2009年11月17日

事業仕分け at 企業年金

事業仕分け 第1弾終了 廃止・見送りと「埋蔵金」で1.3兆円超 (NIKKEI-NET)
政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)の作業グループは17日、2010年度予算の概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」の第1弾の作業を終えた。廃止や予算縮減などを求めた事業の削減総額は4千億円規模となった。国が財源を拠出する独立行政法人や公益法人の基金、特別会計の積立金などいわゆる「霞が関埋蔵金」からの国庫返納要求は4千億円規模に上り、財政に与える効果は合わせて1兆3千億円を超えた。

民主党政権の予算削減の目玉である、行政刷新会議の「事業仕分け」。今月11日より第1弾が開始されているところだが、本日は、なんと企業年金関連の補助金も俎上に載せられたのをご存知だろうか。

行政刷新会議 仕分け結果の詳報(11月17日) (47news)
【企業年金等普及促進費】
企業年金連合会などが年金給付に必要な事務を行う際に厚労省が支給する補助金や、国民年金に上乗せして給付される付加年金の国庫負担分など。10年度予算では22億円を要求。「予算の算定根拠があいまい」などとして、3分の1程度削減するよう求めた。

上記にあるとおり、この企業年金等普及促進費には、企業年金連合会および国民年金基金連合会が実施する年金給付事業への事務費補助等も含まれている。なお、企業年金連合会は予算・決算状況がそこそこ開示されているものの、国民年金基金連合会はその点情報開示が甘いと言わざるを得ない。どうせ予算削減するなら、ディスクローズが乏しい方を大幅削減するというのはどうだろうか(汗)。


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【2009.11.18追記】
行政刷新会議のWebサイトにも詳細がupされた模様。
施策・事業概要 (pdfファイル)
評価コメント (pdfファイル)






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2009年11月02日

積立方式の難しさを物語るOECDのレポート

年金資産490兆円目減り OECD30カ国 (NIKKEI-NET)
【パリ=古谷茂久】経済協力開発機構(OECD)は26日、加盟30カ国の年金資産の時価総額について、2008年中に5兆4千億ドル(約490兆円)減ったとの試算を発表した。昨年秋からの金融危機が響き、株式や債券などの運用資産が目減りした。今年1〜6月期には約1兆5千億ドル増えたが「08年の損失を取り返すには時間がかかる」と分析している。
(2009/10/27 日経朝刊 7面)

去る10月26日に公表されたOECDのPension Markets in Focus (Issue 6)によると、OECD加盟30カ国の私的年金資産の総額は、2008年の1年間だけで5.4兆ドル目減りしたものの、09年上半期で1.5兆ドル以上回復したというもの。報道媒体によって「2008年の減少」と「2009年の回復」のどちらを見出しにするかが分かれているが、内容的には双方とも間違いではない。ちなみにレポート原文(2ページ)は後者を見出しに掲げている。

 ・年金490兆円喪失の試算 OECD (読売新聞)
 ・OECD:加盟国の年金資産、09年上期に回復 (Bloomberg.co.jp)
 ・OECD加盟国の年金基金、09年上半期に08年の損失の一部取り戻す (ロイター)

なお、日経の記事では「日本は加盟国の中では中位程度の実績」との記述があったものの、原文を参照した限りでは、日本の運用成績が中位程度だったとする記述は皆無であった(日本の資産構成割合、海外投資割合、企業の年金債務に関するデータは記載あり)。まあ、OECDのペーパーは上位と下位のみをピックアップする比較形式が一般的なので、「未掲載=中位」と捉えることはあながち的外れとは言えない。
それにしても、短期的な運用成績に一喜一憂すべきでないことは承知しつつも、やはり積立方式はボラティリティ(変動性)が大きいことは否めない。公的年金を積立方式に移行せよとの論者は(昨今トーンが低くなったとはいえ)後を絶たないが、事前積立方式である企業年金の実務に携わる立場から言わせて貰うと、積立方式は公的年金には不向きであると考える。よく「賦課方式は人口動態の変動に弱く、積立方式は金融市場の変動に弱い」と言われるが、そもそも経済成長は人口構成の影響を免れないのではないか。

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/12/5): OECDが提唱する日本の年金改革(総論)
The企業年金BLOG(2009/6/25): OECDの公的年金所得代替率に関する留意点
The企業年金BLOG(2008/12/5): 公的年金にまつわる10の神話



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2009年10月01日

10月1日は「転がし計算の日」に決まってるだろ

10月はみんなでDCを考える月間です。 (NPO 401k教育協会)
弊協会では、日本における確定拠出年金制度発足日である10月1日を「確定拠出年金の日」と制定しました。また、10月を「みんなでDCを考える月間」と定め、10月9日、10日には制定記念イベントも行います。詳細についてはセミナーご案内ページをご覧ください。

2001年10月1日に確定拠出年金法が施行されたことにちなんで「確定拠出年金の日」だとは、よくもまあ臆面もなく・・・と言いたいところだが、当事者は日本記念日協会なる任意団体からお墨付きを貰うほどの力の入れよう。ここは生温かく見守るしかあるまい(苦笑)。もっともこの認定、格付け機関のような厳正な審査が行われたのかと思いきや、どうやら7万5千円出せば誰でも登録できる代物のようだ(汗)。

しかし、10月1日は厚生年金基金にとっても特別な日であること忘れてはなるまい。今を遡ること10年前、1999年の公的年金制度改正により厚生年金保険料率の引上げが一時凍結されたことから、厚生年金基金における最低責任準備金の算定方法も変更を余儀なくされた。これを俗に「最低責任準備金の凍結」と称するが、この凍結措置が実施されたのが1999年10月1日である。凍結期間中の最低責任準備金の算定方法は転がし方式(過去法に基づく方式)と称され、あくまでも一時的な措置だと思われていたが、2004年の公的年金制度改正時において当該凍結措置が解除されたにも関わらず、転がし方式は正規の算定方法として現在もなお使用されている。それにしても実施当初は、まさか10年間も転がし続ける羽目になろうとは、一体誰が想像できたであろうか・・・(遠い目)。ともあれ、企業年金の通を気取るならば、10月1日は確定拠出年金よりも転がし計算に思いを馳せたいものだ(嘘)。

<参考文献>
厚生年金基金における代行部分の中立化について (住友信託銀行)
年金用語解説…「最低責任準備金」 (第一生命 年金通信)



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2009年09月11日

企年連のガバナンスファンドがひっそりと解約

今週刊行の「年金情報」9月7日号(No.511)によると、企業年金連合会が企業統治の優れた国内企業に投資する「コーポレート・ガバナンスファンド」の運用を取りやめたとの記事を目にした。
コーポレート・ガバナンスファンドは、日本企業のコーポレート・ガバナンスの改善を促すという主旨から2004年3月に設置された(委託先は野村アセットマネジメント)。その後、数回の銘柄追加組み入れを経て、一時期は銘柄数80社、資産規模数百億円を誇っていたものの、昨夏にコーポレート・ガバナンス活動の旗振り役が退任したのを機に方針転換したのか、約5年でその歴史に幕を閉じることとなった。ちなみに同記事によると、コーポレート・ガバナンスファンドの運用成績は「TOPIXをわずかに上回る程度」だったという(汗)。
企業年金連合会から正式なプレスリリースはまだ出ていないが、公に報じられたのはおそらく今回が初めてであろう。もっとも当BLOG管理人は、今年初頭に企業年金連合会のWebサイトのリニューアル時にコーポレート・ガバナンスファンド関連のページがごっそり削除されたのを見逃さなかったがね(同時期にファンド解約の事実も確認済み)。

それにしても、立ち上げ時の華々しさとは対照的な閉鎖時の寂寥感は何もファンドに限った話ではないが(汗)、今回の廃止に関して、連合会は投資対象だった企業に対して何らかの説明を行っているのだろうか。とりわけ、最後の銘柄組み入れ(2008年7〜8月頃)で選定されたことをアピールしている企業のプレスリリース(ココとかココとか)が未だ掲示されているを見るにつけ、何とも言えない気分になる(汗)。



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2009年07月29日

企業年金の政省令改正が相次ぐ

本日(7月29日)、確定拠出年金法施行令が改正公布された。これにより、2010年1月より拠出限度額が以下のとおり引上げられることが法令上規定された。

 【企業型】
  他の企業年金がない場合:46,000円 → 51,000円
  他の企業年金がある場合:23,000円 → 25,500円
 【個人型】
  第2号加入者(企業年金のない従業員):18,000円 → 23,000円

また、一昨日の7月29日には、確定給付企業年金法施行規則が改正され、継続基準の財政検証に抵触した際の掛金引上げ等が猶予されるなどの時限措置が施行された。このほか、厚生年金基金の財政運営基準改正に関するパブコメ募集が本日まで行われるなど、金融危機による財政悪化を受けての企業年金の制度改正が最近目まぐるしく動いている。


<参考資料>
確定拠出年金法施行令の一部を改正する政令(pdf)
 (平成21年7月29日政令第193号)
確定給付企業年金法施行規則の一部を改正する省令(pdf)
 (平成21年7月29日厚生労働省令第134号)
厚生年金基金の財政運営基準の改正について(案)に関する意見募集
 (2009年7月29日まで)



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2009年07月08日

厚生労働省所管独立行政法人に関するパブコメ募集

本日2009年7月8日付で、電子政府の総合窓口(e-Gov)厚生労働省所管独立行政法人の業務・マネジメント等に関する意見募集(パブリック・コメント)が発表された。パブリック・コメントとは法令・通達等の改正時などに用いられるものだとばかり思っていたが、業務・マネジメント等に関する意見募集とは、特殊法人の統廃合への布石なのだろうか(汗)。なお、今回対象となっているのは以下の13法人。

 年金積立金管理運用(独)
 (独)年金・健康保険福祉施設整理機構
 (独)医薬基盤研究所
 (独)医薬品医療機器総合機構
 (独)国立病院機構
 (独)労働者健康福祉機構
 (独)雇用・能力開発機構
 (独)労働政策研究・研修機構
 (独)国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
 (独)福祉医療機構
 (独)勤労者退職金共済機構
 (独)労働安全衛生総合研究所
 (独)国立健康・栄養研究所

上記のうち、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と、中退共建退共などを運営する勤労者退職金共済機構は、企業年金業界にも馴染みが深い。また、労働政策研究・研修機構のwebサイトや、福祉医療機構が運営しているWAM NET(ワムネット)は、情報源としての利用価値が高い。これら独立行政法人の運営は効率的に行われてしかるべきだが、個人的に活用頻度の高い法人については願わくばお取り潰しは免れて欲しいものだ(汗)。



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2009年07月03日

ネタが現実に!?

人材コンサル大手のタワーズとワトソン、対等合併で合意 (NIKKEI-NET)
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)
米国の人材コンサルティング大手2社、タワーズ・ペリン・フォスター・アンド・クロスビー(非公開企業)とワトソン・ワイアット・ワールドワイド(NYSE:WW)は28日、対等合併することで合意し両社の取締役会が承認したと発表した。コンサルティング業界での、景気後退(リセッション)を背景とした合併となる。
新会社「タワーズ・ワトソン」の年間売上高は約32億ドル、従業員数は1万4000人となる予定で、上場する方針。
(2009/6/29 日経朝刊 面)

記事にあるタワーズ・ペリンワトソン・ワイアットの2社は、人材コンサルだけでなく、企業年金の制度設計や資産運用のコンサルティングも手がけており、年金業界でもそこそこ名の知れた存在である。
当BLOG管理人はこの2社とは何の縁もないが、驚かされたのは、日頃小ネタとして用いていた「どこの会社?」「タワーズ・ワトソンです!」が現実のものとなってしまったことである。今後は正式名称として商標登録されるだろうから、このネタは永遠に封印せざるを得まい。代わりに今度は「ペリン・ワイアット」とでも称してみるか(汗)。

なお、上記2社のように生命保険会社・信託銀行・JA共済のいずれにも該当しない法人は、企業年金業務の受託に際して「政令指定法人」の認可を受ける必要がある。詳細はまたの機会に解説することとしたい。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/7/15): 政令指定法人 ─ 第4の担い手
The企業年金BLOG(2010/7/12): もはやネタも尽きたか!?



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2009年06月23日

イコーマンの正体判明す!?

厚労省若手職員、適格年金移行テーマに動画作成 (年金情報)
厚生労働省はインターネット上で多くの閲覧者がいる「YouTube」で適格退職年金の移行に関する動画配信を始めている。企業年金国民年金基金課の若手職員が動画を作成した(後略)
(2009/6/15 年金情報 p.17)

なるほど、そういうことだったのか。
ヘタウマ路線を狙ったわけではないことは承知した(汗)。
さて、記事の続きは・・・↓

動画は、「適格退職年金移行物語」と題するもので、約6分間の短編ストーリーを収録。適格年金の移行問題を知ったOLが社長に「あと3年しかない」と適格年金の移行を促すが、社長は「まだ3年ある」と移行を決めかねている。そこに適格年金の移行を促す適年移行推進隊「イコーマン」が登場し、移行に必要な相談先を助言する。(後略)
(前掲記事より抜粋)

それにしてもイコーマンって、推進「隊」と称する割には一人ぼっちだったり、結局自らは手を下さず相談先を紹介するだけだったりと、ツッコミどころが日増しに増える一方だが、せめて当BLOGだけは今後の成り行きを生温かい目で見守ることとしたい(汗)。



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2009年06月11日

401(k)が駄目ならIRAだってか(汗)

待望される本格的個人年金 (大機小機)
(前略)残る一つは、全国民に向けた老後のための非課税積立制度である。個人の自助努力を促すうえでは、何にもまして税の優遇による後押しが欠かせない。米国で企業年金を補完する目的で誕生したIRA(個人退職勘定)は、今では資産規模で401kを超える最大の退職所得制度となっている。二匹目のドジョウではないが、日本版個人退職勘定の登場が切望される。(後略)
(2009/6/10 日経朝刊 17面)

IRA(個人退職勘定)とは、個人が金融機関等に開設した個人口座に拠出する制度であり、1974年に制定されたERISA(法)により規定されている。元来は企業年金制度が無い労働者への税制優遇措置であったが、その後の改正により現在は70.5歳未満の全勤労者および自営業者が利用可能である。また、中途引出しには10%のペナルティ・タックスが課せられる。日本で言うところの個人型確定拠出年金のイメージに近い。IRAの資産規模は2007年末で4.7兆ドルと、同時期のDC制度(401(k)プラン含む)の資産規模3.7兆ドルを上回っている。これは記事の指摘のとおり(出典)。しかし、IRAの年間拠出限度額は5,000ドルと、401(k)プランの拠出限度額15,500ドルと比較すると拠出限度枠は小さい。IRAの資産規模が大きいのは、転職時・退職時における401(k)プラン等の積立金の受け皿として機能していることによる(これをロールオーバーIRAと言う)。

さて、これまで確定拠出年金(注:日経新聞は必ず日本版401k(笑)という呼称を用いる)の導入・普及の旗振り役を担ってきた日経新聞だが、日本における普及が思うように進まない苛立ちからか、今度は日本版IRA(笑)を創設せよと来たもんだ。要は、どんな形でもいいから株式市場に資金が流入すれば万々歳という発想なのだろう。さすがは日本最大の株式新聞の面目躍如といったところ(毒)。別に日本版IRAなどと声高にブチ上げなくても、個人型DCの改正・整備で十分に対応可能なのだがね。IRAや401(k)は本来は非常に良い制度であり、ポータビリティ確保の観点からはこれらの機能を拡充すべきと当BLOG管理人は考える。しかし、同じ主張を投信手数料を稼ぎたい金融機関資産運用アドバイスで優越的地位を占めたい金融マスメディア風情に為されると、それが結果的に正論であっても「お前が言うな」と思わず条件反射してしまう(汗)。
予断だが、日本においてIRAではなく最初に401(k)が注目されたのは、当時(1990年代半ば)は401(k)の方が資産規模が大きかったことによるものと思われる(IRAがDCの資産額を追い越したのは1999年)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/1/11): 「中途引出し緩和」より「ポータビリティの充実」を



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2009年06月09日

頭を冷やす良い機会かと

確定拠出年金 規制緩和要望を見送り 10年度税制改正で厚労省 (NIKKEI-NET)
厚生労働省は2010年度の税制改正に向け、毎年提出してきた確定拠出年金(日本版401k)の規制緩和要望を見送る見通しだ。企業年金の積立金に課税する特別法人税の凍結措置を10年度末に解除するのに合わせ、企業年金の税体系を抜本的に見直す。
(2009/6/7 日経朝刊 3面)

昨年12月に公表された与党税制改正大綱に盛り込まれたことから俄然注目を集めた確定拠出年金(DC)拠出限度額引上げおよびマッチング拠出導入。本年3月には「企業年金制度等の整備を図るための確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」が提出されるなど制度改正へ向けて一気に加速するかと思われたが、その流れに歯止めがかかったとしているのが上記の記事。またもやDC業界関係者の嘆きが聞こえてくるようで、当BLOG管理人にとっては実に心地良い(笑)。

そもそも、2004年以来遅々として進まなかったDCの税制優遇拡大が急遽検討されたのは、昨今の株価低迷を受けての景気対策としての側面が大きく、今般のDCの改正内容も突貫工事ゆえの疑問が多い。とりわけ、現在議論されているマッチング拠出本来のマッチング拠出とは違い、企業型DC加入者のみが対象となっている。これは、高給サラリーマンほど税制優遇の恩恵を享受する差別的な仕組みであり、金持ち優遇との謗りは免れまい。特定階層のみを利するような公平性を欠いた税制優遇に理念はない。ともあれ、企業年金の税体系を抜本的に見直す観点から、今回の措置を当BLOG管理人は大いに評価する。未曾有の経済危機が叫ばれる環境下だからこそ、企業年金百年の計を見越した議論が求められよう。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/3/21): マッチング拠出の支持率はたった6割弱!?
The企業年金BLOG(2009/2/10): マッチング拠出など砂上の楼閣!?



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2009年04月08日

早くも総合型DB設立の動きが加速!?

トラック運送業界初の確定給付企業年金が誕生 (物流ウィークリー)
神奈川県でこのほど、トラック運送業初の確定給付企業年金であるANT企業年金基金が設立される。2012年3月に廃止される適格退職年金の受け皿として期待されており、18日には設立説明会が開催された。
ANT企業年金基金の理事長で、神奈川貨物自動車厚生年金基金理事長でもある筒井康之氏は設立の経緯について、「年金基金の中で適格退職年金廃止後の受け皿をどうするのか、という議論を2年間続けてきた」と説明。「受け皿としては中退共(中小企業退職金共済)もあるが、もう少し柔軟なものがいいのではないかと考え、トラック業界では全国35の年金基金がある中、業界最初の総合型確定給付型企業年金基金制度を設立した」と述べた。
(2009/4/6 物流ウィークリー)

業界の年金基金が業界誌に取り上げられることはよくある話だが、当該業界誌の記事がWeb上に掲載されているのはじつに珍しい。いつぞや発表された規制緩和措置を受けての動きではないにしても、適格退職年金の受け皿として総合型DBが有力な選択肢となり得ることを示唆する記事であった。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/2/18): 総合型企業年金の時代が再び到来するか



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2009年03月21日

マッチング拠出の支持率はたった6割弱!?

確定拠出年金 マッチング拠出導入 企業の59%が積極的 (NIKKEI-NET)
企業が拠出する確定拠出年金(日本版401k)の掛け金に従業員個人が資金を上乗せする「マッチング拠出」を導入したい企業の割合が59%に上ることが、確定拠出年金教育協会(東京・中央)の調査でわかった。
(2009/3/21 日経朝刊 3面)

マッチング拠出なんて企業が身銭を切るわけではないのだから、企業サイドの支持が多くって当たり前だと常々思っていただけに、今回の59%という数字は正直物足りなさを感じた。(だから日経の扱いも小さめ?)。むしろ、支持しない理由として「事務局の手間がかかる」が47.8%(大企業では83.3%)が挙げられていることの方が興味深い。企業拠出と加入者拠出を混在させるとなると、区分管理のための何らかのコストがかかることは必定だけに、企業、加入者、そして運営管理機関の今後の動向が気になるところ。
なお、今回の調査の実施元であるNPO法人確定拠出年金教育協会のwebサイトを参照したところ、当該調査結果はまだ公表されていない(2009年3月21日午前10時現在)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2009/2/10): マッチング拠出など砂上の楼閣!?



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2009年02月18日

総合型企業年金の時代が再び到来するか

確定給付企業年金、中小で共同設立容易に (NIKKEI-NET)
厚生労働省は従業員に一定の年金額を約束する確定給付企業年金を中小企業同士で設立しやすいよう条件を緩和する。2012年3月末に廃止する税制適格年金の受け皿を拡大する狙いだ。税制適格年金からほかの年金制度への移行や、解約が済んでいない企業は約3万社に上る。制度面から移行を後押しし、給付水準が長期的に下がる公的年金を補完、老後の所得保障を支援する。
(2009/2/18 日経朝刊 4面)

中小企業が合同で退職金・年金を準備する制度の元祖は、1959年(昭和34年)に創設された中小企業退職金共済(中退共)である。その後、厚生年金基金における総合設立(総合型)が台頭し、バブル絶頂期には規制緩和も手伝って数多くの総合型基金が設立された。ところが、従来から「どんぶり勘定」「寄り合い所帯で意思決定が遅い」「幹部は役所からの天下りばかり」との批判を受けていたことに加え、バブル崩壊とともに下火になったことは、さほど古い時代の話ではない。

しかし、力の無い小さな者が身を守るために「群れを為す」あるいは「団結する」ことは、人類のみならず全ての生物の本能であり知恵である。この効用は、毛利家の「三本の矢」や童話の「スイミー」の例を持ち出すまでもない。そもそも企業年金自体が、個々人の年金資産を一括管理することによって事務負担や手数料負担を軽減するスケールメリットをもたらす仕組みを内在している。そういう意味では、中小企業同士による企業年金の共同設立を支援するという今般の施策は非常に理に適ったものである。少なくとも、先日報道された特例措置の発動よりかは遥かに筋が良い。
とはいえ、かつて批判されたようなどんぶり勘定の時代に逆戻りすることはもはや容認されまい。次世代の総合型企業年金には、加入者個々人の持分や制度運営状況などに関する徹底した透明性の確保が求められよう。



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2009年02月15日

好況時は無策で不況時は特例措置ですかそうですか

企業年金積み立て不足穴埋め、掛け金上げ猶予 (NIKKEI-NET)
厚生労働省は12日、株価急落による運用環境の悪化を受け、厚生年金基金など確定給付型の企業年金の財政運営ルールを一時的に緩める方針を固めた。運用利回りの低下で年金積立金が一定以上減ると、企業は掛け金を追加拠出し積み立て不足を穴埋めする必要がある。厚労省は掛け金の引き上げを1-2年間、猶予する措置を検討。企業の負担増を先送りし、金融危機の中でも企業年金を維持しやすくする。
(2009/2/13 日経朝刊 1面)

金融危機という非常事態なのだから負担増先送りもやむなしという事なのだろうが、ならば問いたい。過去最高の運用利回りを享受していた過去4・5年間は何をやってきたのか。企業が積立不足の償却を率先して進めたなんて話は寡聞にして存じないし、行政にしても非継続基準の特例措置(最低積立基準の90%までで可)の延長を早々と決定してしまう始末。
運用が好調な時は「企業年金はプロフィットセンターだ」「余計な規制は設けるな」「これからはオルタナティブ投資だ」と言っておきながら、一変して不調に転ずると「制度の持続性が重要」「特例措置の発動を」「株式割合を減らしてLDIだ」などとのたまう不見識ぶりでは、自分達は時代の変化に対応できない遺物だと自ら宣言しているようなもの。これでは山崎元氏の企業年金無用論に説得力のある反論はできまい。



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2009年02月10日

マッチング拠出など砂上の楼閣!?

Sprint Nextel、従業員8000人を削減 (ITmedia News)
米携帯キャリア大手のSprint Nextelは1月26日、年間約12億ドルの人件費削減を目指し、3月31日までに従業員のおよそ13%に当たる約8000人を削減すると発表した。8000人のうち約850人は、昨年末に発表された自主退職プランの志願者となる。同社はカスタマーサービスの質を維持するため、顧客に直接対応するサービス部門の人員削減は、ほかの部署よりも少ないとしている。
また人件費削減計画には、企業年金401kプランの企業負担の差し止めと、2008年に引き続き2009年の昇給ゼロも含まれる。
(2009/1/27更新)

確定拠出年金(DC)を推進する金融機関および新聞社は、米国のようにマッチング拠出(注:本家米国では、個人拠出に企業拠出を上乗せ拠出することを意味する)が認められればDC市場が拡大・安定するかの如き幻想を振り撒いているが、何てことはない、マッチング拠出など不景気になれば容易に減額・停止される代物ではないか(毒)。

一方、日本では企業拠出に従業員拠出を併せることをマッチング拠出と称しているが、こちらは不景気になったら従業員に拠出させようとする意図だろうねおそらく。DC業界には「身銭(従業員拠出)を切れば資産運用に本気になる」と真顔で唱えるトホホな御仁が少なくないが、DC関連のフォーラムだのシンポジウムだのでパネリストを梯子している旗振り役に限って実はDC未加入だったりするのは、業界では半ば公然の秘密(汗)。



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2008年12月17日

DCに手厚く個人年金に冷たい与党税制改正大綱

【社説】景気も改革も力不足の与党税制大綱 (NIKKEI-NET)
2009年度の与党税制改正大綱は住宅ローン減税の拡大や証券優遇税制の延長など、国・地方で約1兆円(平年度ベース)の減税となった。景気悪化に一定の配慮はしたものの、一貫性のない政策減税の寄せ集めでは経済の浮揚には力不足である。中期の課題である消費税や法人税の抜本改革も踏み込めず、麻生政権の求心力低下を映した。
(2008/12/13 日経朝刊 2面)

今月12日に公表された2009年度税制改正大綱。マスメディアの報道ではたばこ税増税やら住宅ローン減税やらばかりが取り沙汰されているが、企業年金業界にとっては見逃せない項目が幾つか散見された。

平成21年度税制改正大綱(自民党)
第三 平成21年度税制改正の具体的内容
八 金融・証券税制

(中略)

6 確定拠出年金制度
 (1)企業型確定拠出年金への個人拠出(いわゆるマッチング拠出)は
   全額所得控除
に。
 (2)確定拠出年金の拠出限度額の引上げ。
  @企業型
   イ 他の企業年金がない場合 月額4.6万円 → 月額5.1万円
   ロ 他の企業年金がある場合 月額2.3万円 → 月額2.55万円
  A個人型
   ・ 企業年金がない場合   月額1.8万円 → 月額2.3万円

7 生命保険料控除の改組 ※2012年より適用
 (1)新しい控除枠の設定等(適用以後に締結した契約のみ)
  @介護医療保険料控除の創設(年4万円限度)
  A生命保険料控除の引下げ(年4万円限度)
  B個人年金保険料控除の引下げ(年4万円限度)
 (2)新控除の施行日前に締結した契約には引き続き旧控除を適用
 (3)新控除と旧控除の合計適用限度額は年12万円限度

(pp.34-36より一部抜粋、強調等は当BLOG管理人による。)

注目すべきは、何と言っても確定拠出年金(DC)のマッチング拠出解禁&拠出限度額引上げである。確かに業界からは要望が著しかったが、先月公表された政府税制調査会次年度答申ではDCについて一言も言及されていなかっただけに、唐突な感は否めない。まあ、DCの制度創設目的の一つが株価対策なのはもはや公然の秘密だけに、ある意味本来の趣旨に沿っているとも言えよう(汗)。それにしても、企業型で他の企業年金がある場合の新しい限度額は月額25,500円とあるが、この「500円」という端数には何か意図があるのだろうか・・・!?(汗)

また、個人年金保険および確定給付企業年金(DB)の本人拠出と密接に関連する生命保険料控除についても、1990年以来の大幅な改正案が提示された。医療保険・介護保険向けの控除として「介護医療保険料控除」(年4万円限度)が新設され、従来の生命保険料控除および個人年金保険料控除は限度額が年4万円にそれぞれ引下げられた。ただし引下げは制度施行後の契約にのみ適用されるため、現在の保険契約には一切影響なし。つまり、トータルでみた保険控除額が10万円(死亡・年金)から12万円(死亡・年金・医療)に増加したという事である。

最後に年金BLOGらしくまとめると、同じ老後資金準備のための自助努力手段であるにも関わらず、DCと個人年金保険とでは明暗を分ける結果となった今回の与党税制改正大綱であった。



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2008年12月10日

国際基準の鵜呑みしかできない日本の会計専門家

会計基準委、債券の保有区分変更を正式決定 (NIKKEI-NET)
企業会計基準委員会は4日、債券の保有区分の変更を認める会計基準を正式決定した。決算期ごとの時価評価が義務付けられている「売買目的」や「その他」の区分から、時価が大幅に下がった場合にだけ評価減する「満期保有」への振り替えが可能になる。2008年10―12月期の四半期決算から適用できる。欧米では先行して同様の会計処理を認めている。
保有区分を変更する際は、その時点の時価で貸借対照表に計上する。当初は「売買目的」で保有していた債券も、長期保有すると事前に意思決定している場合に限り、10月1日までさかのぼって「満期保有」に振り替えることができる。決議では14人の委員のうち2人が「恣意的な会計処理につながる」などとして反対した。
同様の会計処理は欧州企業が多く利用する国際会計基準でも認められている。すでに08年7―9月期の業績開示で欧州の金融機関が相次いで保有区分を変更した。
(2008/12/5 日経朝刊 7面)

「透明性の確保」「国際基準との調和」を旗印に時価会計をこれでもかと推進してきた企業会計基準委員会(ASBJ)だが、今度は、同じ「国際基準との調和」という論理を用いて、時価会計の一部緩和に踏み切りましたとさ(苦笑)。嗚呼、なんという変節漢。
なお、翌日の日経ではその経緯が一部報じられていた↓

「時価会計」緩和に疑問の声 企業の実体見えにくく
欧米に追随、苦肉の策 透明性の確保課題に
(前略)批判が多い中で、会計基準委があえて時価会計を一部見直したのは、海外の動向を無視できなかったからだ。欧州各国が採用する国際会計基準。同基準を作成する国際会計基準審議会(IASB)に対して、欧州連合(EU)は会計基準の見直しを要請した。米国基準では保有区分の変更が認められており、欧州の金融機関が米国に比べ不利にならないようにするためだ。EU側は見直しに応じないなら、国際基準の一部を採用しないとまで迫ったという。IASBの山田辰己理事は「脅しに近いものを受けた」と振り返る。基準見直しを受け、2008年7-9月期業績でドイツ銀行など大手金融機関が相次いで評価損計上を見送った。こうした流れを受けて「日本が欧米に比べ不利になる」「海外と足並みをそろえるべきだ」との意見が勢いを増し、会計基準委も変更せざるを得なかった。(後略)
(2008/12/6 日経朝刊 14面) ※太字強調は当BLOG管理人による

・・・つまり、ASBJは海外事例の踏襲しか出来ないヘタレ軍団ということが明るみとなったわけだ(汗)。しかも、欧米の都合次第で如何様にも改竄される国際会計基準(IAS)を未だに鵜呑みにしている始末。まあ、ASBJの舶来礼賛志向は、厚生年金基金の代行部分の会計処理を巡る議論で既に耳にしていたが、こんな連中が専門家の名の下に会計基準の決定権を握っているのだから、何とも救いようがない。これでは、同基準を用いて債券を簿価評価しようと画策したと言われている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のことを笑えまいて(汗)。
本件について、他の会計の専門家はどう考えているのか是非とも見解を伺いたいものだ。


※参考資料
「債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い」の公表(ASBJ)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2005/11/25): 満期保有目的債券の簿価評価
The企業年金BLOG(2005/12/31): 代行部分の会計処理をめぐる論争



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2008年12月02日

師走早々飛ばしまくる日経新聞

企業年金 選択肢広く 確定給付・確定拠出の混合型拡充 (NIKKEI-NET)
厚労省検討 適格年金12年廃止 移行を円滑に
厚生労働省は企業年金の給付設計を拡充する検討に入った。一定の年金額を約束する確定給付型と、積立金の運用成績次第で年金額が変動する確定拠出型の双方の要素を併せ持つ混合型の企業年金メニューを増やす。負担をできるだけ抑えたい企業の要望に対応することで、2012年3月末に廃止となる税制適格年金からの移行を円滑にする狙いだ。
厚労省が09年度に企業年金研究会で具体的な検討を始め、政省令の改正などで対応する。同研究会の議論に影響力を持つ日本年金数理人会(佐々木政治理事長)が専門の委員会で議論を始めている。
(2008/12/1 日経夕刊 1面)

師走に入って早々に企業年金の文字が新聞の一面を飾っていると思いきや、これが何ともしまりのない記事であった。見出しではいかにも厚生労働省が本腰を入れたかの如き印象を受けるが、記事を良く読むと、議論を始めているのは厚生労働省ではなくて日本年金数理人会だし(汗)。この段階で本記事のいい加減さが覗えようというもの。

更に本記事は、混合型年金に関する基礎的理解が欠落している。記事の表では、混合型年金が「給付建て(DB)年金」および「掛金建て(DC)年金」と伍する独立した制度であるかのように描かれているが、勘違いも甚だしい。混合型といっても、あくまでも給付設計の一種であり、給付建て(DB)か掛金建て(DC)いずれかを基盤とするものである。記事では拡充案として「フロア・オフセット・プラン」「キャッシュ・バランス・プラン改良型」「利益分配プラン」「集団的確定拠出年金(コレクティブDC)」等が挙げられていたが、このうち真に混合型といえるのはフロア・オフセット・プランのみである。キャッシュ・バランス・プランは年金額こそ変動すれど基本的にはDBであるし、利益分配プランは完全にDCに分類されるべきものである(この利益分配プランに税制優遇を与えたのが米国の401(k)の嚆矢である)。コレクティブDCに至っては、DCと称してるのに何故混合型に分類するのか理解不能もいいところ(汗)。

ともあれ、ソースの不確かさといい、基礎的知識の欠落ぶりといい、夕刊とはいえ1面カラーで掲載するに値する記事ではないことだけは確か。まあ、よっぽど他にネタが無かったのであろう・・・(汗)。



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2008年11月09日

積立不足に転じてリストラ再燃!?

企業年金連合会 資産運用利回り マイナス9.9%に
転職した会社員の企業年金資産を預かる企業年金連合会の2007年度の資産運用利回りがマイナス9.91%となったことが11日分かった。運用損失は1兆3千億円で、損失が出るのは02年度以来5年ぶり。米国のサブプライムローン問題などによる国内外の株式相場下落の影響を受けた。07年度末の純資産額は11兆7386億円、給付債務は12兆1666億円だった。
(2008/9/12 日経朝刊 5面)

2005年度にめでたく積立不足を解消した企業年金連合会(PFA)だったが、07年度はサブプライム問題に伴う株価下落の煽りを食って5年ぶりのマイナス運用となるとともに、3年ぶりに積立不足(▲4280億円)に転じた。連合会の2007年度業務報告書を参照すると、「トータルでは積立不足(96.5%)だけど最低責任準備金比では120.2%もありますよ」(p.23)だの「運用利回りは過去5年平均で8.04%、過去12年間の累積では54.56%も稼いでますよ」(p.37)だのといったなりふり構わぬ涙ぐましい記述が哀愁を誘う(苦笑)。

ところで、連合会でマイナス運用というと、↓の記事を思い出さずにはいられない。

素顔の企業年金連合会(下) 統治推進者のジレンマ
(中略)もの言う株主として活動に脚光が集まる連合会だが、本来の最大の使命は企業年金の中途脱退者のために年金受給権を確保することだ。現在、連合会の受給者は約300万人。延べ2700万人の中途脱退者を抱える。2002年度の運用悪化で2兆円近い積立不足を出して以来、人員を31%削減するなどこの数年はリストラ一色だったが、幹部からも「ちょっと人を削りすぎた」と反省の弁が聞こえる。(後略)
(2006/9/15 日経金融新聞 1面より抜粋)

積立不足が解消してから運用スタッフを大量に中途採用したと聞いているが、今度は「ちょっと人を採りすぎた」と来るのだろうか・・・(汗)。


<参考資料>
企業年金連合会業務報告書(平成19年度) (pdfファイル)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/7/24): 久々に目にした「積立余剰」「給付増額」という単語



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2008年10月14日

片棒を担いだ事業主を無視するマスメディアの罪

辻広雅文 プリズム+one(第47号):
 「消された年金」144万件――現場実務を無視する厚労省官僚の罪

昨年燃え盛った「消えた年金」問題の解決のめども立たないうちに、「消された年金」問題が火を噴いた。社会保険庁のずさんと腐敗が暴かれる陰に、本質的な問題が隠されていると思われる。
daiamond_online20081008.jpgそれは、霞ヶ関官僚の法制度の改正と、それを受けて全国の徴収現場で職員たちが執行する力との大きな乖離である。社会保険事務所における現場実務も能力も考慮に入れずに、ひたすら机上で制度設計に励む厚生労働官僚の罪、と言ってもいいだろう。
(ダイヤモンド・オンライン 2008年10月8日)

「消えた年金」問題の次は「消された年金」問題が紙面を賑わせているが、この両者は問題が本質的に異なる。「消えた年金」問題は、言うなれば社会保険庁の事務処理上の不手際に過ぎないが、「消された年金」問題は、収納率を上げたい社会保険庁と保険料負担を軽くしたい事業主との利害が一致した立派な犯罪的行為である。これを「従業員の雇用を守るための思いやり」だと擁護する向きもあるが、現在の雇用と引き換えに将来の老後設計を食い潰しているだけであり、狡猾な論理のすり替えである。

その意味では、社会保険庁だけを一方的に悪者にしても、問題の本質を指摘したことには到底ならない。にも関わらず、殆どのマスメディアは社会保険庁のみを批判し、記録改竄に唯々諾々と応じた遵法精神ゼロの事業主にはまるで頬かむり。その典型が上記のダイヤモンドオンラインの記事。筆者は元編集長で現在は論説委員だそうだが、現場を見ようともせず机上で批判記事をいじり続けて悦に浸っているから、こんな一面的な記事しか書けないのであろう。筆者には、論説委員室にばかり篭ってないで現場を見て来いとだけ忠告しておこう(汗)。



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