金BLOG(2005/11/23): 「わかりやすい企業年金」



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2010年10月24日

「いまさら人に聞けない『適年廃止後の退職金再設計』の実務」

Q&A形式で分かり易いが、細部に詰めの甘さも

いまさら人に聞けない「適年廃止後の退職金再設計」の実務いまさら人に聞けない「適年廃止後の退職金再設計」の実務
佐藤 崇、 川島 孝一

セルバ出版 2010-09
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期限までいよいよあと1年半を切った適格退職年金の税制優遇の廃止。本書は、適年移行のポイントをQ&A形式で分かり易く整理・解説しており、タイトルどおり「いまさら適年移行の検討に入る企業」にとっては重宝すること請け合い。
ただし、分かり易さを重視したせいか、細部に事実と異なる表記も散見される。例えば、適格退職年金契約について「会社と信託会社、生命保険会社、全国共済農業協同組合連合会が『新企業年金保険契約』を締結して〜」(p.35)とあるが、新企業年金保険契約とは生命保険会社と締結する場合の契約名称であり、相手方が信託会社であれば「適格退職年金信託契約」、JA共済連であれば「退職年金共済契約」とするのが正しい。また、適格退職年金の適格要件について「法人税法施行令第159条に定める適格要件〜」(p.39)とあるが、当該条項は2002年に既に削除されており、現在は法人税法施行令附則第16条」に記載されているとするのが正しい。まあ、本書全体の完成度の高さを損ねるものではないが。。。



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2010年07月07日

「どうなっている? どうする! 退職金・企業年金」

手作り感に富む資料集

どうなっている? どうする! 退職金・企業年金どうなっている? どうする! 退職金・企業年金

全国労働基準関係団体連合会 2010-03

今年3月にひっそりと刊行された、知る人ぞ知る一冊。「わかりやすい企業年金」「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」などの良書を知る身にとってはやや見劣りする内容だが、およそ企業年金と馴染みがあるとは思えない団体が独力で手掛けたわりには、企業年金および退職金制度の現状がコンパクトにまとめられており、いかにもWordファイルをそのままプリントアウトしたかのようなチープな装丁と相まって抗し難い魅力を放っている。セミナー資料作成時のたたき台に最適。



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2010年03月02日

「企業年金の基礎 改版」全6巻

米国の企業年金を究めるならこの6巻セット!?

企業年金の基礎 改版 (全6巻)企業年金の基礎 改版 (全6巻)
ダン M. マックギル / カイル N. ブラウン / ジョン J. ハーレー / シルベスター J. スキーバ (共著)
田村 正雄 (監訳)、 年金制度研究会 (共訳)

ぎょうせい 1998-07
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原著はDan M. McGillらによる「Fundamentals of private pensions」の第7版(1995年刊行)。1955年の初版刊行以来、米国の企業年金を巡る法制上および実務上の動向を逐次反映するべく版を重ねてきた、まさに企業年金の歴史書にして百科事典。原著は800ページを超える大冊だが、邦訳版は更にボリュームが膨らみセクション毎に6分冊構成をとっている。高価な上にお世辞にも分かり易いとは言い難い文体だが、米国における年金学の最高権威の著作を日本語で読めるだけでも資料的価値は高い。企業年金の「研究家」を標榜するならば、是非傍らに常備しておきたい大著。なお、各巻ごとの内容は以下のとおり。

第1巻 企業年金の背景にある要因
  全体の概観・体系および各章の概要・要点
第2巻 企業年金の規制
  エリサ法(ERISA)の概要、適格要件、税制など
第3巻 企業年金の構造
  給付建て(DB)制度、掛金建て(DC)制度、混合型制度など
第4巻 企業年金の経済学
  なぜ民間企業は企業年金を設立・維持するのか
  企業年金制度の持つ労務管理上の役割 etc
第5巻 企業年金の積立と会計
  企業年金の財政運営、積立基準、会計基準など
第6巻 企業年金の資産と保険
  企業年金の資産管理・運用、制度終了保険(PBGC)など


ところで、原著の方はその後も着々と改訂が進んでいる。2005年には第8版が、本年2010年には最新版となる第9版がそれぞれ刊行されており、ここ10年間の米国企業年金の激動ぶりが網羅されている。改訂版の動向を追跡する上でも本書は有用である。



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2010年01月21日

「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2010年版

もはや定番!? 労組目線の企業年金の解説書

ikou-taiou2010労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック(2010年版)

日本労働組合総連合会
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク 共編
2009-11

労組系団体やその出身者が書く年金本というと、殆どは「負担は低く、給付は高く」を唱えるだけの他力本願クレクレ本ばかりで、読むに堪えない。しかしこのハンドブックは、イデオロギー色を排除して情報を整理することに注力しており、良質な資料集としての地位を年々確立しつつある。2010年版では、企業再編時の確定拠出年金の取り扱いや、退職給付会計・国際財務報告基準(IFRS)の動向が新たに手当てされている。書籍としての完成度の高さでは、今や『企業年金に関する基礎資料』(企業年金連合会)を凌駕すると言っても過言ではない。これで1,000円はお買い得!
なお、本書と並行して「働く人のためのライフプランニングと企業年金の活用ハンドブック」も刊行されている。前掲書よりも完成度は若干落ちるが、まあ関心があれば是非。

life-planning2010働く人のためのライフプランニングと企業年金の活用ハンドブック(第3版)

日本労働組合総連合会
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク 共編
2009-11


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/5/14): 労組系NPOの研究会を観覧
The企業年金BLOG(2008/2/25): 「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2008年版
The企業年金BLOG(2006/12/25): 「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2007年版
The企業年金BLOG(2005/12/22): 「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2006年版



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2009年08月31日

「わかりやすい企業年金」第2版

わかりやすい企業年金<第2版>わかりやすい企業年金<第2版> (日経文庫)
久保 知行

日本経済新聞出版社 2009-08
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企業年金の入門書として好評を博した『わかりやすい企業年金』の5年ぶりの改訂版。企業年金の歴史、制度設計、財政・数理、資産運用、税制、会計などあらゆるトピックが網羅されており、コンパクトなサイズながらも企業年金の全体像を俯瞰できる。なお第2版では、適格年金の廃止および移行に関する解説が新たに加えられた。



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2009年07月06日

「SEのための企業年金入門」

流れ図でみる企業年金実務の「仕様書」

SEのための企業年金入門図解で学ぶ SEのための企業年金入門
シーエーシー金融ビジネスユニット

金融財政事情研究会 2009-06
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独立系システム会社の手による、いわば企業年金実務の仕様書といった様相。企業年金制度の解説書はそれこそ枚挙に暇がないが、企業年金の「事務フロー」に特化した書籍は滅多にない上に、しかも市販化されたのはおそらく本書が初。企業年金のシステムは主に給付(記録管理)・数理(財政決算)・資産運用(資産管理・決済)の3つに区分されるが、本書もこの区分に則って企業年金の事務フローを丹念に解説している。本書の分かり易さは、決して企業年金の専門家ではない者が独力で理解しようと奮闘した成果であるように思う。企業年金の新任担当者ならば是非傍らに置くべき一冊。



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2009年04月06日

「なぜGMは転落したのか」

労働組合の際限なき要求と経営陣の妥協が招いた顛末記 GMは蛇足

なぜGMは転落したのかなぜGMは転落したのか―アメリカ年金制度の罠
Roger Lowenstein 鬼澤 忍

日本経済新聞出版社 2009-02
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昨今経営危機が叫ばれているGM(ゼネラル・モーターズ)が主題のごときタイトルだが、GMに関する記述は本書全体の3分の1程度で、残りは米国の公務員年金に関する記述である。
全般的には、企業年金の給付を巡っての、労働組合の際限なき要求と経営陣の妥協が招いた顛末を綴った内容。年金給付の引上げは、原資を直ちに必要とする賃上げとは違い、原資の積立てを将来に先送りしたまま約束だけは容易にできてしまう。そのため、労働組合および経営陣双方の体面保持と点数稼ぎのために企業年金給付が労使交渉の具として利用されて来た経緯を本書は詳細に綴っている。そしてこの傾向は、株主の存在が辛うじて歯止めとなるGMなどの民間企業よりも、そうした規律が無い(労組が主要な票田であるため議会のチェックも働かない)公務員・自治体年金の方が遙かに深刻であることを本書は示唆している。

なお、2009年4月5日付日経朝刊の森戸英幸上智大教授による書評では、あたかも「エリサ法(年金受給権保護のための法律)が企業年金を駄目にした」かの如く評していたが、本書におけるエリサ法に関する言及はごく僅かである。危機の原因は制度や法制ではなく労使交渉に依るところが大きく、その点では森戸教授のコメントはミスリードも甚だしい。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/2/7): 「エリサ法の政治史」



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2009年02月07日

「エリサ法の政治史」

企業年金への規制は何故生まれたか

エリサ法の政治史エリサ法の政治史―米国企業年金法の黎明期
James A. Wooten著、みずほ年金研究所訳

中央経済社 2009-02
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米国ERISAの制定・立法経緯を綴ったJames A. Wooten著「The Employee Retirement Income Security Act of 1974: A Political History」。本書の邦訳プロジェクトには、当BLOG管理人が在籍している大学院の指導教員・学生OBも何名か携わっていることもあり、昨春からその進捗状況を小耳に挟んでいたが、今般ようやく刊行の運びとなった。

本書は、米国における企業年金の基本法に相当する従業員退職所得保障法(通称ERISA)の制定・立法経緯を綴った政治史。米国といえば自由主義に基づく市場原理主義が幅を利かしていることは周知の事実だが、そんな米国において、なぜ企業年金に限っては社会主義国家も真っ青な厳格な規制が敷かれるに至ったのか。本書は綿密な取材および文献を基にその詳細を綿密に描いており、単なる企業年金法制の歴史絵巻に留まらず、市場経済における規制のあり方を考える上でも示唆に富んだ一冊である。邦訳版では、米国における立法機構および法案制定プロセスに関する補論が追加されており、理解の一助となる。

なお個人的には、企業年金の税制優遇措置の起源を綴った第1章がとりわけ興味深かった。当BLOG管理人がこのたび執筆した修士論文も、本書第1章から多分にインスピレーションを受けた次第。それにしても、論文提出直後に邦訳版が刊行されるとは(汗)。



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2009年01月21日

「日本一わかりやすい退職金・適年制度改革実践マニュアル」

前版同様、台本と計算ソフトの2枚看板が売り

日本一わかりやすい退職金・適年制度改革実践マニュアル日本一わかりやすい退職金・適年制度改革実践マニュアル
大津 章敬

日本法令 2008-07
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会話調の文体および計算ソフトCD-ROMという二枚看板で適年移行本ジャンルに大革命を巻き起こした書の改訂版。前版に比べると、確定給付企業年金(DB)や確定拠出年金(DC)の解説にも一定のスペースが割かれているものの、本書のメインテーマはあくまでも中小企業退職金共済(中退共)への移行。なお同じ出版社から「適年移行先はこうしなさい」(中澤武著)が刊行されているが、中澤本が一般人および経営者層への啓蒙を目的としているのに対し、本書はあくまでも企業の担当者およびコンサルタントを意識した実践的な内容となっている。地図に例えると、前者がマクロで捉える世界地図なら、後者はさしずめミクロの精緻を極めたゼンリン住宅地図といったところ。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/2/8): 「中小企業の退職金・適年制度改革実践マニュアル」



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2009年01月15日

「適年移行先はこうしなさい」

中堅・中小企業向け適年移行入門本の決定版 DBに肯定的な姿勢が異色

適年移行先はこうしなさい適年移行先はこうしなさい
中澤 武、石井 孝治

日本法令 2008-12
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関西の企業年金コンサルタント広島の社会保険労務士のコラボによる適年移行本。従来の中小企業向け適年移行本というと、ナントカの一つ覚えのように中小企業退職金共済(中退共)を唱えるのみだったが、本書では、50〜300名クラスの中堅・中小企業をターゲットに据えており、また、確定給付企業年金(DB)への移行に思いのほか肯定的なのがこれまでの類書にない特色。とりわけ、第3章の「DBの誤解」「確定拠出年金(DC)の誤解」は、研究者や年金数理人レベルでは常識だったものの、中小企業向けの書籍では初出であるように思う。著者であるコンサル氏の経験と社労士氏の物語調の文体(他の著作で顕著)が見事にマッチしており、2009年初頭のこの時期に及んでまだ適年移行対策に着手していない企業担当者のファーストチョイスには最適。



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2009年01月10日

「企業年金に関する基礎資料」平成20年12月

最強の企業年金データベース

企業年金に関する基礎資料(平成20年12月)企業年金に関する基礎資料(平成20年12月)

企業年金連合会 2008-12

私がもし「企業年金について最も情報量の多い一冊は?」と聞かれたら、真っ先に名を挙げるのが本書。企業年金制度に関するあらゆるトピックを網羅しているだけでなく、公的年金、税制、会計、海外制度などについて豊富な解説と統計データを集約している。その充実ぶりは、かの名著「図解年金のしくみ」の図表の大半が本書からの引用であることからも窺える。
なお、今回の平成20年版で手当てされた事項は以下のとおり。
 【第1章】DB制度間の比較図およびDB・DCの比較図を他章から移転
 【第5章】適年移行の解説を強化
 (例の「移行支援本部」設置の影響か!?)
 【第8章】社会保障協定に関する情報を追加
 【第10章】退職給付会計関する統計情報を強化



<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2008/2/19): 「企業年金に関する基礎資料」平成19年12月
The企業年金BLOG(2006/12/17): 「企業年金に関する基礎資料」平成18年10月
The企業年金BLOG(2005/11/8): 「企業年金に関する基礎資料」



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2008年05月02日

「年金とファイナンス」

年金と企業財務・資産運用を絡めた実証論文集

年金とファイナンス年金とファイナンス
浅野 幸弘、矢野 学、岩本 純一

朝倉書店 2006-08
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これまで年金に関する計量分析・実証分析と言えば、公共経済学者および財政学者の独壇場で、しかも手法(世代会計)も結果(公的年金は先行世代が不当に得をしている!)もありきたりでもはや食傷気味。対して本書は、年金資産運用等の実務に携わっている実務家が、「年金財務と企業評価」「企業財務と年金資産運用」「積立不足と年金ALM」など、従来のトレンドとは一線を画した新たなテーマを手がけている。推計手法や推計結果の是非はさておき、年金の実証分析において新たな分析領域を開拓したことは評価に値する。年金で実証論文を一丁仕上げようとする大学院生は、今後は本書を規範とすべし。なお、第3章以降は、前提知識なしに読み進むのは至難の技であることを予め付記しておく(汗)。



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2008年02月25日

「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2008年版

もはや年金資料集の定番 労働組合の視点による解説書

ikou-taiou2008労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック(2008年版)

日本労働組合総連合会
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク 共編
2007-11

労組系団体やその出身者が書く年金本というと、殆どは「負担は低く、給付は高く」を唱えるだけの他力本願クレクレ本ばかりで、読むに堪えない。しかしこのハンドブックは、イデオロギー色を排除して情報を整理することに注力しており、使い勝手の良い資料集としての地位を年々確立しつつある。これで1,000円はお買い得。

なお、本書と並行して「働く人のためのライフプランニングと企業年金の活用ハンドブック」なるシリーズ本も刊行されているが、こちらは、一色刷りな上に記述がいまいち整理されていない。セミナー資料としては、有能な講師による解説が伴わないと理解は難しいのではないか。これが前述の移行対応ハンドブックより価格が高い(1,500円)というのは、正直理解に苦しむ。まあ関心があればどうぞ。

life-planning2008働く人のためのライフプランニングと企業年金の活用ハンドブック(改訂版)

日本労働組合総連合会
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク 共編
2007-08


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/12/25): 「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2007年版
The企業年金BLOG(2005/12/22): 「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2006年版



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2008年02月19日

「企業年金に関する基礎資料」平成19年12月

最強の企業年金データベース レイアウトも幾分改善

企業年金に関する基礎資料(平成19年12月)企業年金に関する基礎資料(平成19年12月)

企業年金連合会 2007-12

私がもし「企業年金について最も情報量の多い一冊は?」と聞かれたら、真っ先に名を挙げるのが本書。企業年金制度に関するあらゆるトピックを網羅しているだけでなく、公的年金、税制、会計、海外制度などについて豊富な解説と統計データを集約している。その充実ぶりは、かの名著「図解年金のしくみ」の図表の大半が本書からの引用であることからも窺える。
今回の平成19年版では、近年崩れ気味であってレイアウトも改善されるなど、ここ数年の中では高い完成度を誇る。ただし、厚生年金基金の業務委託費1998年までの特別法人税の課税状況といった貴重な統計が今回削除されたのはいささか残念。この手の資料集は、掲載トピックが毎年同じように見えて実は入れ替わりが激しいため、毎年継続的に購入しておかないと、イザという時に必要なデータを参照できないという憂き目に会うので、その旨ご注意を。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/12/17): 「企業年金に関する基礎資料」平成18年10月
The企業年金BLOG(2005/11/8): 「企業年金に関する基礎資料」



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2007年10月29日

「企業年金改革―公私の役割分担をめぐって」

企業年金に関する最も格調高い論文集

企業年金改革―公私の役割分担をめぐって企業年金改革―公私の役割分担をめぐって
船後正道[監修] OECD[編] 厚生年金基金連合会[訳]

東洋経済新報社 1997-05
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原著は"Private Pensions and Public Policy"というOECD諸国の年金専門家らによる論文集。収録されている論文は、年金制度に関する公私の役割分担、企業年金に対する政府規制のあり方、私的年金の税制、公平性・適正性・安全性という公共的な視点に立った企業年金分析──などなど多岐に渡る内容で、企業年金のあり方を検討する上で示唆に富む考察がキラ星の如く散りばめられている。原著の刊行から15年、日本語版である本書の刊行から10年が経過したが、本質に迫る内容や格調高さで本書を凌駕する書籍にはなかなかお目にかかれない。企業年金を研究する研究者・大学院生は必ず読むべし!

それにしても現在の企業年金業界を鑑みるに、2001年の企業年金二法の制定以来、制度改正・改革を追うのにばかり血眼になっているように感じる。財政状況が回復基調にある今だからこそ、「本質」や「原点」を顧みる余裕を取り戻して欲しいものだ。とりわけ業界団体である企業年金連合会には、こうした研究活動にもっとヒト・モノ・カネを割いて欲しいものだ。せっかく積立不足も解消したんだしさ(笑)。



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posted by tonny_管理人 at 23:59 | Comment(2) | TrackBack(0)
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2007年05月28日

「企業年金ガバナンス 年金格付けへの挑戦」

「格付け一覧」に非ず、格付けを行うための「理論書」

企業年金ガバナンス―年金格付けへの挑戦企業年金ガバナンス―年金格付けへの挑戦
森戸 英幸

中央経済社 2007-05
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「世の中にはレストランやワインの格付けさえあるのに、なんで企業年金の格付けはないんだろう?」という冒頭書き出しこそ大いに興味を引くが、実際に格付けについて言及しているのは終わりの2章のみ。「企業年金の格付け一覧」を期待すると肩透かしを喰らうが、企業年金の格付けを行うために最低知っておきたい基礎理論(財務戦略・人事戦略・年金資産運用etc)をまとめた書籍としては良質な一冊に仕上がっている。次回は是非全年金基金にレーティングを施し、業界に論争を巻き起こして貰いたいものだ。かつて藤沢久美氏が投資信託の格付けでそうしたように。



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posted by tonny_管理人 at 19:15 | Comment(2) | TrackBack(1)
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