2006年07月24日

久々に目にした「積立余剰」「給付増額」という単語

企業年金連合会、「積み立て不足」14年ぶり解消 (YOMIURI ONLINE)
国内有数の機関投資家である企業年金連合会は18日、株価の回復などの運用環境の改善で2006年3月末時点で剰余金が1兆円を超え、将来の年金支払いに必要な運用資産よりも実際の資産が少ない「積み立て不足」が14年ぶりに解消したことを明らかにした。
連合会は、超低金利などの運用環境の悪化で解散した企業の厚生年金基金の債務を引き継ぎ、運用している。転職などで厚生年金基金を中途で脱退したサラリーマンも含めて約2800万人分(延べ人数ベース)の年金資産を保有しており、運用収益の改善で、加入者の年金が予定通り支払われるメドが立ったことになる。
(2006/7/19 読売朝刊 2面)

2006年春の株高で好決算を記録したのは公的年金ばかりではないようだ。企業年金の総本山である企業年金連合会(旧厚生年金基金連合会)もその恩恵に与ったYO!というのが上記の記事。それにしても、2002年度末には2兆円弱あった積立不足がたった3年で1兆円の余剰に転じるとは、3年前は誰が予想できたであろうか・・・
要因としては、2002年から03年前半の株価低迷期に、国内株式をせっせとリバランス買いした事が功を奏したのだろう。中には、この現象を「運用技術が改善したのではなく、たまたま株価が高騰しただけですからぁー!残念っ!」などとしたり顔で述べる自称プロもいるが、その"たまたま"を甘受するのが資産運用ですからぁー!(笑)
どんな書き方をするかはBLOG主の自由ではありますが、FPを名乗っているのであれば、もう少し本質を捉えていただきたいものです(汗)。

さて、以前のエントリで「自分の会社の企業年金が積立余剰に転じた時に、どのような運用方針に転じるのかチェックすべし」と書いた。引き続きイケイケ路線を走るのか、それとも積立余剰をFIXするべくとっとと債券にシフトするのか・・・。
ところが企年連は思わぬ策に↓

通算企業年金の見直しについて (企業年金連合会)
現行0.5%の予定利率(保証利率)が本年10月1日から2.25%となります。
昨年10月から本年9月までの間に通算企業年金を選択した方にも、その時点に遡って2.25%の予定利率を適用し、年金額を増額改定します。

↑なんと、最低保証利率を一気に1.75%も引上げ! (しかも遡及改訂)
・・・いや、給付増額そのものは加入者・受給者にとっては朗報だが、さてその資金的裏付けはどうなのだろうか? このエントリを書いている時点では、企年連のサイトには2005年度(平成17年度)の決算報告はまだUPされていない。「2006年4-6月期の企業年金利回りはマイナス3%」という報道もあるだけに、今後企年連がリスクテイクに走るのかそれともリスクを抑制するのか、業界人は要チェキラ。






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2006年07月21日

公的年金は赤字?それとも黒字?

(1)公的年金、運用益8兆6811億円で過去最高 05年度 (NIKKEI-NET)
公的年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(旧年金資金運用基金)は20日、2005年度の公的年金(厚生年金と国民年金)積立金の運用結果を発表した。株価の上昇などを背景に、運用損益は8兆6811億円の黒字になり、過去最高を更新。運用益のうち基準額を超えた1兆9611億円分は年金特別会計に納付し、将来の年金給付に充てる。
(2006/7/20 日経夕刊 3面)

2005年後半からの株式市場の好転により公的年金運用も好調だという話はかねてより伝わっていたので、今回の報道も特に驚くべき点は見当たらない。06年度は一転して株安に転じてはいるものの、まあ一喜一憂せずどっしり構えて欲しいものだ。
ところで、公的年金の黒字・赤字といえば、1ヶ月ほど前にこんな記事が出たばかり↓。

(2)厚生年金、実質3兆円の赤字に 2004年度 (NIKKEI-NET)
厚生労働省は22日、2004年度の厚生年金と国民年金の財政状況を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金数理部会に報告した。会社員が加入する厚生年金の収支は、厚生年金基金の代行返上による特別収入を除いた実質(時価ベース)では約3兆円の赤字。
(2006/6/23 日経朝刊 5面)

・・・で結局、公的年金って赤字? 黒字?

という疑問に答えるべく、この辺のところを整理してみたい。
公的年金の収支・運用に関する公表は、主に以下のような流れで行われる。

@資産運用結果の公表 (7月頃)
  出所:年金積立金管理運用独立行政法人
  資料:「資産運用業務概況書」
  概要:運用結果に関する報告のみ。


A収支決算の公表 (8〜9月頃)
  出所:社会保険庁 (報道発表資料を参照)
  資料:「厚生年金・国民年金の収支決算概要」
  概要:上記@に加え、保険料収入や年金給付など収支状況を加味。


B社会保険事業概況の公表 (翌年3〜4月頃)
  出所:社会保険庁 (報道発表資料を参照)
  資料:「社会保険事業の概況」
  概要:上記Aに、医療保険の決算を加味。ソースは同一。


C審議会への報告 (翌年6〜7月頃)
  出所:厚生労働省 (審議会議事録等を参照)
  資料:「●●年度の財政状況」
  概要:上記AおよびBの内容の報告。


@はあくまでも資産運用の結果のみであるのに対し、A以降は運用結果に収支状況を加味したものである。そういう意味では、Aの数値こそ公的年金財政の真の姿であると言ってよい。BとCで公表されるデータは、Aとほぼ同一(つうか使い廻し)である。
さて、前述の記事(1)および(2)の記事の報道内容を整理すると以下の通り↓。

             <公表内容>      <年度>
 (1)7/20の記事  @資産運用結果    2005(平成17)年度
 (2)6/23の記事  
C審議会への報告  2004(平成16)年度

公的年金財政に関する記事を読むときは、「運用報告なのか収支報告なのか」「いつの年度の話か」を良く見極めなければならない。(2)の記事を以って「いまさら2004年度決算を公表かよ」とか「資産運用もロクに出来ないのか」と批判するのは的外れも甚だしい。ネットの片隅ではともかく、くれぐれも人前で知ったかぶらないように。さもないと・・・さもないと・・・???



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2006年06月14日

村上ファンドと企業年金

村上世彰代表の逮捕により、昨今はマスコミから扱き下ろされない日は無い村上ファンド(正式名称:M&Aコンサルティング)。企業年金業界にとっては対岸の火事と思いきや、一部の年金基金も村上ファンドに運用委託していたとか。そういえば、業界誌「年金情報」3月6日号でこんな特集記事が組まれていたっけ。
頭角現すアクティビストファンド
基金が経営提案に参画 村上ファンドに出資も

(要約)
機関投資家の一角を占める年金基金が、ファンドを通じて企業経営に積極的に関与する動きが目立ち始めた。アクティビストファンドと呼ばれる、新しい運用商品が年金資金を吸収し、その規模を次第に膨らませている。「村上ファンド」を含めた内外の専門運用会社が、年金運用の手法を大きく変えつつある。
(『年金情報』 2006/3/6 1-7頁)

上記の記事は、投資先企業への経営提案などを通じて企業価値向上(=ファンド利回り向上)を目指す「アクティビストファンド」を提供する運用機関が増えており、年金基金からの受託を増やしている──との内容。件の村上ファンドも、そんなアクティビストファンドの一つとして取り上げられていた。それによると、村上ファンドの国内年金基金からの受託状況は、2005年12月末時点で3基金から140億円を受託。1件は2001年から、04年と05年に1件ずつ加わったとのこと。件数や金額よりも、5年も前から運用委託した基金が居たというのはオドロキ。担当者に先見の明があったのかそれとも単なる●●なのかはともかく(汗)、よくぞまあ理事会や代議員会で了承を得られたものだ。

ところで、今から3ヶ月前に書かれたこの記事では、村上ファンドは市場を撹乱する悪徳商人どころか、アクティビストファンドとしては「敵対的だが先進的」と肯定的に捉えられていた。しかも同社社長・FMのインタビューにまるまる1ページの誌面を割くあたり、まあ結構な持ち上げぶりであった(苦笑)。それから程無くして現在のような四面楚歌状態に陥るとは、この時誰が予想出来ただろうか・・・



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2006年06月10日

「物言う株主」の次は「物言う社債権者」?

ボーダフォン債下落の波紋 立ち上がるか「物言わぬ」社債権者
国内最大LBOに異議あり

(要約)
ソフトバンクによるボーダフォン買収が発表されたが、巨額のLBOによる負債増加が嫌気され、両社の社債は大きく値下がりした。「巨額の借入・社債発行は当面避けたい」(孫ソフトバンク社長)との発言から程なくしての今回の買収劇。これには「社債投資家に対する背任行為だ」と、損失を被った社債投資家は怒り心頭。一部の機関投資家は「社債権者集会」を開いて責任を問う構えを見せている。社債投資家も声を上げなければ、企業の経営陣は株主利益ばかりに気を取られて社債権者の権利は置き去りにされてしまう。
(『日経公社債情報』 2006/6/5 コラム「放電塔」)

今週の日経公社債情報の巻末コラムは非常に興味深い内容だった。近年「株主価値の向上」「物言う株主」が喧伝されているが、その一方で社債投資家が置き去りにされているのではないか──という小論であった。確かに、企業においてIR(投資家向け広報活動)といえば対株主がメインで、社債権者に対するそれはついぞ目にしない。株式だろうと債券だろうと企業への投資に変わりはないのだから、社債投資家も声を大にするべきだという意見そのものには説得力がある。

では、株式・債券両方を保有する投資家はどう動くべきなのだろうか?
株式投資家と債券投資家は、企業の利益を配分する際は競合関係となる。殊に企業年金は、分散投資の観点から株式・債券を幅広く保有しており、当然ながら同一企業の株式と社債を同時に保有しているというケースも少なくない筈。現在企業年金の世界では、企業年金連合会に代表される「物言う株主」としての活動が脚光を浴びているが、果たして将来、企業年金が「物言う社債権者」を標榜する時代は到来するのだろうか・・・?



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2006年05月13日

本音は年金改革よりもコスト削減!?

経済同友会が社会保障で提言 (NIKKEI-NET)
経済同友会は10日、年金・医療・介護など社会保障制度について、ナショナルミニマム(国民生活の最低限の水準)の保障に限定する一体的改革を求める提言をまとめた。人口減少や少子高齢化の加速が見込まれるなか、制度の持続可能性を高めるには漸進的な変更では不十分と判断。これまでの社会保障に関する提言を一本化した。
公的年金制度では全国民共通の基礎年金について、税率9%の目的消費税を財源とする税方式に移行し、65歳以上の全員に月額7万円を支給する。現役時代の収入に比例する厚生年金の報酬比例部分は政府の関与をやめて、民間による確定拠出型年金に段階的に移行する。
(2006/5/11 日経朝刊 4面)

経済同友会といえば、日本経団連、日本商工会議所と並ぶ「経済三団体」の一つ。数日前に首相の靖国神社参拝に再考を求める提言で世間の顰蹙を買ったのは記憶に新しい。その翌日、今度は社会保障に関する提言をひっそりと公開した。

 ◆社会保障制度を真に持続可能とするための抜本的・一体的改革

お題目そのものには異論は無い。現行制度の改革は焦眉の急であり、そのためには国民的な議論を展開しなければならないとする姿勢は評価に値するのだが・・・

ところがいざ提言を読み進めると、上記のご立派なお題目とは相容れない違和感を感じること必至。結局、経済同友会の頭の中にあるのは企業負担を軽くしたいという一点のみで、文中にもその本音がありありと滲み出ている。こんなエゴ剥き出しの主張でも、抜本改革などと口当たりの良いスローガンで繕っておけば国民はホイホイ支持してくれるとでも思ってるのだろうか? たとえ社会保険料の企業負担が全廃されたとしても、彼ら経営者がその浮いた余資を給与や雇用という形で還元するとは到底思えない。

なお経済同友会の年金問題に関する見解は、2004年に刊行された「年金再生論」にもまとまっている。内容も不遜さも上記の提言と瓜二つ(汗)。当BLOGは基本的にはオススメ書籍を紹介する運営方針なのだが、今回は敢えて晒し上げ↓。

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2006年05月06日

企業年金減額、NTTが行政提訴

NTT、年金給付減額の不承認取り消し求め国を提訴 (NIKKEI-NET)
NTTとグループ会社の計68社は1日、退職者への年金給付削減を認めないとした厚生労働省の処分を不服として、国を相手取り、処分取り消しを求める行政訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。企業年金の制度変更を巡って民間企業が行政を訴えるのは極めて異例だ。
NTTグループは昨年9月、約14万人の退職者に対する年金給付を事実上削減する制度変更を申請した。厚労省は今年2月、「経営状態が著しく悪化しているとは認められない」として、申請を却下していた。
(2006/5/2 日経朝刊 3面)

本件については前回のエントリ「NTTの年金減額、厚労省認めず」でも触れたが、NTT側はいよいよ行政訴訟に踏み切った模様。個人的には「勝手にやってろ」って感じで関心ゼロなのだが(汗)、法曹畑の連中にとっては、以下の2点について判断基準が示されるかもしれないということで要チェキラな訴訟らしい。

1.「経営状態の悪化」の基準は?
2.労使合意はOB(年金受給者)にも適用されるのか?


まあ厚生労働省としては、仮に給付減額を承認したならば年金受給者からの提訴は必至だったであろう。どのみち提訴されるのが避けられないのならば、老人連中(失礼)相手よりは大企業相手の方が世間体が立つという算段か。一方NTTとしても、たとえ今回の行政訴訟で勝利したとしても、今度はOBからの提訴が待ち受けること必至。どのみち訴訟の連鎖は断ち切れないのね、ううむ。。。

(♪チャンチャカチャンチャン、チャチャンッチャチャンチャン♪)
国との裁判に勝ったと思っていたら〜♪
今度は受給者から訴えられました〜♪


チックショーー!!


 (by小梅太夫)


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2010/6/14): NTT企業年金減額訴訟が結審したわけだが
The企業年金BLOG(2007/10/24): 規制が嫌なら税制優遇を返上すればぁ?
The企業年金BLOG(2006/2/23): NTTの年金減額、厚労省認めず



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2006年05月02日

生保の年金運用が好調なようで・・・

大手生保の企業年金利回り23% 過去最高に (NIKKEI-NET)
企業年金が生命保険会社に運用を委託している特別勘定の2005年度の利回りが過去最高となった。大手生保7社の平均は23.33%となり、これまで最も高かった03年度(16.88%)を上回った。国内の株価が大幅に上昇したことが主因。生保の特別勘定の運用利回りは3年連続のプラスで、企業財務に好影響を与える。
特別勘定は一定の利回りを保証する一般勘定と異なり、運用実績をそのまま利回りに反映させる。利回りが過去最高になったのは国内外の株式や債券に分散投資する「総合口」で、大手生保各社が1990年度に取り扱いを始めた。
(2006/5/1 日経朝刊 1面)

年度末が終わって早1月。そろそろ各運用機関の決算がまとまる時期だけに、しばらくは上記の記事のような景気の良い数字が紙面を賑わすことだろう。以前「企業年金の運用利回り報道に関する留意点」でも述べたが、企業年金の運用利回りに関する記事を読む際には、

 @運用主体(誰の実績か?)
 A時点・期間(いつ、どのくらいの長さを見ているか?)
 B利回りの算定方法(実績値か推計値か?)


の3点に留意すべしと書いた。この分類に従うと、上記の記事は、@生命保険会社大手7社の「特別勘定」、A2005年度(05年4月〜06年3月までの1年間)、B不明──と位置付けることができる。今後も似たような記事が溢れかえるとは思うが、上記のような分類を踏まえれば混乱することはない。そういえば、生保会社の運用に関しては↓こんな記事もあった。


大手生保、団体年金の配当増・運用が改善 (NIKKEI-NET)
大手生命保険は企業向け団体年金保険の2006年3月期決算で配当を前の期(0.1―0.4%程度)を上回る水準へ引き上げる。日本生命保険は大幅な上乗せを検討しているもようだ。株価上昇などによる運用成績改善を受けた動きで、各社の配当実施は2期または3期連続となる。
(2006/4/17 日経朝刊 1面)

こちらの記事は、@生命保険会社の「一般勘定」、A2005年度(05年4月〜06年3月までの1年間)、B不明──と分類することができる。なお記事にもある通り、同じ生命保険会社の運用商品でも、一定の運用利回りは保証されるが運用成績が良くても配当しか上乗せされない「一般勘定」と、運用成績がそのまま反映される「特別勘定」とでは、商品の性質が大きく異なる。自社の企業年金がどんな資産構成なのかをチェックするとともに、くれぐれも↓のようなヌカ喜びはせぬようご注意を(汗)。

(♪チャンチャカチャンチャン、チャチャンッチャチャンチャン♪)
20%以上の利回りを稼いだと思っていたら〜♪
資産が全て「一般勘定」でした〜♪


チックショーー!!


 (by小梅太夫)


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/1/28): 企業年金の運用利回り報道に関する留意点



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2006年04月25日

年金加入記録の記載ミス・記録漏れにどう対応すべきか

厚生年金、加入者リストに一部記載漏れ・代行返上で手続きミス (NIKKEI-NET)
企業の厚生年金基金が厚生年金の代行部分を国に返上した際、一部で提出した加入者リストに記載漏れがあったことが明らかになった。厚生年金の受取額が本来より少ない受給者が発生している可能性があり、厚生労働省は企業や業務を受託している信託銀行などに記録の再点検を呼びかけた。
関係者によると、定年を迎える前に退職した人などが加入記録から漏れているケースが多いという。基金が代行返上の手続きを進めている途中で死亡した人の情報が反映されていない例もあるもようだ。
(2006/4/2 日経朝刊)

厚生年金基金が代行返上を行った際に、加入者データの記録ミス・記録漏れが相次いで発見されたという。今回はたまたま代行返上というイベントがあったから問題が表面化したわけだが、これはわれわれ一般の公的年金被保険者にとっても対岸の火事では済まされない。つまり、社会保険庁が管理している国民年金・厚生年金の被保険者記録データベースにも、同様の記録ミス・記録漏れが存在する可能性は否定できない。

公的年金被保険者の加入資格記録が社会保険庁のデータベースに反映されるまでには、企業の人事担当者や社会保険事務所など複数の組織・人間の手を介する。企業側が間違った届出記録を提出することもあれば、社会保険庁側が入力ミスを犯すこともあるだろう。これは何も年金に限った話ではなく、人間が行う行為にミスが付き物であることは致し方ない。こうした記録ミスを発見・修正できる機会は、われわれ一般の被保険者には与えられないのだろうか!?

おそらく唯一の機会となるのが、裁定請求時(年金請求時)である。
通常は社会保険事務所に赴いて基礎年金番号、氏名、生年月日などを照合するわけだが、ここで「自分の記録があった、ワーイ!」などと喜ぶのはまだ早い。
@その記録は正確なものなのか
A他にも自分の記録が漏れていないか

についても確認しなければならない。参考までに、当BLOG管理人が遭遇した事例を一部列挙しよう。
 年金加入記録によくあるエラー



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2006年04月20日

基金脱退を誘った社労士に注意勧告

都社労士会、厚年基金脱退を誘った社労士に注意勧告(年金情報)
インターネット上で「厚生年金基金を脱退しよう」などと宣伝し、顧客を勧誘していた都内の社会保険労務士に対し、東京都社会保険労務士会が昨年12月に注意勧告していたことがわかった。宣伝で使われた表現に不正脱退を連想させるなど不適切な部分があった。都社労士会によると「厚年基金関連の不正で会員を処分したのは初めて」という。
(2006/4/3 年金情報 22ページ)

という訳で早速検索してみると・・・あった

件の社労士のサイトはコチラ(いまだ運営中)。士業の日常を綴った日記はなかなか面白い。ただし、上述の記事にもあった「総合型基金脱退勧誘」のエントリは、すでに削除された模様。そこで残ってるログやキャッシュを探索したところ、以下のエントリを発見した(下図)。

20060420atsuryoku.jpg

今回の処分はつまり「不正脱退をそそのかす行為を国家資格者たる社労士が行うとは何事か」つうことに尽きる。おそらく国家資格とは関係ない一民間コンサルタントであれば問題視されなかったように思う。こうした行為の是非はここでは敢えて問わないが、件の社労士の言動を見るに「社労士会は所詮、行政の飼い犬。でも俺は犬にはなりたくない。」「困ってる人間を助けて何が悪い」とまあ正義感溢れること頼もしい。しかしその割には「余計な争いは避けた方が無難」とサッサと削除に応じるさまは、まさに忠犬そのものであった(汗)。

まあ、せっかく苦労してGETした社労士資格だ。そう易々と手放したくない気持ちはわかる。たとえ飼い犬に堕しようとも(苦笑)。



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2006年04月10日

年金問題は企業の重要な経営課題ではなくなった!?

企業年金 利回り最高19.2%
 株高・円安が追い風
 (日経新聞)
企業年金の運用成績が好調だ。格付投資情報センター(R&I)によると、2005年度の企業年金基金の運用利回りが19.2%と過去最高を更新したもようだ。国内株式相場が大幅に上昇したほか、海外株式・債券も好調で円安も追い風となった。運用利回りは03年度から3年連続のプラスとなり、年金運用難に悩まされた企業も一息ついた格好だ。
(2006/4/7 日経新聞朝刊 3面)

企業年金の運用状況は、2000年度から3年間は大幅なマイナスをつけたものの、2003年度から3年間は平均でプラスを確保した(下表参照)。

20060410rimawari.jpg

03年度以降のプラス運用利回りには、国内株式市場の回復が大きく寄与している。ほんの数年前は株式運用する奴は白痴呼ばわりされたものだが、時代は変わったものだ(汗)。ただ、標準偏差(年度間のブレ)は年々大きくなっており、企業経営に与える影響は依然として無視できない。一業界人としては、相場に一喜一憂せず、引き続き年金運用のコントロールに注力せねばなるまいて。

─────────────────────────

さて余談だが、本記事の某シンクタンク研究員氏のコメントに脊髄反射しているブログが幾つか散見された。何でも、「年金問題は企業の重要な経営課題とは言えなくなった」というのは誤解を招く表現で楽観に過ぎるとの事。
あれ、そんな表現あったっけか!? そこでさっそく記事のコメントを読んで見た。
ニッセイ基礎研究所の臼杵政治上席主任研究員は、「運用環境好転を受け、年金問題は企業の重要な経営課題とはいえなくなった。だが、年金運営のリスク管理をおろそかにすると市場環境次第で業績に悪影響を及ぼしかねない」と指摘する。
(以上、前出の記事より抜粋)

・・・どこをどう読んでも、楽観的なコメントには見えませんが?

何のことはない、記事のコメントのうち前半だけ切り取って「事実誤認だ」と叫んでいるのだ。企業年金の今後に警鐘を鳴らしていただけるのは結構なのだが、自説に都合の良いように記事を曲解する輩に「新聞報道に疑問を感じる」だの「報道が全てだとは思わないが」と論じられても説得力ゼロ。むしろ疑問なのは彼らの読解力だ(汗)。本題から外れたが、今回の新聞報道に関する一部ブログの反応には大いに疑問を感じた次第。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG: 企業年金の運用利回り報道に関する留意点



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2006年03月24日

代行部分の会計処理、進展見られず

国支給の交付金、退給費用から控除
  企業会計基準委、年金で公開草案
 (日経金融新聞)
企業会計基準委員会(ASBJ、斎藤静樹委員長)は、厚生年金基金の会計処理に関する公開草案をまとめた。厚年基金では企業側の年金に加えて、国が運用する厚生年金の資金の一部を代行する。草案では代行部分は従来通り退職給付債務(PBO)として認識する一方、国から支給される交付金は退職給付費用から控除するとした。
2004年に厚生年金保険法が改正され、代行部分で企業側が負担するのは、解散時などに国に返還する「最低責任準備金」のみとしたほか、一定の条件を満たせば国が交付金を支給するとした。この改正に際して企業年金連合会(旧厚生年金基金連合会)など年金関係者から、代行部分の会計処理について見直しを求める声が多かった。
(2006/3/23 日経金融新聞 6面)

厚生年金基金の代行部分の会計処理をめぐる論争については以前「代行部分の会計処理をめぐる論争」で述べた。2004年の年金法改正で厚生年金基金の代行部分について財政中立化(保険料率の改定、交付金の交付など)が図られたことから、当該交付金の会計処理に関する公開草案がこのほど公表された

しかし公開草案の内容は、代行部分の債務認識については従来どおりとするものであった。3月17日付けの日経金融新聞の記事によると、『斎藤静樹委員長が「パーマネント(恒久的)な結論は出せない」と発言。議論は平行線のまま打ち切られた。』とのこと。要は先送りですな。なお17日の記事の方が論点が整理されていて分かり易いので、末尾に全文を掲載しておく。

「会計士協会は日本の退職給付制度の中身を分かっていないんじゃないか」との批判も一部から聞こえてくるが、記事を見る限りでは多分その通り(毒)。会計士といえば司法試験に並ぶ最難関資格の一つだが、そんな頭脳集団が海外の会計基準の前例踏襲しかできないようでは、専門家の名が泣きまっせホンマ(汗)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG: 代行部分の会計処理をめぐる論争
 
 日経金融2006/3/17記事(全文)



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2006年03月23日

公的年金の債券運用、結局時価評価に

保有国債は時価で処理 年金資金運用基金、独法化後も (NIKKEI-NET)
厚生労働省と公的年金の一部を運用する年金資金運用基金は、2006年4月に独立行政法人に移行してからも保有国債の会計処理を相場変動を反映する時価方式とすることを決めた。従来は移行を機に取得価格を計上する簿価方式に変更する予定だったが、資産内容の透明性が後退するとの批判が高まり、方針転換する。
(2006/3/19 日経朝刊 3面)

以前当BLOGでも扱った「満期保有目的債券の簿価評価」の問題だが、結局は現行どおり時価評価を存続することになったようだ。外部から批判が相次いでいたし、当の年金資金運用基金の投資専門委員氏も簿価評価反対を業界誌で唱えていたぐらいだ(報酬受け取っていながらよくぞ批判できるものだという声もあったが)。まずは一件落着と言えよう。

しかしながら、この問題に関しては依然として腑に落ちない点がある。
なぜ企業会計では満期保有目的債券の簿価評価が認められているんだ?

今回の騒動にしても、そもそも企業会計基準にこのような珍妙な会計処理があるからこそ、公的年金サイドがそれを模倣しようと画策したのだろう。真に問われるべきは、企業会計基準(満期保有目的債券の簿価評価)そのものの妥当性である。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG: 満期保有目的債券の簿価評価



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2006年03月17日

国内債券偏重は配分ミスだって!?

公的年金の運用益、過去最高に 05年度見通し (NIKKEI-NET) 
株価の上昇を追い風に、公的年金の一部を運用する年金資金運用基金の2005年度の運用益(時価ベース)が過去最高を更新する見通しだ。同基金が15日に発表した運用実績によると、05年4―12月の運用益は7兆4300億円。過去最高だった03年度の年間4兆7200億円を上回る。好調な運用が続けば年金財政に好影響を与えそうだ。
(2006/3/16 日経朝刊 7面)

前回(第2四半期)の日経新聞の扱いはすごぶる小さいものだったが、さすがに今度は扱いがデカイっす。まあこの株高局面では、いくら債券中心運用でもある程度の利回りが出ることは自明の理。ここは一喜一憂せず見守る事としよう。

ところがこの期に及んでも運用結果にケチをつける輩が後を絶たないのだから、その偏執狂ぶりには頭が下がる物事とはいくらでも多面的に見られるものなのだなあ(棒読み)。「粉飾決算では?」なんて妄想はさておき、当BLOG管理人が贔屓にしているメルマガでの指摘には唖然とした。以下にその一部を引用する。

10秒で読む日経!視点が変わると仕事と投資のネタになる
(記事リンク)
(中略)予定利率が3.2%にもかかわらず、利回りが1%強の国内債券に資産の3分の2を配分しており、このマイナス幅を他の国内外株と外債で挽回する方針だ。
それでも、今期は日本株や外国株が大きく上昇したために、こんな無茶な資産配分でも予低利利率以上の利回りである10%弱にまで利回りが向上した。
しかし、最初から赤字と決まっている国内債への配分を減らして、他の資産クラスに配分しておけば、今年のリターンはもっと高かったし、年金財政も一息つけた。
(中略)この配分ミスを厚生労働省に強く責めることが必要だ。
(以上、上記メルマガ2006.3.16記事より引用)

つまり「資産配分が国内債券に偏重しているため株高の恩恵に与れなかった」と言いたいらしい。一面的には正しい見方ではある。資産配分は運用結果の80〜90%を左右すると言われてるくらいだ。しかし上記の記事は、現在のポートフォリオが組成された検討経緯を無視している点で暴論の部類に入る。

現在の公的年金のポートフォリオは、折りしも数年前のマイナス運用利回り時代に協議・検討されたものだ。当時(2002〜03年頃)は、公的年金に限らず企業年金の世界でも「株式運用する奴は白痴」と非国民呼ばわりされた時代だ(汗)。国会審議でも株式運用に関する批判が相次ぎ、それを受けて現在の国内債券偏重のポートフォリオになったという経緯がある。

つまり、上記メルマガが「もっと株式につぎこむべし」と主張するのであれば、来年度以降マイナス利回りに陥っても「ベンチマークさえ上回れば問題ナシ!」と擁護しなければ一貫性を欠く。でも運用が低迷してたらしてたで違う難癖をつけるんだろうなあ多分。まあ資産運用なんて、後付けで何とでもケチ付けられる分野だし(溜息)。「最初から赤字と決まっている国内債」なんてまさに事後批判。
そんなの事前に言えよ事前に!


当BLOG管理人も贔屓にしているメルマガだけに、今回のコメントは残念であった。行政を批判すれば知的に見られるとでも思ってるのだろうか? とはいえ他に学ぶべき事が多いメルマガなので、これしきの事で購読ストップはしないがね。まあ是是非非つうことで。なお公的年金運用に関する課題等については、昨日紹介した「年金2008年問題」に詳しく載っているので、興味のある方は是非。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG: 公的年金運用、過去最高の黒字
The企業年金BLOG: 「年金2008年問題」



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2006年02月25日

企業年金の株式投資動向を見るには

日経平均1万6000円台、年金の売り重し
東京証券取引所が同日発表した投資主体別売買動向では、先週(2月13日―17日)の信託銀行の売買は3,543億円の売り越しになった。信託銀として統計を取り始めた1996年9月以降、週間ベースで過去最大の売越額だ。
(2006/2/24 日経金融新聞 3面)

信託銀の売越額、過去最大3,543億円
2月第3週の投資主体別売買動向で信託銀行の売越額は3,543億円となり、前の週に比べ1,582億円増加した。33週連続の売り越しで売越額は過去最大となった。相場の乱高下が続いたことで、3月期末決算を控えた年金資金などが利益を確定する動きを強めた。これまで売越額が最も大きかったのは2005年10月第1週の3,422億円だった。
(2006/2/24 日経朝刊 18面)

株式市況の報道で「外国人買い」や「年金の売り」といった言葉を良く耳にするが、これらのソース(情報源)は何なのか? という質問をたまに受ける。

最もポピュラーなのは、東京証券取引所が発表する「投資部門別売買動向」である。これは東京・大阪・名古屋の国内3証券取引所で売買された株数および金額を、証券会社の自己売買、個人投資家、外国人投資家といった投資主体別に集計したものである。投資主体のうち信託銀行は、年金基金から資産管理を受託していることから年金基金の売買動向を表しているとされている。上記の記事はこの統計を受けての報道である。ただし、信託銀行は企業年金以外からも資産管理を受託している関係上、実際は企業年金だけでなく公的年金・郵貯・簡保の売買動向も混在している。

そこで、上記の投資主体を細分化してより緻密な動向を見るのならば、日本銀行が発表している「資金循環統計」が便利だ。資金循環統計は、ある期間の資金の流れを表わした「金融取引表」(フロー表)と、ある一時点の資産・負債の残高を表わした「金融資産・負債残高表」(ストック表)から成る。いずれの表も、横軸には家計・企業・政府・金融機関なといった46の経済部門が、縦軸には現金・預金、株式、債券といった51の取引項目が配置されている。経済部門には、公的年金や生命保険とは別に、私的年金を司る年金基金という部門が独自にあり、年金基金は更に企業年金その他年金に細分化される。これら部門のフロー表を見れば、企業年金のより綿密な売買行動(株式以外も参照可)を把握することが可能である。

資金循環統計で2005年1月から9月までの株式売買動向を見ると、公的年金は8,853億円売り越している一方、企業年金は7,256億円の買い越しとなっている。つまり東証の投資部門別売買動向による信託銀行の売り越しは、企業年金以外の公的年金・郵貯・簡保といった公的セクターによるものであることが見えてくる。

しかし、資金循環統計も必ずしも完璧ではない。各部門の動きが綿密に記録されている反面、四半期ベース単位でしか状況を把握できず、公表時期も遅い(直近の四半期末の約2ヶ月後)という難点がある。この点は、週単位のデータを翌週木曜には公表している東証の投資部門別売買動向の方に分がある。要は、こうした各種統計の特徴を事前に認識した上で利用することが肝要である。

最後に、資金循環統計における「企業年金」と「その他年金」の分類は以下の通りである。詳しくはコチラを参照されたし。

<企業年金>
 ・厚生年金基金(代行部分含む)  ・適格退職年金
 ・確定給付企業年金          ・確定拠出年金(企業型)

<その他年金>
 ・国民年金基金          ・確定拠出年金(個人型)
 ・小規模企業共済         ・石炭鉱業年金基金
 ・勤労者退職金共済機構(中退共、建退共・酒退共・林退共)
 ・農業者年金基金(特例付加年金勘定、農業者老齢年金等勘定)



<関連エントリ>
The企業年金BLOG: 資金循環統計で見る機関投資家の株式売買動向
The企業年金BLOG: 機関投資家の株式売買動向(2005年9-12月期)



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2006年02月23日

NTTの年金減額、厚労省認めず

NTTの年金減額、厚労省認めず「経営悪化といえぬ」 (Sankei Web)
厚生労働省は11日までに、NTTが経営悪化などを理由に、NTTグループの退職者約14万人の企業年金の給付減額を求めた申請を認めないことを決めた。NTTは2002年度以降黒字が続いていることから、厚労省は「著しく経営が悪化しているとはいえない」と判断した。
厚労省が退職者の年金減額の申請を認めなかったのは初めて。NTTは「年金の安定運用に向けた企業の自主努力を否定する」と反発、行政訴訟も検討するとしている。

当BLOG管理人が仕事に追われてヒーコラ言ってた折に飛び込んできた上記のニュース。この手の問題は、結局「受給者保護」か「経営の自由度拡大」かをケースバイケースで判断・対応せざるを得ないため、当事者同士でケリをつけとくれとしかコメントのしようがない(汗)。

ただ今回のNTTの件がこれまでの事例と大きく違うのは、OB(年金受給者)のただならぬ抵抗姿勢である。試しに「企業年金 NTT」でググってみると、「改悪反対」「減額反対」の文字が出るわ出るわ。さらに一部の受給者が給付減額反対の訴訟を起こしたところ、請求自体は棄却されたものの「規約変更が承認された時点で行政訴訟などを起こせば足りる」との判断が昨年9月に下された(記事)「給付減額を認めたら訴訟の矛先がコチラに・・・!?」と厚労省サイドがビビったかどうかはともかく、今回の給付減額不承認の決定に何らかのプレッシャーを与えたのではないか。既得権にしがみつくことの是非はさておき、声を挙げること&挙げ続けることの威力はまざまざと感じた次第。まあ、しがない弱小コンサルタントの身としては、この手の争議の場とは一生無縁な生活を送りたいものだ(汗)。←またも逃げを打つ不肖な管理人

最後に繰り返すが、この手の議論に関する見解はまさに十人十色。
なので、本件について参考となるサイトを以下に付記しておく。
 参考サイト一覧



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2006年02月13日

今更「常識のウソ」と言われても・・・

【社会保障ミステリー】 「年金破綻」常識のウソ
「少子化が止まらない」→「年金制度の担い手が減る」→「制度は破綻する」。ちまたにあふれる論法だが、本当だろうか。
(2006/2/6 日経夕刊 12面)

普段は社会の木鐸(もはや死語)として年金制度の欠陥をあげつらう指摘してくれる日経新聞だが、なぜか10回に1回は物分かりの良い記事を書いたりするからアラ不思議。今回の記事はまさにその10回に1回ってやつ。執筆したのは名著「年金これだけ心得帖」の著者でもある山口聡編集委員。先の2004年改正における議論では、法案成立後に公表された合計特殊出生率が1.29と前提条件(1.39)を早くも下回るなど「厚労省の推計は信用ならん」との批判も大きかった。しかしコラム氏は続ける。
実は厚労省は出生率が回復せず、長期的に1.1となる場合も推計している。この場合、保険料が今の計画のままだと、年金は最終的に20%以上のカットになる。確かに削減幅は拡大する。それでも8割近くはもらえるのだから、いわゆる破綻とは異なる。

至極ごもっともである。同様の指摘は以前のエントリ(2004年公的年金改正は画期的な改革だった?)でも触れてるので、そちらを参照されたし。

しかし、普段ならば良質記事マンセーと手放しで賞賛する当BLOG管理人であるが、本件についてはひとつ腹に据えかねる事がある。
本記事のタイトルは「常識のウソ」と題しており、つまり「君たち、ウソに踊らされてはいけないよ♪」と言いたいらしい。だが、かくいう日経新聞もエセ常識を広めた一翼を担ってなかったっけ!? それを今更「常識のウソ」と嘯いて読者を愚民視とは、「どの口がそれを言う!?」というトホホ感しか漂わない。

まあ、本記事で厚労省のお役人が「わかってんじゃん」と喜んでくれて、厚労省の記者クラブでの情報収集が円滑になるのであれば、新聞社としては記事を出す意義があるのだろう。情報入手源とスポンサーには勝てないマスメディアの無節操ぶり苦労が窺える(棒読み)。

※ 関連エントリ:2004年公的年金改正は画期的な改革だった?
 「年金破綻」常識のウソ (記事全文)



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2006年02月10日

プロスポーツ選手の年金基金構想

人材サービス大手、スポーツ選手の引退後を支援 (NIKKEI-NET)
人材紹介・派遣大手が、スポーツ選手の引退後の就職などを支援する事業に相次ぎ乗り出している。リクルートエイブリック(東京・千代田)はプロ野球選手向けに求人誌を発行、アデコ(東京・港)はスポーツ選手向けの就職支援プログラムを導入した。選手の「第2の人生」を後押しする新サービスの事業化を通じて、企業イメージの向上にもつなげる。
(2006/2/8 日経夕刊)

この記事を目にして、かつて読んだ「年金の誤算」という本の一節を思い出した。本書は日本経済新聞の年金関連記事をまとめた単行本で、バブル崩壊とともに運用環境が低迷し始めた10年前の1996年に刊行された。いわゆる「年金危機」が声高に叫ばれ出したのもこの頃からだったと思う。

で本題に入るが、本書に「プロ選手の模索」という一節があった。プロスポーツ選手の現役生活は、サラリーマンに比べると大幅に短い。現役引退から年金受給開始年齢に達するまでの長い待期期間への対処が求められる。しかし現役生活が短いということは、掛金を拠出できる期間も限られることを意味し、制約も多い。多様化する個人のライフスタイルにどこまで対応させるべきか──といった論調であった。

その中で当BLOG管理人の目を引いたのは、かつてプロスポーツ界全体を対象とした国民年金基金を設立する構想があったというくだり。何でも、財団法人日本プロスポーツ協会がプロスポーツ選手国民年金基金設立の音頭を取っていたという。選手人口は当時で1万5千人と、職能型基金としては堂々のトップクラス。

ところが選手の関心は思ったよりも低かった。国民年金基金に加入するには、まず国民年金に加入している事が大前提だが、そもそも国民年金の未納・未加入が少なくなかった(現在ならスキャンダルもの)。推進担当者は公的年金の説明から始めなければならなかった。また、ある有力野球選手は年報の高い現役期間中に掛金を一括で払えないかと聞いてきたが、当然ながら国民年金では1年分の前納しか認められていない。結局申請時の仮加入者数は千人程度に留まり、基金設立は頓挫したという。

この他にも、規制緩和が徐々に解かれはじめた時代の企業年金業界の様子が生々しく描かれており、制度改正の歴史を振りかえりたい向きは読んでおいて損は無い。

─────────────────────────

余談だが、現在国民年金基金のCMに好評出演中の宮里藍は、若い上に稼ぎも莫大とリスク許容度の大きさはわが国でも5本の指に入るかと。むしろ個人型確定拠出年金で運用するべきだと思うのは私だけでしょうか?(byだいたひかる)


年金の誤算―企業を脅かす巨大債務の危機年金の誤算―企業を脅かす巨大債務の危機
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2006年01月28日

企業年金の運用利回り報道に関する留意点

(1)生保の企業年金運用、利回り最高の19.5% (NIKKEI-NET)
生命保険会社の企業年金運用が好調だ。年金が生保に運用委託している特別勘定の昨年4―12月の利回りは、主要生保7社平均で19.49%となり、特別勘定ができた1990年度以来の最高だった2003年度を2.61ポイント上回った。05年度は通期でも過去最高となる公算が大きい。
(2006/1/26 日経朝刊 7面)

株式市況が俗に"ライブドアショック"と呼ばれる混迷の最中にある昨今、企業年金の運用利回りに関する報道がなぜか相次いで為されている。上記以外にも以下のような記事が出ている。


(2)企業年金、利回り15.8% 4-12月 3年連続プラス運用に
企業年金の運用成績の好調が続いている。昨年秋以降の株価高騰で2005年4-12月の運用利回りは15.8%のプラスになったようだ。足元では株式相場の勢いがそがれたが、1-3月の運用が大幅なマイナスに陥らない限り、年度でもプラスを確保できそう。かつて年金運用成績の悪化が業績の足を引っ張っていたが、3年連続のプラス運用が確実で、状況は好転しつつある。
(2006/1/24 日経朝刊 17面)

(3)R&I推定・時間加重収益率 2005年度第3四半期は6.26%、年度通算15%超
格付投資情報センター(R&I)の運用評価サービスの対象である、厚生年金基金、企業年金基金、税制適格年金等の2005年度第3四半期(05年10-12月)の運用成績の全体像がまとまった。時間加重収益率の平均は、生保一般勘定を含む資産全体で6.26%となり、過去5四半期続けてプラスだった。
(『年金情報』 2006/1/23 12頁)

(4)05年12月の年金インデックス、2.65%、通算17.43%
年金パフォーマンスインデックス(年金信託の資産配分を基に年金情報が試算した複合ベンチマーク)は2.65%となった。2005年5月以来8ヶ月連続してプラスを確保した。4月からの通算では17.43%に達した。
(『年金情報』 2006/1/23 15頁)

どの記事もおおよそ傾向は同一なのだが、記事によって数値が微妙に違ってたりするため混乱しやすい。(2)と(3)の記事なんて同一ソースなのに受ける印象がまるで違う。また(3)と(4)の記事に至っては、同じ雑誌の同じ号に掲載されてるにも関わらず記事によって見出しの利回りが異なるという事態になっており、混乱にますます拍車がかかる。企業年金の運用利回りに関する記事を読む際は、以下の点について考慮しなければならない。
 
どんな留意点があるの?



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2005年12月31日

代行部分の会計処理をめぐる論争

厚生年金の代行部分「退職給付債務」 会計処理でさや当て (日経金融新聞)
厚生年金基金が国に代わって運用している厚生年金の代行部分の会計方法をめぐり、基金と会計士の間で論争が起きている。基金に給付責任のない部分は退職給付債務から除くべきだとする基金側に対し、これまでの会計ルール通りに全額を債務とするよう主張する会計士側。議論が紛糾し、年内に出るはずだった結論は来年に持ち越された。企業財務に大きな影響を与えるだけに、議論の行方に注目が集まっている。
(2005/12/26 日経金融新聞 3面)

当記事は、厚生年金基金の代行部分の会計処理をめぐり「従来通りのルールで債務を評価すべし」とする会計士サイドと「代行部分の正当な評価額である最低責任準備金で評価すべき」とする厚生年金基金サイドの間で論争が起きているというものである。

2001年3月期決算より導入された退職給付会計基準により、退職金や企業年金の積立度合いが母体企業の財務諸表に反映されるようになった。退職時に見込まれる退職給付の総額(退職給付見込額)のうち期末までに発生している分を、一定の割引率で割引計算したものを退職給付債務としている。退職給付会計基準の導入自体は「簿価から時価への移行」という時価主義の流れに沿ったものであり、異論を挟む余地は全く無い。当記事で論点になっているのは、退職給付債務のうち厚生年金基金の代行部分についてである。

代行部分の法律上の債務は、厚生年金保険法等で定められた最低責任準備金である。基金が代行返上を行う際は、この最低責任準備金相当額を返還すれば良い。ところが現行の退職会計基準では、この代行部分についても上乗せ部分(=純正な企業年金部分)と同様に割引計算することを求めている。退職給付債務の割引率には長期国債などの利回りが主に用いられるが、昨今の低金利を反映して割引率は低くなっているため、代行部分の退職給付債務は一般的に最低責任準備金よりも大きくなる。つまり、代行部分についても現在の会計基準を機械的に適用するため、返上時に支払えばよい額(最低責任準備金)を不当に超過している事になる(下図の黒塗りの部分)。

20051226_kaikei.jpg

現行基準では、低金利下では「代行部分の退職給付債務>最低責任準備金」となる一方、金利上昇局面では逆に「代行部分の退職給付債務<最低責任準備金」となる。金利変動でここまで債務がフラフラするようでは、そもそも認識方法自体に問題があると言わざるを得ない。代行部分については、最低責任準備金という明確なモノサシがある以上、素直にこれを用いるのが「現状を正確に写し出す」という会計の役割に則したものだと思うが。

ここ1・2年、代行返上により特別利益を計上する企業が相次いでいるが、これはまさに、代行部分について過大な債務認識を強いられていたものが代行返上により解除されたためであり、実際にそれだけの資金が企業に入る訳ではない。つまり代行返上益なんて見せかけに過ぎないってこと。
しかもこの会計処理には「原則は過去返上完了時に損益を計上するが、将来返上認可時点でも損益計上できることとする」という特例がある。要は、代行返上の意思表示さえすれば未実現の利益を計上してもOKつうこと。おいおい、飲み屋のツケ払いじゃないんだから!

ここまでくると、粉飾決算の片棒を担いでいるようなもの。「代行部分と私的年金とで分割管理されていない」とする会計士サイドの主張も分からぬでもないが、一方でルールの厳格化を唱えながら、もう一方では特例措置による事実上の野放し状態では説得力に欠ける。これは連結会計の全額時価評価法や税効果会計の繰延税金資産にも言える。

もっとも、基金サイドの反撃も遅きに失した感がある。単独・連合型基金(大企業が中心)の85%以上がすでに代行返上に動いており、2005年12月1日現在で残っているのは僅か145。代行返上は既に終盤局面にある。これもひとえに年金基金サイドの政治力の無さの賜物か(汗)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG: 代行部分の会計処理、進展見られず
 
 厚生年金の代行部分「退職給付債務」 会計処理でさや当て (記事全文)



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2005年12月17日

公的年金運用、過去最高の黒字

年資基金、7―9月運用利回りは5.22%・運用益は過去最高 (NIKKEI-NET) 
公的年金積立金の一部を株式や債券で運用する年金資金運用基金は15日、2005年7―9月の運用実績を発表した。運用利回りは5.22%で4四半期連続のプラス。03年4―6月(6.25%)以来の高水準となった。国内外株式の運用が好調で、運用益は過去最高の3兆1240億円に達した。
運用実績を資産別にみると、利回りが最も高かったのは国内株式の21.47%。外国株式(8.11%)、外国債券(2.21%)もプラスだった。国内債券は金利上昇(債券価格は低下)の影響を受け、1.31%のマイナスだった。2005年度上半期(4―9月)の利回りは6.74%で、運用益は3兆9831億円。
(2005/12/16 日経朝刊 7面)

2002年度末には6兆円もの赤字を抱えていた年金資金運用基金(旧年金福祉事業団)だが、気が付けば4兆円近くの黒字だとか(!)。年資基金への批判として「役人(正確には団体職員なのだが)ごときに運用なんて無理」と良く言われるところだが、では彼らの運用手法がここ数年で改善されたのかというと、んな事ぁ無い(byタモリ)。

つまるところ運用なんて環境に拠るところが大きいのだが、重要なのは、そうした環境変化に一喜一憂せず価格変動リスクを長い目で甘受すれば、ある程度のリターンも見込めるということだ。こうした「長期投資」に最も適している資産の一つが年金マネーであり、現時点ではたまたまそれが良い方向に転んでいるだけのハナシ。公的年金運用への批判が喧しかった数年前に慌てて株式を売却して全額債券運用などしていたら、果たして今回のような成果は得られていただろうか?
もちろん今後どう環境が変化するかは分からないため過信は禁物だが、長期的視野を保つことの重要性と難しさを認識する意味では良い機会だったのではないか。少子高齢化により保険料収入の先細りが叫ばれる昨今、賦課方式とはいえ、運用収益が公的年金財政に少しでも寄与してくれると良いのだが。

それにしても、これだけの成果を挙げたにも関わらず、マスメディアはベタ記事扱い赤字の時は「1面見出し+関連記事」のコンボでこれでもかと罵るくせにねえ。まったくもう・・・(by長井秀和)。

上手く運用して結果を出しても給料が増える訳でもなく、さりとて下手をやらかしたらマスコミからバッシングの嵐。公的年金運用という仕事はつくづく報われないものよ。こんな損な役回り、貴方は引き受ける?

・・・自分はまっぴら御免ッス(汗)。
 

<関連エントリ>
The企業年金BLOG: 企業年金の運用利回り報道に関する留意点
The企業年金BLOG: 年金問題は企業の重要な経営課題ではなくなった!?



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