2008/05/02

「年金とファイナンス」


年金と企業財務・資産運用を絡めた実証論文集

年金とファイナンス年金とファイナンス
浅野 幸弘、矢野 学、岩本 純一

朝倉書店 2006-08
売り上げランキング : 556,406
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これまで年金に関する計量分析・実証分析と言えば、公共経済学者および財政学者の独壇場で、しかも手法(世代会計)も結果(公的年金は先行世代が不当に得をしている!)もありきたりでもはや食傷気味。対して本書は、年金資産運用等の実務に携わっている実務家が、「年金財務と企業評価」「企業財務と年金資産運用」「積立不足と年金ALM」など、従来のトレンドとは一線を画した新たなテーマを手がけている。推計手法や推計結果の是非はさておき、年金の実証分析において新たな分析領域を開拓したことは評価に値する。年金で実証論文を一丁仕上げようとする大学院生は、今後は本書を規範とすべし。なお、第3章以降は、前提知識なしに読み進むのは至難の技であることを予め付記しておく(汗)。



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2008/02/25

「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2008年版


もはや年金資料集の定番 労働組合の視点による解説書

ikou-taiou2008労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック(2008年版)

日本労働組合総連合
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク 共編
2007-11-30

労組系団体やその出身者が書く年金本というと、殆どは「負担は低く、給付は高く」を唱えるだけの他力本願クレクレ本ばかりで、読むに堪えない。しかしこのハンドブックは、イデオロギー色を排除して情報を整理することに注力しており、使い勝手の良い資料集としての地位を年々確立しつつある。これで1,000円はお買い得。

なお、本書と並行して「働く人のためのライフプランニングと企業年金の活用ハンドブック」なるシリーズ本も刊行されているが、こちらは、一色刷りな上に記述がいまいち整理されていない。セミナー資料としては、有能な講師による解説が伴わないと理解は難しいのではないか。これが前述の移行対応ハンドブックより価格が高い(1,500円)というのは、正直理解に苦しむ。まあ関心があればどうぞ。

life-planning2008働く人のためのライフプランニングと企業年金の活用ハンドブック(改訂版)

日本労働組合総連合
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク 共編
2007-8-31


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/12/25): 「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2007年版
The企業年金BLOG(2005/12/22): 「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2006年版



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2008/02/19

「企業年金に関する基礎資料」平成19年12月


最強の企業年金データベース レイアウトも幾分改善

kisosiryo2006企業年金に関する基礎資料(平成19年12月)

企業年金連合会 編
2007-12

私がもし「企業年金について最も情報量の多い一冊は?」と聞かれたら、真っ先に名を挙げるのが本書。企業年金制度に関するあらゆるトピックを網羅しているだけでなく、公的年金、税制、会計、海外制度などについて豊富な解説と統計データを集約している。その充実ぶりは、かの名著「図解年金のしくみ」の図表の大半が本書からの引用であることからも窺える。
今回の平成19年版では、近年崩れ気味であってレイアウトも改善されるなど、ここ数年の中では高い完成度を誇る。ただし、厚生年金基金の業務委託費1998年までの特別法人税の課税状況といった貴重な統計が今回削除されたのはいささか残念。この手の資料集は、掲載トピックが毎年同じように見えて実は入れ替わりが激しいため、毎年継続的に購入しておかないと、イザという時に必要なデータを参照できないという憂き目に会うので、その旨ご注意を。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/12/17): 「企業年金に関する基礎資料」平成18年10月
The企業年金BLOG(2005/11/8): 「企業年金に関する基礎資料」



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2007/10/29

「企業年金改革―公私の役割分担をめぐって」


企業年金に関する最も格調高い論文集

企業年金改革―公私の役割分担をめぐって企業年金改革―公私の役割分担をめぐって
船後正道[監修] OECD[編] 厚生年金基金連合会[訳]

東洋経済新報社 1997-05
売り上げランキング : 149,393
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原著は"Private Pensions and Public Policy"というOECD諸国の年金専門家らによる論文集。収録されている論文は、年金制度に関する公私の役割分担、企業年金に対する政府規制のあり方、私的年金の税制、公平性・適正性・安全性という公共的な視点に立った企業年金分析──などなど多岐に渡る内容で、企業年金のあり方を検討する上で示唆に富む考察がキラ星の如く散りばめられている。原著の刊行から15年、日本語版である本書の刊行から10年が経過したが、本質に迫る内容や格調高さで本書を凌駕する書籍にはなかなかお目にかかれない。企業年金を研究する研究者・大学院生は必ず読むべし!

それにしても現在の企業年金業界を鑑みるに、2001年の企業年金二法の制定以来、制度改正・改革を追うのにばかり血眼になっているように感じる。財政状況が回復基調にある今だからこそ、「本質」や「原点」を顧みる余裕を取り戻して欲しいものだ。とりわけ業界団体である企業年金連合会には、こうした研究活動にもっとヒト・モノ・カネを割いて欲しいものだ。せっかく積立不足も解消したんだしさ(笑)。



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2007/05/28

「企業年金ガバナンス 年金格付けへの挑戦」


「格付け一覧」に非ず、格付けを行うための「理論書」

企業年金ガバナンス―年金格付けへの挑戦企業年金ガバナンス―年金格付けへの挑戦
年金格付け研究会 森戸 英幸

中央経済社 2007-05
売り上げランキング : 34,784
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「世の中にはレストランやワインの格付けさえあるのに、なんで企業年金の格付けはないんだろう?」という冒頭書き出しこそ大いに興味を引くが、実際に格付けについて言及しているのは終わりの2章のみ。「企業年金の格付け一覧」を期待すると肩透かしを喰らうが、企業年金の格付けを行うために最低知っておきたい基礎理論(財務戦略・人事戦略・年金資産運用etc)をまとめた書籍としては良質な一冊に仕上がっている。次回は是非全年金基金にレーティングを施し、業界に論争を巻き起こして貰いたいものだ。かつて藤沢久美氏が投資信託の格付けでそうしたように。



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2006/12/27

「企業年金に関する基礎資料」平成18年10月


最強の企業年金データベース 近年レイアウトが崩れ気味?

kisosiryo2006企業年金に関する基礎資料(平成18年10月)

企業年金連合会 編
2006-10

私がもし「企業年金について最も情報量の多い一冊は?」と聞かれたら、真っ先に名を挙げるのが本書。企業年金制度に関するあらゆるトピックを網羅しているだけでなく、公的年金、税制、会計、海外制度などについて豊富な解説と統計データを集約している。その充実ぶりは、かの名著「図解年金のしくみ」の図表の大半が本書からの引用であることからも窺える。今回の平成18年版では、それまで手薄だった確定拠出年金制度の解説が大幅にパワーアップされた。業界人ならばまさに必携の書。

とまあ内容はまさに充実の一言に尽きるのだが、近年はフォントやレイアウトの崩れが散見されるのが若干気懸かりではある。連合会の製作担当者には、お役所的な前例踏襲ではなく、5,250円の価格に恥じない質の向上を追及いただきたいものだ。



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2006/12/25

「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2007年版


労働組合の視点による企業年金の解説書

ikou-taiou2007労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック(2007年版)

日本労働組合総連合
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク 共編
2006-11-30

労組系団体やその出身者が書く年金本というと、殆どは「負担は低く、給付は高く」を唱えるだけの他力本願クレクレ本ばかりで、読むに堪えない。しかし今回紹介するこのハンドブックは、イデオロギー色を排除して情報を整理することに注力しており、資料集としての使い勝手はなかなか良い。

なお今回の2007年版だが、統計数値が最新のものに洗い替えされた他は、トピック等に目新しい追加は見られないため、前版の所有者があえて買い替えに走る必要性は薄いと思われる──と言いながら当BLOG管理人は購入してしまったが(汗)。まあ一冊1,000円だし、そこは各人の好みで判断されたし。



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2006/08/24

「年金制度の改善プラン」


税法の視点から見た年金制度

年金制度の改善プラン年金制度の改善プラン
木原 俊夫

中央経済社 1998-03
売り上げランキング : 1,072,819
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保険会社出身の税理士による年金の解説書。税理士が著しただけあって年金税制に関する記述が手厚いのは勿論だが、わが国の年金制度を「税法」の視点から分類・解説している手法は斬新。また、個人年金に関する記述が厚いほか、特退共や小規模企業共済といったマイナー制度にも広く言及しているのも特徴。1998年の刊行とやや古くなったものの、年金業界にどっぷり浸かった向きにとっては新たな視点が得られること請け合い。



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2006/07/27

「企業年金の法務と実務」


企業年金実務の百科事典

企業年金の法務と実務企業年金の法務と実務
住友信託銀行年金信託部

金融財政事情研究会 2004-04
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タイトルの通り、企業年金に関わる法律・実務全般を体系的・包括的に収録した一冊。600ページ弱にも及ぶブ厚さが示す通り、あらゆるトピックを(書類の様式に至るまで)キメ細かく網羅しており、まさに企業年金実務の百科事典といった様相。当然ながら値段もそれ相応の水準だが、およそ年金実務に携わる者であれば、一人に一冊とはいかないまでも一課に一冊は装備しておきたいところだ。



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2006/06/08

「企業年金制度移行事例集」


無料の割には内容充実

ikou-jirei移行企業の担当者が語る
企業年金制度移行事例集(平成18年1月)


中小企業庁
(受託:大和総研)
2006-01

以前当BLOGで中小企業庁主催の企業年金セミナーに参加した所感を記したが、セミナー会場で配布され好評を博していた「企業年金制度移行事例集」が、いつの間にか中小企業庁のサイトにUPされていた。刊行は中小企業庁とあるが実際の企画・製作は大和総研が受託しており、さすがに基本情報の整理はバッチリ為されている。本書と同程度かそれ以下のレベルの駄本や駄コンサルに金を払うくらいなら、これを利用しない手は無い。



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2006/03/29

「社長も社員も納得! わが社のオリジナル退職金制度」


意外と骨太 社長も社員も"読者"も納得!?

社長も社員も納得!わが社のオリジナル退職金制度社長も社員も納得!わが社のオリジナル退職金制度―退職金問題を解決する6つのソリューション
多田 智子

同友館 2005-12
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ピンク基調のいかにもな表紙カバーに、思わず「株本における若林史江」「マネー本における渋井真帆」「営業本における和田裕美」的なイメージ(装丁は読み易いけど内容はアレな・・・)を想像してしまいがちだが、惑わされてはいけない。中身は中小企業の退職金制度改革に関する硬派な解説書で、理論的な骨太さはかなりのもの。中退共や確定拠出年金を推奨するだけならサルでも出来るが、推奨しない制度(厚生年金基金、確定給付企業年金)についてもきちんと論拠を挙げられる書籍はそうザラにはない。著者の営業ツールとして高水準なのは勿論だが、読者にとっても実用度は高い。
なお後半はExcelを用いた画面解説が頻繁に出てくるのだが、その割には当該ファイルの出所などに関する説明が皆無なのが若干気になった。



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2006/03/09

「適格年金廃止とこれからの退職金」改訂増補版


「適年移行」の基礎固めに最適

適格年金廃止とこれからの退職金―移行手順と再設計のポイント適格年金廃止とこれからの退職金―移行手順と再設計のポイント
山田 泰章

税務研究会出版局 2005-12
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いわゆる「適格退職年金の移行」を扱った書籍の中では、公正かつ分かり易い部類に入る。旧版は、適格退職年金の本質・意義や退職金制度との関連性を明確にした上で、移行に当たってのポイントおよびメリット・デメリットが巧く整理・解説されており、適年移行問題の基礎固めにはまさに『適格』な一冊であったが、今回、直近の法改正状況を反映してリニューアルした。近年は適年移行を扱った類書がそれこそ雨後のタケノコの如く増殖中だが、前版刊行から2年経過したにも関わらず古さを感じさせない骨太な解説は相変わらずお見事。同分野における古典的地位をすっかり確立した感がある。

また、昨今雨後のタケノコの如く増殖中している退職金コンサルタントの力量を判断する試金石としても重宝する。本書と同程度かそれ以下のレベルの知識でウン万円をせしめようとするコンサルタント氏には、速やかにお引き取りいただくべし。

なお「本書は中退共への移行を是としているため、中小企業以外には使えない」との声もあるが、移行対象制度のメリット・デメリットの検証程度なら本書でも十分可能である。実例が中退共に偏るのは、(中小企業を主な顧客層とする)著者や出版元を鑑みれば致し方ないかと。本書はあくまでも入門書であり、入門書一冊で全てが済むほど実務は甘くない。



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2006/02/28

「図解 どれを選ぶ企業年金」


企業年金の制度移行のシミュレーション

図解 どれを選ぶ企業年金―年金制度改革で増えた選択肢図解 どれを選ぶ企業年金―年金制度改革で増えた選択肢
高原 宣昭

中央経済社 2001-12
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2001年12月の刊行と古くなったものの、企業年金制度の移行を取り扱った書籍としての完成度は高い。架空のゼット社を舞台に@現行制度の継続、A新企業年金への移行、B確定拠出年金の導入、Cキャッシュ・バランス・プランへの設計変更、D制度の廃止を書中でシミュレーションした内容。現在の類書は適年から中退共への移行しか扱ってないものが多いだけに、本書には却って新鮮味を感じるとともに、改めて読むと得られる知見も多いかと。中退共への移行が選択肢にならない中堅企業の担当者などにオススメ。



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2006/02/08

「中小企業の退職金・適年制度改革実践マニュアル」


計算ソフトと台本の豪華2本建て 適年改革のスターターキット

中小企業の退職金・適年制度改革実践マニュアル中小企業の退職金・適年制度改革実践マニュアル
大津 章敬

日本法令 2005-10
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名古屋を基盤としたコンサルファーム「名南経営」のマネージャーを務める気鋭の社労士による適年移行本。とある印刷会社を舞台に、適年移行における導入の流れや検討ポイントが会話形式で分かり易く書かれている。

この会話形式というのがまた秀逸で、臨場感も然ることながら「とりあえず本書を台本代わりにすれば何とかなるかも?」と思わせる点が効果大。そのうえ付属の計算ソフトも秀逸と来たら、およそ同業者であれば「ここまで手の内を晒されると仕事が減っちゃうYO!」と嘆くこと必至。しかし著者はノウハウ(勿論ほんの一部なのだろうが)を惜しげも無く公開する事により、却ってコンサル依頼を増加させていると見た。制度改正の必要に迫られている経営者・人事担当者のみならず、退職金コンサルを手がける同業者も密かに買い求めてるというのも納得。

・・・・

つうか私も買い求めましたが何か? ←開き直り



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2006/02/05

「総解説 新企業年金」第2版


包括的かつ高密度な企業年金の「教科書」

総解説 新企業年金―制度選択と移行の実際総解説 新企業年金―制度選択と移行の実際
坪野 剛司

日本経済新聞社 2005-04
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年金行政に長年携わってきた著者が、子飼いの手下?らを総動員してまとめ上げた、企業年金制度全体を余さず網羅した解説書&資料集。刊行当初は、政省令・通達レベルまで掘り下げた詳細な解説も然ることながら、制度設立時の論点・根拠や検討経緯といった行政担当者ならではの情報テンコモリだったのが好評を博した。新版では、2004年公的年金改正法や、それに伴う厚生年金基金および確定拠出年金の制度改正についてもキッチリ手当てされており、その完成度および資料的価値は益々高まっている。企業年金に携わる者は勿論、企業年金を専攻しようとする大学院生も必携すべき一冊。

余談だが、旧版刊行時は連続マイナス利回り代行返上の開始といった制度存亡の時期だっただけに、編者の「長期的視点で考えるべし」という正論に耳を貸す者は(業界の大御所ですら)極稀であったが、そんな最悪の状況から脱却・改善しつつある現在(2005年)に改訂版が出たのは、まさに時宜に適ったものと言える。特に、巻末の「代行返上を行った基金から反省の声が聞こえてくるのも長期的な見通しの欠如の表れかもしれない」という編者の弁に耳の痛い思いをせぬよう、一業界人としては研鑚を積まねばなるまいて。



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2006/01/16

「年金制度設計ハンドブック」


秀逸な図解テンプレート集!?

年金制度設計ハンドブック年金制度設計ハンドブック
日本生命 企業保険数理室

東洋経済新報社 2005-04-22
売り上げランキング : 70,477
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確定拠出年金(DC)およびキャッシュ・バランス・プラン(CB)の制度導入に特化した書籍としてはとっつき易い。それもそのはず、これでもかと言わんばかりの図解のオンパレードで、おそらく「マッキンゼー流 図解の技術」久恒啓一氏の図解本の影響を受けたものと思われる。ここまで図表を並べておけば、頭の古いお偉方や代議員をわかった気にさせてサクサクと制度導入を進めるのも容易い!? とはいえ、内容は結構ハイレベルなのでご注意を。

なお、本書を執筆した日本生命が作成する年金基金向け資料は、どれも図解が分かり易くて秀逸。その上Webサイトで惜しげも無く公開するなどまさに太っ腹。受託機関のサイトとしては住友生命と双璧を成す充実ぶり。そんなノウハウが本書にも反映されている。制度導入時は勿論、図解テンプレート集として脇に置いておくのも悪くない。



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2006/01/09

「企業年金マネジメント・ハンドブック」


企業年金版「今さら人には聞けない辞典」

企業年金マネジメント・ハンドブック―新企業年金法の重要テーマ解説企業年金マネジメント・ハンドブック―新企業年金法の重要テーマ解説
日本年金数理人会

東洋経済新報社 2003-02
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企業年金にまつわる専門用語はどれもとっつき難いものばかり(汗)。しかしいずれも重要事項であり、理解せずには先に進めないのが悩ましいところ。そんな企業年金を理解するためには避けて通れない必須事項を、豊富な図表を用いて解説しているのが本書。個人的には、34ページ「数理的評価の3方式の比較」や、36ページ「数理債務と責任準備金」の債務計算の流れが非常に参考になった。難解な事項をわかりやすく説明することがコンサルタントの生命線だとしたら、本書の出現により下手な年金コンサルタントはその存在意義を失いかねない。日本年金数理人会の狙いがそこにあるかは不明だが。

ただし本書の刊行から早3年、企業年金制度は更に変貌を遂げており、税制など古くなったトピックも少なくない。一日も早い改訂版の刊行が待たれるところだが、企業年金制度を学ぶ際の基本書としてはまだまだ現役。初心者には勿論オススメだが、いまいち意味を解しないまま「PSLがさあ」なんて口にして悦に入っている業界関係者にこそ強くオススメしたい。



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2006/01/02

「企業年金の教室 実践編」


受給権を守るための実践書+企業年金版「悪魔の辞典」

企業年金の教室 実践編企業年金の教室 実践編
河村 健吉

中央公論新社 2003-01
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タイトルから単なる制度紹介本を連想すると、その期待は裏切られるだろう。「給付削減に唯々諾々と従うべからず」が本書のテーマ。信託銀行で企業年金のセールスに長年携わってきた著者が、一般の社員や労働組合を対象に、企業年金の受給権を守るため(泣き寝入りしないため)のチェックポイントを解説している。

中でも興味深かったのは、筆者の年金行政(厚生労働省)に対する見解。前著「企業年金危機」では「箸の上げ下ろしまで規制してきた事が基金の自主性を阻害した」と苦言を呈していたが、今回は「労使の自主性を尊重するため、格差の解消には介入して来ない」と述べている。一見すると正反対だが、要は(企業年金2法が制定されて以降)これまで以上に労使合意の重要性が増しており、労使交渉での中途半端な妥協は将来に禍根を残すという著者の警鐘であろう。

また、巻末の"企業年金用語集"は、いわば企業年金版「悪魔の辞典」。定年退職して業界とのしがらみが無くなったが故の毒づいたコメントの数々は業界人必見。話のわかる大人向けの秀作に仕上がっている。以下にその一部を抜粋してみる。

運用ガイドライン
厚生年金基金などが、受託機関に指示する具体的な資産の運用方法を書いた文書。個別資産の比率、運用方法、運用評価等が書いてある。運用機関はこれを守れば成績が良いか悪いかを気にしなくてもよいありがたい文書。

過去勤務期間
年金制度ができる前に入社した従業員の、発足前の勤務年数を加入期間に含めることを「過去勤務期間の通算」という。過去とは制度ができる前の意味。この言葉を自由に使えるようになると、企業年金をわかった気になる初心者向けの専門語。

代議員会
厚生年金基金と基金型企業年金の運営方法などを決める会合。(中略)厚生省は「労使参加の民主的運営が行われ基金に対する信頼が得られてきた」と自賛したが、実は翼賛会である。

日本版401(k)
日本の確定拠出年金制度の俗称。法令にない用語だが新聞記者などが使いたがる。401(k)とは、アメリカの内国歳入法第401条k項のこと。(以下略)

ともあれ、企業年金関連の書籍で加入員・受給者向けに書かれたものは滅多に無いため、実際に制度改正(改悪?)に晒されている向きは勿論、そうでない向きにも是非オススメしたい。


余談だが、その後同じ著書により「やさしい企業年金用語事典」が刊行されたが、中身は毒気がすっかり抜かれた普通の用語集と化していた(汗)。

※普通の用語集でイイやという方はコチラ↓
やさしい企業年金用語事典やさしい企業年金用語事典
河村 健吉

社会保険広報社 2004-02
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2005/12/22

「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」2006年版


ikou-taiou2006労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック(2006年版)

日本労働組合総連合
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク 共編
2005-11-30

先日紹介した「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」だが、今月に入ってから改訂版が出たとのこと。イデオロギー色を排除して情報を整理することに注力した構成は、前版同様使い勝手が良い。今回は「退職金前払い」「高齢者雇用」「企業年金のポータビリティー」に関するトピックが新たに加わっている。



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2005/12/01

「企業年金の法と政策」


労働法的な視点から見る退職金・企業年金

4641143269企業年金の法と政策
森戸 英幸

有斐閣 2003-03
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企業年金制度を労働法的視点から俯瞰したものとしては、現在最も完成度の高い一冊。退職給付制度の主流である厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金のみならず、退職一時金、特退共、年金財形といったマイナー(失礼)な制度に関しても記述が丁寧で、しかも必ず根拠条文が記載されているのは嬉しい限り。まさに「法と政策」という題名に偽りなし。

しかし何と言っても白眉なのは、「判例」「不利益変更」「受給権保護」といった法務的トピックの充実ぶり。年金業界を見渡すと、「企業の財務担当者」「ファンドマネージャー」「年金数理人」「役人OB」と、数字には強いが法務には疎い面々ばかりなだけに、労働法の専門家によるこうしたタイプの書籍が永らく待たれていた。年金受給者による年金減額訴訟が紙面を賑わしつつある昨今、改めて本書を読み返してみる意義は大きい。



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