2007年06月08日

基礎年金番号に反対してきた連中が年金記録不備を糾弾する矛盾

年金特例法案が衆院通過 社保庁法案も (NIKKEI-NET)
野党、抵抗強める
国会は1日未明、衆院本会議で社会保険庁改革法案と年金支給漏れの時効を撤廃する特例法案を自民、公明両党の賛成多数で可決、参院に送付した。両法案の今国会での成立は確実な情勢で、与党は納付記録漏れ問題で失墜した年金政策への有権者の信頼回復を目指す。ただ、野党は安倍政権の責任追及など抵抗を強めており、会期末に向けて与野党攻防は一段と激化する。
(2007/6/1 日経朝刊 1面)

社会保険庁の年金記録管理の問題については当BLOGでも何度か触れたし、メディアも昨年頃からしばしば取り上げている。とりたてて目新しい話題ではなく、個人的には「何を今更!?」感が強い。しかし、最近「年金 記録」などのキーワード検索で当BLOGを訪れる方も多いので、改めて以下に掲示しておく。

<過去の年金記録に関するエントリ>
The企業年金BLOG(2006/9/5): 朝日新聞の年金記録記事は必見
 (被保険者記録照会回答票の見方を図解)
The企業年金BLOG(2006/8/8): 年金加入記録にミスはつきもの!?
 (記録ミスが年金額にどのような影響を及ぼすか)
The企業年金BLOG(2006/4/25): 年金加入記録の記載ミス・記録漏れにどう対応すべきか
 (当BLOG管理人が実際に直面した記録ミス事例)
The企業年金BLOG(2006/4/1): 「年金生活への第一歩」改訂版
 (年金加入記録をチェックするのに有用な書籍)

思うに、今回の騒動の真の責任は、かつて基礎年金番号に強硬に反対してその導入を遅らせたかつての野党・マスメディア一部の社保庁職員(ひいては自治労)に帰せられるべきである。野党・マスメディアは「国民総背番号制反対」「監視社会反対」を唱え、公務員労組は「労働強化反対」を唱えてきた結果が現在の惨状である。そんな連中が年金記録管理の不備を批判するとは、これをマッチポンプと言わずして何と言う。野党が批判の矛先を(彼らの支持基盤である)社会保険庁ではなく安倍政権に向けていたり、対応策の第一歩である時効撤廃法案に何故か反対するあたりに、連中の本音というか、所詮は年金を政権打倒の道具にしか考えていない事がありありと感じ取れる。

余談だが、年金記録管理の問題を度々取り上げ、当BLOGでも「分かり易い」と評した朝日新聞もまた、基礎年金番号の導入に反対してきたメディアの一つ。何だかねえ。。。






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2007年05月08日

時価評価もせずにオルタナとな!?

公的年金資金、株や債券以外でも運用検討 (NIKKEI-NET)
公的年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(年金運用法人)は、国内外の株式と債券に限っている運用先を多様化するため、不動産の証券化商品などへの投資を検討する。分散投資によって株式や為替相場に大きく左右される運用利回りを安定させるのが狙い。株・債券運用では先物市場を活用し、株価の急変動などによる損失を回避することも検討する。
(2007/5/5 日経朝刊 1面)

企業年金運用の世界では既に導入が進んでいるオルタナティブ投資。そこに公的年金もいよいよ乗り出すか──というのが上記の記事。先月も似たような報道がなされたが、公的年金運用の規制緩和について当局もいよいよ本腰を入れて来たという意思表示だろうか。オルタナ投資の導入は、分散投資によるリスク低減という観点に立てば望ましい方針ではある。少なくとも市場運用から撤退せよとかいうトンデモ理論よりは(汗)。

ところで公的年金運用といえば、ここ数年必ず話題に登るのが国債を簿価評価に変えようという陰謀。オルタナティブ投資に進出するのであれば、この際、債券を簿価評価にしたいなどという甘えは捨てるべきである。それとも、意表を突いてオルタナティブ投資にも簿価評価を求めたりして!?(笑)

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<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2005/11/25): 満期保有目的債券の簿価評価
The企業年金BLOG(2006/3/23): 公的年金の債券運用、結局時価評価に
The企業年金BLOG(2006/12/11): 年金会計に関するトピック4題 ←トピック1参照



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2007年05月02日

運用利回りは地味なくらいが丁度良い!?

生保7社、団体年金の利回り5.48% 06年度 (NIKKEI-NET)
大手生命保険7社が企業年金から運用を受託している団体年金(特別勘定)の2006年度の運用利回りは、平均5.48%となった。株価の急上昇で過去最高を記録した05年度の利回り(平均23.33%)は下回ったものの、4年連続でプラスを確保した。
団体年金の特別勘定は一定の運用利回りを保証する一般勘定とちがい、運用実績をそのまま運用利回りに反映する。企業は一般勘定に上乗せして生保に委託する。生保が受託する団体年金全体の残高は約33兆円で、特別勘定はこのうち2割程度を占める。
(2007/5/2 日経朝刊 4面)

新年度に入って早くも1月が経過し、そろそろ昨年度の運用利回りに関する発表がチラホラと為される時期となった。史上最高の運用利回りを記録した一昨年(05年度)は新聞の1面をしばしば飾っていたものだが、昨年度はそれらに比べると数字が地味なこともあり、今回の記事は4面でひっそり掲載されていた。一喜一憂すべき類の数値ではないだけに、このくらいの扱いが相応しい。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/1/28): 企業年金の運用利回り報道に関する留意点
The企業年金BLOG(2006/5/2): 生保の年金運用が好調なようで・・・



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2007年04月17日

大幅低下も何も

企業年金運用利回り、4年連続プラス (NIKKEI-NET)
昨年度4.6% 前年より大幅低下
企業年金の2006年度(06年4月―07年3月)の運用利回りは4.6%と、03年度から4年連続でプラスになったもようだ。円安を追い風に外国債券が好調だったが、年金資産の配分比率が最も高い国内株式の低迷で、過去最高だった05年度の運用利回り(19.4%)に比べ大幅に低下した。
(2007/4/16 日経夕刊 1面)

大幅低下も何も、05年度の19%(観測史上最高)がベラボーな数字だっただけのこと。予定利率をとりあえず上回っていれば、年金財政や企業財務への影響がどうだとか慌てる必要はまずない。



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2007年04月04日

リタイアメントプアとは言い得て妙だが・・・

【複眼独眼】 米のリタイアメントプア
(中略)アメリカでも3600万人とされる貧困層に対し、あまりに巨額な経営者報酬に批判が集まっている。格差のレベルは日本とは比較にならない。さらにアメリカでは退職者の生活不安を象徴するリタイアメントプアという新たな問題が生じつつある。
(2007/3/29 日経金融新聞 1面)

米国の401k制度の現状については以前にも当BLOGで取り上げたので、ここでは繰り返さない。それにしても、リタイアメントプアとは言い得て妙だが、これまで401kに非ずんば企業年金に非ずとばかりに401k推進の旗振り役を担って来た日経新聞がこの言葉を口にするとは・・・(汗)。米国では投資教育が日常に根付いているんじゃございませんでしたっけ?(笑)


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/11/14): 『米国人は投資上手』なんて幻想?
 
 米のリタイアメントプア (記事全文)



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2007年02月16日

日本の将来推計人口は恣意的?客観的?

経済予測というもの 官はどう作る
推計人口 外れ続きにも"言い分"
実績よりもいつも高めの予測となり、新しい推計を出すたびに下方修正を繰り返してきた重要な政府予測がある。日本の人口の将来像を見通すため、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所がほぼ5年ごとに発表する将来推計人口だ。
(2007/2/9 日経朝刊 5面)

国立社会保障・人口問題研究所が発表する「日本の将来推計人口」といえば、「ここ数十年外れっぱなし」だの「政府の都合で歪められている甘い推計」だのといった悪評紛々だが、人口推計特有の事情にまで言及した公正な記事はこれまで皆無であった。上記の日経の記事では、「むしろ推計に手心を加える余地が無さ過ぎる」「ここ数十年予測が外れっぱなしなのは客観性を重視した結果」などなど、これまで専門家の間でしか知られていなかった事情もきちんと踏まえており、珍しく興味深い記事であった。

「推計モデルの癖を踏まえるべし」という記事の主張は至極ごもっともなのだが、それにしても、上記のような物分かりの良い記事をたまに書いたかと思えば、一方では「当たったためしがない」とケチョンケチョンにこきおろしたり、マスメディアの報道姿勢は人口推計以上に恣意的なようで・・・(汗)。
 
 経済予測というもの 官はどう作る推計人口 (記事全文)



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2007年01月15日

DC本人拠出解禁!・・・は『ガセ』でした

確定拠出型の企業年金、本人の拠出解禁…税制優遇へ (YOMIURI ON-LINE)
厚生労働省は12日、公的年金(基礎年金・厚生年金)に上乗せする企業年金(3階部分)の一種で、現在は企業しか掛け金を拠出できない「確定拠出年金(企業型)」について、会社員本人の拠出も認める方針を固めた。
本人拠出は原則、月2万3000円(総額上限の半額)が上限で、税制優遇が適用される見通しだ。少子高齢化で公的年金の先細りが見込まれることから、企業年金の役割を高めることが狙いだ。
(2007/1/12 読売夕刊 1面)

確定拠出年金(DC)に関する税制関連要望については、昨年12月の税制改正大綱でその大半が長期検討事項とされただけに、上記の読売新聞の記事にはいささか違和感を覚えた。確かに拠出限度額は政令規定(令第11条)ではあるものの、税制が絡む関係上、厚生労働省の一存で改正できる事項ではない筈なのだが。
結局、読売以外のマスコミ各社の反応が見られなかったことや、関係各方面から情報収集した限りでは、今回の読売の記事は残念ながら「勇み足」だった模様(汗)。

とはいえ、本人拠出が認められるメリットは大きい。もし本人拠出が解禁となれば、現行制度のポータビリティに関する不備もかなり改善されるのだが。。。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/7/5): 経済団体が加入者拠出にご執心なのは何故?
The企業年金BLOG(2007/1/11): 「中途引出し緩和」より「ポータビリティの充実」を



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2007年01月12日

給付建て年金(DB)に再び脚光が!?

中小企業向け年金基金 九州の全業種45万社対象 (Nishinippon Web)
オリックスと税理士、設立へ
北部九州の税理士らがリース大手のオリックス(東京)と連携して、九州内のすべての中小企業約45万社を対象とした「九州企業年金基金」を2007年度に設立する。厚生労働省によると、業種に関係なく広域で企業を募って基金を設立するのは全国初の試み。国の適格退職年金の廃止(2012年)など企業年金を取り巻く環境が激変するなか、中小企業従業員の老後を支える新たな受け皿となりそうだ。
(2007/1/10 西日本新聞朝刊)

総合型厚生年金基金といえば、バブル崩壊以降は「寄り合い所帯」「脱退をなかなか認めない」「積立不足が巨額」「役員幹部は天下り」といった批判に晒され、一時期は悪の枢軸呼ばわりされたものだ。一方、企業型確定拠出年金における所謂「総合型プラン」は、加入手続きの迅速化・簡素化を売りに急成長しており、総合型基金とは対照的に「適年移行問題に悩む中小零細企業の希望の光」みたいに喧伝されている。同じ「総合型」なのにこの扱いの違い。かつて前田日明が「猪木なら何をしても許されるのか!」と激昂したエピソードを彷彿とさせる(汗)。

そんな中、久々に目にした中小企業と給付建て(確定給付型)という夢のコラボ(笑)。しかもプロデュースは税理士集団とオリックス(政令指定法人としては後発組)という異色の組み合わせ。ややもすると「給付削減」「制度廃止」といった後ろ向きなトピックが多いだけに、こうした前向きな話は心が弾みますな。オラなんかワクワクしてきたぞ(←某有名マンガより引用)。なお記事には「予定利率は2〜3%で設定」「掛金は月額4千円から6万円で設定」とあることから、形態こそ企業年金基金だが、給付設計はキャッシュバランスプランを応用した、いわば「中退共の豪華限定バージョン」を志向しているようだ。

ともあれ、「一括契約により事務コストを低減」(前出記事より引用)という総合型制度(厚生年金基金・企業年金基金)の効用は、もっと見直されてしかるべき。合同運用で得られる最大のスケールメリットは、リスク許容度の向上ではなく運用報酬コストの低減にあると個人的には考える。いやしくも年金コンサル・退職金コンサルを標榜するならば、中退共か総合型DCしか語れないようでは心許ない。資産運用環境が好転している昨今、それ以外のカード(選択肢)も常に懐に忍ばせておきたいところだ。もっともカードを切る機会はそうそう訪れないだろうが(汗)。

─────────────────────────

【2007.1.14追記】
本件に関するプレスリリースが出てました。
やはり給付設計はキャッシュバランスプランとの事。
http://www.orix.co.jp/grp/content/070110_orixJ.pdf

なお昨年11月に栃木でも同様のスキームを構築してますな。
http://www.orix.co.jp/grp/content/061115_TochigiJ.pdf




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2007年01月11日

「中途引出し緩和」より「ポータビリティの充実」を

確定拠出年金、引き出し条件を緩和 厚労省方針 (NIKKEI-NET)
厚生労働省は確定拠出年金(日本版401k)の加入者が転職した場合、積立金を引き出せる条件を緩和する方針を固めた。会社員が自営業者や企業年金がない中小企業などの社員になると、現在は基本的に引き出しができない。この規制を見直して、「積立金の残高が25万円以下」など一定の条件を満たせば、認めるようにする。通常国会に関連法の改正案を提出する。
(2007/1/8 日経朝刊 3面)

確定拠出年金(DC)制度は施行5周年という制度改正の節目を迎えたものの、かねてからの要望事項であった「拠出限度額引上げ」や「マッチング拠出解禁」は夢叶わず。今般認められたのは「加入年齢の65歳への引上げ」「中途引出し要件」のごく僅かな緩和のみとなった。
中途引出し要件の緩和については、とりわけDCを退職金・企業年金制度と捉えている向きからの要望が凄まじい。中には「自由に引出し可能になれば普及に弾みがつく!」などと夢想する輩も少なくない。確かに加入者数は増えるかもしれんが、年金資産は取り崩されるばかりで先細り一直線ですな(冷笑)。

それにしても、昭和初期の金融不況じゃあるまいに「引出し」「引出し」と五月蝿い輩に物申しておくが、確定拠出年金のキモは「中途引出しができない」代わりに「年金資産の持ち運び(ポータビリティ)ができる」ことを忘れてやいないか。持ち運び可能からこそ、中途引出しなんて本来不要なわけ。対照的に、かつての給付建て制度(DB)は、持ち運びできないが故に脱退一時金などで清算を余儀なくされていたとも言える。真に問題なのは、中途引出し要件が厳しいことではなく、ポータビリティが機能していないことにある。中途引出し推進派が良く用いる「積立額は僅かだけど専業主婦になっちゃった♪」という事例では、「中途解約を認めろ!」ではなく「専業主婦でも掛金拠出させろ!」と要望すべきなのだ。
以下に、現行ポータビリティに関する不満を吼える。

 @専業主婦や公務員も加入できるようにしろー!
 Aたまたま転職先がDBやってるからって積立できなくなるのは理不尽だー!
 B個人型年金に加入するのに、勤務先の許可など不要だー!
  (企業年金の無いサラリーマン対象)


Bについて補足すると、企業年金の無いサラリーマン(第2号加入者)が個人型年金に加入する際には、勤務先企業が国民年金基金連合会に対して事業所登録などを申請する必要があるほか、当該加入者に係る加入資格証明を年1回提出して貰わねばならない。"個人"型年金に加入するのに"企業"の対応を要するという不合理なシステムになっている。これでは、勤務先が上記の事務手続を嫌って事業所登録を拒否した場合、個人型年金への加入の途は事実上閉ざされることとなる(しかも罰則は無い)。個人型年金の普及を阻んでいる隠れた(しかし大きな)要因ではないだろうか。



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2006年12月28日

提訴により失う信用:priceless

年金積立金管理運用法人、ライブドアを提訴 (NIKKEI-NET)
公的年金積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人は27日、ライブドアを相手取って同日起こした訴訟の損害賠償請求額が48億円になることを明らかにした。有価証券報告書の虚偽記載など「ライブドア側の違法性は重大かつ明白」と指摘。国民の年金を守る観点から訴訟に踏み切ったとしている。
同法人の前身である旧年金資金運用基金は2005年、西武鉄道が有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止になった際も、損害賠償請求を提訴している。西武鉄道が上場廃止になった際には、厚生年金基金連合会(現企業年金連合会)なども損害賠償請求をしており、他の年金基金にも提訴の動きが広がる可能性が高い。
(2006/12/28 日経朝刊 5面)

有価証券報告書の虚偽記載で上場企業が年金基金から提訴された事例としては西武鉄道の件が記憶に新しいが、今度は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がライブドアに対して同様の損害賠償請求訴訟を起こしたとの事。
GPIFは国内株式ベンチマークを一部上場銘柄が対象のTOPIX(配当込み)に設定している。ライブドア株は東証マザーズ上場であったから、パッシブファンドには組み込まれていない筈。となると、国内株式アクティブ運用を受託していた14社・15ファンド(2006年3月末現在)のいずれか数社が「証券会社とのお付き合い」か「お遊び」で保有していたものと思われる(このチョンボが原因で既に解約されたかもしれない)。こうした「自主性の尊重」と「お任せ丸投げ」のさじ加減が委託運用の難しいところである。

 ○国内株式アクティブ運用受託機関一覧(2006年3月末)
 (↑上記ファイルの10ページ参照)

ところで、2006年1月に起きた騒動による損失は約44億円との事だが、それでもGPIFは2005年度通期で8兆6,795円もの運用収益を稼いでおり、今回の損失額はそのうち0.1%にも満たない。また05年度の国内株式アクティブ運用の時間加重収益率は54.05%とベンチマークを6.21%上回る成果を上げている。つまり、本件のライブドア株による毀損額などGPIFの資産規模からすれば全くの許容範囲だし、むしろ分散投資によるリスク管理の有効性を実証した好例と言っても良い。
にも関わらず、資産総額の万分の一にも満たない端額回収のために世間に恥を晒す道を選ぶのだから全くもって不可解。西武鉄道のケースでは「よりによって一部上場企業が!」という大義名分があったものの、ライブドア(ひいては新興市場銘柄全般)にそこまでの社会的規範や倫理を求める投資家は皆無であろう(汗)。そのへんが杓子定規というか、「賠償請求額」と「ブランドイメージ失墜」を秤にかけて判断できる奴は上層部にいないのだろうか(それともいわゆる国策捜査の一環だったりしてw)。

06年7―9月期は2兆円超の黒字を計上するなど好調が伝えられていたのに、今回の提訴によって、「GPIFはやはり運用下手」「責任回避のためなら訴訟も辞さず」というマイナスイメージが早くも世間に浸透しつつある。このブランド価値の失墜は、おそらく賠償請求額を遥かに上回ることだろう(汗)。


  損害賠償の請求費用 : ¥4,809,657,057
  うち弁護士報酬など  : ¥40,000,000程度

  提訴により失う信用 :  priceless




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2006年12月21日

自己責任原則と相容れない「投資教育指針」

投資教育「指針」を 企業年金連合会 年金改革で厚労省に要望
企業年金連合会は企業年金制度に関する要望書をまとめ、厚生労働省に提出した。確定拠出年金(日本版401k)では、加入者への投資教育に必要な内容などが分かる判断基準を国が示すよう要望。確定給付企業年金と厚生年金基金とでは給付を減額する際の基準の緩和などを求めた。
(2006/12/20 日経金融新聞 5面)

企業年金連合会が18日付で企業年金制度に係る改善要望を厚生労働省(正確には年金局長宛て)に提出した。項目の中には「最低責任準備金に係る利率の適用タイムラグの解消」や「社会保険庁からの情報提供の拡大」といった真っ当な要望もあるが、全般的には、この種の業界団体の要望書にありがちな我田引水な要望が多数を占めるのは致し方ないところ。

とはいえ、我田引水も度が過ぎるとその見識を疑われかねない。とりわけ記事の見出しにもなった「投資教育の指針の明確化」って何ぞコレ。そもそも確定拠出年金の導入にあたっては「自己責任」を旗印にした企業も多いはず。運用結果に責任を負うのが加入者の自己責任なら、投資教育はいわば企業の自己責任だろうに。一方では従業員に運用リスクを転嫁しておきながら、もう一方では投資教育責任(≒訴訟リスク)を回避したいとは、これを自己責任原則の放棄と言わずして何と言う。そんなに投資教育が煩わしいなら、黙ってDBでもやってろ。

更にお粗末なことに、「投資教育のルールを明確化しろ」と言っている一方で、厚年基金・DBの給付減額については「労使の自主性に任せろ(ルールを緩和しろ)」と来たもんだ。何だこの舌の根の湿り具合は(汗)。要望するってレベルじゃねぇぞ(←元ネタはコチラ)。給付減額を柔軟に決めたいのだったら、投資教育指針とやらも労使合意で柔軟に決めればよかろう。連合会の意向というよりは会員基金・企業の意向なのだろうが、それにしても、規制されたいのかされたくないのか、全く以ってハッキリしない連中だ。

企業年金制度の改善に関する要望事項(企業年金連合会) (pdfファイル)



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2006年12月11日

年金会計に関するトピック4題

一月以上前の話題も交ざっており恐縮だが、先月あたりからポツポツと出ていた年金会計に関するトピックを、ここらで一挙にまとめることとしたい。

1.満期保有国債の簿価会計
公的年金の国債会計 「簿価回帰」強まる批判
公的年金が保有する国債の会計処理について、現行の時価評価から簿価評価に切り替える案が再浮上している。厚生労働省と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は安定運用の確立と将来の積立金取り崩しへの対応策と位置づけるが、「時価会計に逆行する」との批判は根強い。簿価再浮上の背景には国債下落による損失発生への懸念があるとの見方もある。世界最大の機関投資家の"変節"を巡る議論が活発化しそうだ。
(2006/11/6 日経金融新聞 1面)
ここ数年、この時期になると決まって話題に上る「満期保有国債の簿価評価」問題。本年3月に導入見送りの報が伝えられたものの、今秋またもゾンビのように復活(汗)。早くも在日米国商工会議所(ACCJ)が反対声明を出しているが、バブル崩壊期に簿価会計の弊害を味わった年金運用関係者からすれば、いまさら「簿価回帰」と言われても・・・というのが実情。

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2005/11/25): 満期保有目的債券の簿価評価
The企業年金BLOG(2006/3/23): 公的年金の債券運用、結局時価評価に



2.代行部分の会計処理、やはり先送り
厚生年金基金の代行部分の会計処理をめぐる論争については、当BLOGでも「代行部分の会計処理をめぐる論争」および「代行部分の会計処理、進展見られず」で述べた。2004年の年金法改正で厚生年金基金の代行部分について財政中立化(保険料率の改定、交付金の交付など)が図られたことから、当該交付金の会計処理に関する議論が為されていたが、このたび、春先に公表された公開草案を受けて会計処理が決定、実務対応報告が公表された。
しかし今回の実務対応報告では交付金の取扱いを規定するに留まるなどほぼ原案通り。代行部分の債務認識など制度の根幹に係る議論はまたも先送りとなった。そのせいか当基準の発表に際しては新聞報道すらされず。年金基金サイドの要望は完膚無きまでに黙殺された模様。タイトルの「当面の」に、海外基準の模倣しかできない会計士サイドのヤル気の無さと、政治力に欠ける年金基金サイドの無力ぶりが如実に窺える結果となった(汗)。

○実務対応報告第22号
 「厚生年金基金に係る交付金の会計処理に関する当面の取扱い」


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2005/12/31): 代行部分の会計処理をめぐる論争
The企業年金BLOG(2006/3/24): 代行部分の会計処理、進展見られず



3.年金会計は「遅延認識」から「即時認識」へ
米年金会計ルール変更 日本企業の運用にも影響
米国で年金会計のルールが変更されたことが注目を集めている。06年12月期から、これまでは貸借対照表に分割負債計上していた年金運用差損などを全額反映することになったものだ。運用成績が大幅なマイナスになると即座に企業の財務内容が悪化する。会計基準が国際的に共通化に向かう中、将来は日本の会計基準にも反映される可能性があり、年金基金の運用戦略にも影響が出てきそうだ。
(2006/11/25 日経朝刊 15面)
退職給付会計における積立不足の認識について、米国では「遅延認識」から「即時認識」へと一早く方向転換したというもの。本件については、日本アクチュアリー会のサイトにある資料が良くまとまっている。

○日本アクチュアリー会 第3回例会 「退職給付会計の国際的動向」



4.企業年金の制度間移行に係る会計処理
年金基金、総合型から単独型へ 会計処理草案を策定
企業会計基準委員会(ASBJ)は、複数企業が共同運営する総合型厚生年金基金などから単独型の年金基金に移行する場合などの会計処理方法について公開草案をまとめた。これまで明確な規定がなかったが、総合型年金基金から脱退する上場企業が目立っているため、会計実務上の処理方法を明示する必要が生じた。草案では、総合型から単独型に移行する場合は積み立て不足を一括計上することなどを求めている。
(2006/11/2 日経金融新聞 10面)
企業会計基準委員会(ASBJ)で公開草案を公開していたようだが、コメント募集は既に終了した模様。

○実務対応報告公開草案第25号(実務対応報告第2号の改正案)
 「退職給付制度間の移行等の会計処理に関する実務上の取扱い(案)」




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2006年12月06日

配当か予定利率か、上げるならDOTCH!?

日生、団体年金の予定利率を実質0.25%上げ (NIKKEI-NET)

日本生命保険は今年度から企業年金資産を運用する団体年金保険の予定利率(保証利回り)を実質的に0.25%引き上げる。現行年0.75%の商品は1.0%、年1.25%は1.5%になる。引き上げは株価低迷などで1994年度に引き下げ始めて以降初めて。日銀のゼロ金利解除による運用環境改善や自己資本の拡充が進んでいるためで、他の生保も追随する公算が大きい。
(2006/12/4 日経朝刊 1面)

生保一般勘定については、配当引上げの話は春先からつぶさに聞かれたが、とうとう予定利率(最低保証利率)そのものの引上げに踏み切るのでは──というのが今回の記事。しかし一方では「予定利率の引き上げではなく、配当だ」(J-CASTニュース)との報道もあり、真偽は未確定。記事にある「実質」とはこのことか!?

配当はあくまでも実績が良かった際の賞与(ボーナス)的なものだが、予定利率の引上げはいわば賃金のベースアップのようなもの。最大手の日本生命が踏み切るとあれば、おそらく他の生保も追随する可能性が高い。これらの利益配分が保険会社の経営体力に見合ったものであれば、契約者である企業・年金基金ひいては企業年金の加入者にとっては歓迎すべき傾向である。

ところで本件に関しては「たった1.5%かよ」「国債利回りよりも低いじゃん」という批判もあるが、最低保証利率分を保証しなければならないという商品特性を考慮すると、まあ妥当な線だと思う(中にはつい大盤振る舞いしちゃった年金基金もあるが)。現に、生保団体年金の2006年4-9月期の運用利回りはマイナスとも報じられており、くれぐれも油断は禁物。なお国債並みの利回りを確保したい向きには、直接国債を買って満期保有がオススメ。常に時価評価が求められる機関投資家には真似できない芸当(笑)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/5/2): 生保の年金運用が好調なようで・・・



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2006年11月01日

企業年金の「積立不足」報道に関する留意点

(1)企業年金 積み立て不足 減少 05年度
年金給付に必要な積立金が不足している企業年金の割合が減少している。企業年金連合会のアンケート調査によると、2005年度に積み立て不足だった厚生年金基金は全体の10.5%で、前回調査より15ポイント減少した。確定給付企業年金も28.1%と21.2ポイント減った。企業年金の資産運用利回りが好調だったのが原因セ。
(2006/11/1 日経金融新聞 5面)

05年度の企業年金決算といえば、企業年金連合会が積立不足から一気に1兆円超の積立余剰に転じたのは記憶に新しいが、一般の厚生年金基金・確定給付企業年金もそのご多分に漏れず、財政状況は軒並み好転しているようだ。まあ05年度の資産運用状況を考えれば、さして驚くには値しない。
ところで、企業年金の積立状況に関しては、上記以外にも以下のような記事が夏場以降に出ていた↓


(2)年金積み立て不足7割減 企業年金、2006年3月期末
不足が常態化してきた企業年金の積み立て状況が改善している。3月期決算の上場企業について集計したところ、2006年3月期末の年金積み立て不足額は2兆7300億円と1年前より7割減少した。各社が年金制度の改革に取り組んだほか、国内株などの運用成績が好調だったためだ。積み立て超過会社は550社と3倍になり、企業年金が経営の足かせから利益の下支え要因へと転じるケースも出そうだ。
集計対象は06年3月期に年金積み立て状況を開示した1433社のうち、4年連続してデータの取れる1414社。03年3月期には23兆6000億円あった積み立て不足額は3年間で10分の1に減少した。
(2006/9/8 日経朝刊 17面)

(3)企業年金 積み立て不足 85%減 (NIKKEI-NET)
企業の年金財務が改善している。将来の年金支払いに必要な額から年金運用資産額などを引いた「積み立て不足」は、日本経済新聞社の集計で2006年3月期に6500億円と1年間で85%減少した。株価回復による運用改善や年金制度変更が寄与。運用資産が潤沢で「積み立て超過」の企業は504社と前の期(163社)に比べ約3倍に膨らんだ。
集計対象は06年3月期の決算短信などで年金状況を開示した上場会社で、過去4年分のデータがある1279社。積み立て不足は、将来払う年金のため手元に確保する必要額である「退職給付債務」から、年金基金などが運用する「年金資産」と既に費用計上した「退職給付引当金」を差し引いて算出した。
(2006/6/27 日経朝刊 5面)

どの記事も「企業年金の積立不足が減少傾向にある」という趣旨は一致しているのだが、記事によって数値や用語がまちまちであるため混乱し易い。(1)の記事は年金財政の話であり、調査対象は企業年金(厚生年金基金・確定給付企業年金)である。それに対して(2)(3)の記事は企業会計の話であり、調査対象は上場企業である。退職給付会計では、企業年金のみならず退職一時金制度など企業が採用しているあらゆる退職給付制度が対象である点に留意が必要。なお(2)と(3)で数値が微妙に違うのは、母集団の違いによるものと思われる。



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2006年09月16日

官の怠慢と民の身勝手が招いた年金空洞化

全国の事業所、3割が厚生年金未加入 総務省調査 (NIKKEI-NET)
厚生年金への加入義務のある事業所のうち約3割に当たる約63万―70万事業所が加入手続きを取っておらず、将来年金を受け取れない恐れのある従業員が約267万人に上ると推計されることが15日、明らかになった。総務省の行政評価・監視結果で判明した。事業所の厚生年金未加入は国民年金の未納問題とともにかねて指摘されていたが、空洞化が鮮明になった格好で、改革議論に拍車が掛かりそうだ。
(2006/9/15 日経夕刊)

中小零細企業の厚生年金未加入問題はかねてより指摘されて久しいが、今回は総務省による行政評価・監視結果からの指摘だそうな。そこで、総務省Webサイト報道資料コーナーから今回の勧告の要旨を参照した。今回の調査では、適用漏れの恐れのある事業所が約63〜70万社であるのに対し、被保険者は約267万人とのこと。
267万人 ÷ 63〜70万社 で単純計算すると、1社あたりの従業員数は約3.8〜4.2人となる。やはり中小零細企業を中心に適用漏れが多いことがわかる。

これが民間の保険会社ならば、「本来適用すべき事業所の70%(加入者に至っては93%!)はカバー済みだから上々でしょ」「残りは中小零細企業だけだし、加入促進を図るだけ非効率だから放置決定!」で済む話だが(←オイオイ)、いやしくも強制適用が前提である公的年金ではそうも言ってられないのが辛いところ。またしても行政の怠慢と企業の身勝手さが招いた問題だと言えよう。個人的には、法定福利費すらケチるような余裕のない会社とは、従業員としても取引先としても関わりたくないものだ(汗)。

※厚生年金保険に関する行政評価・監視結果に基づく勧告(総務省)
 ・要旨(HTMLpdf
 ・参考資料(pdf)
 ・勧告(pdf)
 ・結果報告書(pdf)



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2006年09月06日

赤字のときだけ大騒ぎ

4-6月の公的年金運用、株価下落で2兆円の赤字に (NIKKEI-NET)
公的年金の積立金を株式や債券で運用する年金積立金管理運用独立行政法人は4日、今年4―6月の運用実績を発表した。5月に国内の株価が下落したため、運用利回りはマイナス2.73%、運用益は2兆32億円の赤字だった。運用利回りのマイナスと、運用益の赤字はいずれも7四半期ぶり。
(2006/9/5 日経朝刊 5面)

2005年度(通期)は8兆円もの運用収益を叩き出した年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)だが、2006年4-6月期は運用利回りがマイナス2.73%と7四半期ぶりの赤字となった。一昔前ならば、赤字になろうものならマスメディアが黙っていなかったものだが、今回は各社ともベタ記事扱い。マスメディアがようやく資産運用の本質を理解したのか、ただ単に本件にニュースバリューがないと判断したのかはともかくとして、時代は変わったものだ・・・
ところがマスメディアに代わってエキサイトしているのがブログの世界。今回の報道を受けて「役人にギャンブル(株式投資)をさせるな!」と怒り心頭のブログをよく目にするが、果たして今回の運用結果は言われるほど酷いものなのだろうか?

GPIFの運用報告書を見た限りではほぼベンチマーク並みの結果であったし、同時期の企業年金の利回りがマイナス3.0%(7/13日経朝刊)だったことを考慮すると、公的年金の方がむしろ良好だったといえるのではないか。公的年金は国内債券など低リスク資産の比率が企業年金に比べて高いため、株価上昇時のパフォーマンスは劣るものの、株価下落時はマイナス幅を抑える効果がある。運用収益も、4-6月期は2兆円の赤字だったものの、累積ベースでは依然として黒字。特に2003年度以降はトータルで10兆円近い運用収益を稼いでいる。

ところが、世の中には「赤字」「マイナス」という単語に脊髄反射するのみで、過去の事実に目をむけない輩が後を絶たないから困ったものだ(汗)。運用が好調なときはウンともスンとも言わないくせに、低調なときに限って「それ見たことか!」とギャアギャア騒ぐ有象無象の多いこと多いこと(大汗)。批判を展開すること自体は結構だが、だったら結果が悪い時だけでなく良好な時についても正当に評価しないと説得力を伴わない。当BLOG管理人が巡回した限りでは、過去の経緯を踏まえた理知的なコメントをしているのはコチラコチラなど少数派。殆どは思考停止状態でただただケシカランとがなりたてるだけ。そこには客観的かつ総合的に分析しようとする姿勢は微塵もない。良い子は決してマネしてはいけません(笑)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/12/9): 赤字のときだけ大騒ぎ2 ドゥドゥビ ドゥビ ドゥバ♪ (←byレギュラー)



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2006年09月05日

朝日新聞の年金記録記事は必見

厚生年金 記録訂正 年25万件 (asahi.com)
加入日・月給誤記 放置なら年金減額も
厚生年金の支給額算出のもとになる会社員の年金記録に多数の間違いがあり、年間の訂正件数は支給額に影響するものだけで25万〜30万件にのぼることが、記録を管理する社会保険庁の調べでわかった。原因は会社側が提出したデータ自体の誤りか、社保庁側の入力ミス。大半は訂正されなければ年金額が減ったケースとみられ、気づかずに誤ったままの記録も多いとの指摘もある。社保庁は記録に不安を持つ人からの相談を積極的に受け付けている。
(2006/9/3 朝日朝刊 1面)

【マネー外来】 年金の記録 間違いを直す 社会保険庁が相談を強化 (asahi.com)
8月8日付の当欄で年金の記録に間違いが多いことを指摘しましたが、社会保険庁は年内いっぱい、年金記録の相談を強化しています。この機会に自分の年金歴をチェックしたい方のために注意点などをまとめました。
(2006/9/2 朝日朝刊 b5面)

国(社会保険庁)が管理している国民年金・厚生年金の被保険者記録データベースに記録ミス・記録漏れが存在する可能性ついては、当BLOGでも8月8日および4月25日のエントリで言及したが、今回はその第3段。朝日新聞は一連の年金記録ミスの検証に注力しており、特に9月2日の記事では被保険者記録照会回答票の見方まで図解する力の入れよう(下図参照↓)

被保険者記録照会回答票の見方

以前にも述べたが、複数の組織・人間の手を介する以上、こうしたミスを完全に撲滅することは残念ながら不可能。記事にもある通り、これは社会保険庁だけを責めれば済む問題でもないし、ましてや税方式に代えれば解決するというものでもない。大事なのは、ミスを発見したら速やかに修正できる体制の整備だろう。そういう意味でも、今回の朝日新聞の記事は前回よりも踏み込んだ内容となっている。年金受給間近の高齢者の方々のみならず、社会保険労務士など専門家にも一読をオススメする。あと、朝日の松浦新記者Good Job!

とはいえ、医療だけでなく年金までも、専門家(医者や社会保険庁)に任せていればよかった古き良き時代はとうに終焉したようで・・・自己責任という決まり文句だけでは割り切れないものがある。ところで、医療も年金も所管が厚生労働省というのは単なる偶然だろうか・・・!?

※当BLOG管理人が直面した記録ミス事例はコチラ
※社会保険庁の年金記録照会サービスはコチラ
※自身の年金加入記録をチェックするのに有用な書籍はコチラ


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/6/8): 基礎年金番号に反対してきた連中が年金記録不備を糾弾する矛盾
The企業年金BLOG(2006/8/8): 年金加入記録にミスはつきもの!?
The企業年金BLOG(2006/4/25): 年金加入記録の記載ミス・記録漏れにどう対応すべきか


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【2007.6.6追記】
画像のリンクが切れていたので貼り直しました。
それにしても、まさか今頃になって騒動になるとは・・・(汗)




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2006年08月11日

国内株式ベンチマークを巡る思惑記事

企業年金連合会 国内株運用基準 脱TOPIX (NIKKEI-NET)
企業年金連合会が国内株式パッシブ運用の基準として使う株価指数をこれまでの東証株価指数(TOPIX)から、「ラッセル野村プライム指数」に切り替えたことが分かった。TOPIXは流動性にかかわらず東証一部の全上場銘柄を含むため、資金量が大きいと運用が難しくなるためだ。トヨタ自動車やブリヂストンの企業年金もラッセル野村を採用しており、TOPIXが長らく保ってきた「業界標準」の地位も変化する可能性がある。
(2006/8/11 日経金融新聞 1面)

これまで年金運用における国内株式のベンチマークといえばTOPIXが定番であったが、銘柄入替の頻度や流動性の低い銘柄の取り扱いなど、パッシブ運用のベンチマークとしてはそぐわない面もこれまで度々指摘されてきた。今般、日本の企業年金の中心団体である企業年金連合会(企年連)が、国内株式パッシブ運用のベンチマークをTOPIXからRussell野村プライムに変更したとの事。さっそく企業年金連合会の「年金資産運用の基本方針」をチェキラしてみた。

企業年金連合会 年金資産運用の基本方針 (抜粋)

W.自家運用(インハウス)
(4)運用手法

国内株式運用については、Russell/Nomura Primeインデックスの変動と一致することを目的とするインデックス運用とし、原則として当該株価指数に採用されている全ての銘柄の株式について、当該株価指数における個別銘柄の時価総額構成比率に応じて算出される株数を選定する方法(完全法)を採用する。

(中略)

Y.運用受託機関の評価及びシェア変更
1.運用受託機関の評価
(2)ベンチマーク

連合会として各資産の運用状況の指標とするベンチマークは、各資産毎に次のとおりとする。
 ○円建債券:NOMURAボンド・パフォーマンス・インデックス総合
 ○円建株式:TOPIX(配当込み)
 ○外貨建債券:シティグループ世界国債インデックス(日本を除く、円換算)
 ○外貨建株式:MSCI(KOKUSAI、円換算・配当再投資・GROSS)
 ○短期資金:コール・ローン(翌日物、有担保)

(以上「年金資産運用の基本方針」より抜粋。2005年10月1日版。)

どうやら、今回ベンチマークを変更したのはパッシブ運用のみ。資産ベンチマークやアクティブ運用機関の評価に関しては引き続きTOPIXを用いるようである。

それにしても不可解なのは、昨年8月に実施された今回の件をなぜ1年も経った今頃記事にしたのか。企年連が市場へのインパクトを避けるため公表を遅らせたことが一因としても、同じ日経グループの「年金情報」誌は今年6月に既報済みだっただけに、尚更不可解・・・と思いきや、記事中にこんな図が↓

20060811kabuka-index.jpg

なるほど、ベンチマークビジネスの一環でしたか(汗)。
 
 企業年金連合会 国内株運用基準 脱TOPIX (記事全文)



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2006年08月08日

年金加入記録にミスはつきもの!?

【マネー外来】 年金の記録 支給額に影響 (asahi.com)
厚生年金の金額は、保険料ではなく、それを払った時の給料に応じて決まる。その記録を会社からもらって管理しているのが社会保険庁。ところが、この記録に多くの間違いが見つかっているという。決してひとごとではない。
(2006/8/5 朝日朝刊 b5面)

国(社会保険庁)が管理している国民年金・厚生年金の被保険者記録データベースに記録ミス・記録漏れが存在する可能性ついては当BLOGでも以前言及したが、先週末の朝日新聞でも同様の特集が組まれていた。特に、記録ミスが年金額にどのような影響を及ぼすかを示したチャートは秀逸↓

20060805record-miss.jpg

なお記事中では、ミスの原因が社会保険庁側のみにある事を強調していたが、実務家から見れば実は企業側のミスも多いのよねぇ(汗)。まあ、複数の組織・人間の手を介する以上、こうしたミスを完全に撲滅することは残念ながら不可能。これは何も年金に限った話ではない。大事なのは、ミスを発見したら速やかに修正できる体制の整備だろう。幸いにも現在では、年金加入記録を最寄りの社会保険事務所から「被保険者記録照会回答票」を貰うことができる。勤務期間に漏れがないか、給料の不自然な増減がないか、できるだけ確認することをお勧めしたい。

※当BLOG管理人が直面した記録ミス事例はコチラ
※社会保険庁の年金記録紹介サービスはコチラ
※自身の年金加入記録をチェックするのに有用な書籍はコチラ


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/6/8): 基礎年金番号に反対してきた連中が年金記録不備を糾弾する矛盾
The企業年金BLOG(2006/9/5): 朝日新聞の年金記録記事は必見
The企業年金BLOG(2006/4/25): 年金加入記録の記載ミス・記録漏れにどう対応すべきか
The企業年金BLOG(2006/4/1): 「年金生活への第一歩」改訂版


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【2007.6.6追記】
画像のリンクが切れていたので貼り直しました。
それにしても、まさか今頃になって騒動になるとは・・・(汗)




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2006年08月06日

公的年金に関する朗報と凶報

8月4日(金)の日経新聞に、公的年金に関する対照的なニュースが2本掲載された。
まずはコチラ↓。

厚生年金、2年ぶり黒字 株高で8兆9500億円 (NIKKEI-NET)
社会保険庁は3日、2005年度の厚生年金と国民年金の決算を発表した。厚生年金は株価回復などを背景に8兆9500億円の黒字になった。国民年金も6600億円の黒字となり、いずれも2年ぶりに赤字を脱した。黒字額はともに過去最高。今後も好調な資産運用が続けば、保険料引き上げ幅の圧縮など制度改革に影響を与える可能性がある。
(2006/8/4 日経朝刊 5面)

同じ「年金が黒字」という記事でも、先日のエントリで紹介したのは資産運用が黒字だという記事だったが、今回の記事は保険料や年金給付を含めた全体の収支も黒字という記事である。2005年度は保険料収入も保険料率UPにより若干増加したものの、やはり一番大きかったのは運用収益の増加。少子高齢化により保険料収入の伸びが今後さほど期待できないだけに、運用収益の向上が公的年金財政に少しでも寄与してくれると良いのだが。。。

一方、年金保険料の徴収を司る社会保険庁に関しては、同日付で以下の記事が↓。

年金不正免除で2000人近く処分へ 厚労相は「国民におわび」 (NIKKEI-NET)
全国の社会保険事務所で国民年金保険料の不正免除が相次いだ問題で、社会保険庁は3日、2000人近くの職員を処分すると発表した。調査に虚偽の報告をした職員らには停職を含む重い処分を科す。刑事告発の可能性も検討する。記者会見した川崎二郎厚生労働相は「国民におわびする」と陳謝。在任中の給与を8月分から全額返納すると表明した。村瀬清司社保庁長官も給与を一部返納する。
(2006/8/4 日経朝刊 1面)

総括すると、資産運用セクション(年金積立金管理運用独立行政法人)はGoodJobだったが、徴収セクション(社会保険庁)はトホホ・・・という2005年度であった(汗)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/7/21): 公的年金は赤字?それとも黒字?
The企業年金BLOG(2006/3/17): 国内債券偏重は配分ミスだって!?



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