2005年12月14日

2004年の公的年金改正を再評価する機運高まる

「世代間の助け合い」と「世代間の公平」の調和を求めて (RIETI 経済産業研究所)
来たる15・16日に開催されるRIETI政策シンポジウム「日本の年金制度改革」の直前企画として、横浜国立大学の神代和俊教授のインタビュー記事が掲載された。先日の記事で「海外では2004年の公的年金改正に対する評価が高い」という件について触れたが、タイムリーなことに本記事でも同様の見解を述べていたので紹介する。今後の公的年金改革に残された課題が簡潔にまとめられていて興味深い内容である。リンク先が無くなる事態に備え、ログも残しておくとしよう。
なお当BLOG管理人もこのシンポジウムに参加する予定。後日レポートするかどうかは気分次第(汗)。

インタビュー記事(全文)






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2005年12月13日

2004年公的年金改正は画期的な改革だった?

【経済教室】 危機は終わった
  コロンビア大学教授 デビッド・ワインシュタイン
日本の財政が破綻の瀬戸際にあるというのは誤解だ。日本政府の債務水準はネットベースで見れば、途方もなく高いと言うわけではなく、将来の年金問題も昨年の改革でほぼ解決した。重要なのは小さい政府の実現を目指すことであり、消費税の増税は不要である。
(2005/11/29 日経朝刊 33面)

上記の記事は、日本の財政破綻説を一刀両断に斬り捨てたものである。興味深いのは、不評だった2004年の公的年金改革を高く評価している点だ。年金に関する言及を抜粋・要約すると以下の通り。

マクロ経済スライドの導入により、社会保障費の増大に歯止めがかかった。これら改革の効果は(医療制度改革など比較に及ばぬほど)かなり大きく、日本経済が適度なペースで成長を続けていけば、将来、消費税を引き上げるには及ばない。差し迫っていると言われる年金危機だが、実際にはほとんど終わったと言うべきだ。
ただし、年金制度改革の結果、将来世代の受ける年金給付は大幅に減る。今後は最高齢層を除くすべての日本人が高い税金と少ない年金給付に苦しめられることになる。
(以上、当BLOG管理人による要約)

現在の高齢者に比べると将来世代はやはり苦労はするものの、年金制度の持続可能性はむしろ高まった──とする考察は、国内のマスメディアからはついぞ聞かれない指摘だ。2004年の公的年金改正については悪評プンプンというのが国内の一般的な見方だが、一方、海外では専門家や国際機関により高く評価されていると聞く。この記事により初めてそれを実感した次第である。

なお記事は「年金改革による負担増に増税が加わると、却って景気の腰折れを招く。ゆえに消費税増税は不要。小さい政府を実現すべし!」と締め括っている。この他にも、政府債務に関する考察など、全体的に非常に示唆に富む内容であった。



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2005年11月25日

満期保有目的債券の簿価評価

年金運用の独立法人、国債を満期保有 (NIKKEI-NET)
厚生労働省と同省所管の特殊法人、年金資金運用基金は公的年金の積立金で運用する国債について、来年度から満期まで売却せずに保有する方針を固めた。満期保有を前提に国債を時価評価の対象から外し、取得原価(簿価)を計上する方式に改める。市場金利の変動による影響を受けにくくする狙いだが、「時価主義の流れに反する」という指摘もある。
国民年金と厚生年金の積立金のうち、年資基金が市場運用しているのは58兆円(2005年3月末)で、国債は約30兆円と過半を占める。来年4月に年資基金が独立行政法人に改組されるのに合わせて、保有する国債の約8割を満期まで持ち続けることにする。残りは金融機関に運用を委託し、相場環境を見ながら売買する。
(2005/11/12 日経朝刊 1・4面)

企業会計基準(金融商品に係わる会計基準)では、満期保有目的債券は簿価(正確には償却原価法)で評価することとされている。上記の記事は、この会計基準を公的年金の資産運用にも適用しようというものである。金利上昇が懸念される昨今、金利が上昇(=債券価格が下落)しても評価損を出すまいという意図だろう。

これには、「時価主義の流れに反する行為」「きちんと実態を把握してこそ資産運用だ」「評価方法の恣意的な変更は許されない」といった批判が噴出している。これらの批判は至極真っ当ではあるのだが、一つ気になる点がある。

企業会計基準が満期保有目的債券の簿価評価を認めているのは、「満期まで保有することによる利息収入確保を目的としていることから、満期までの間の金利変動による価格変動リスクは認めずとも良い」という論拠らしい。しかし、そもそもこの会計基準自体は妥当なのだろうか!?
今回の年金資金運用基金の措置を批判するならば、企業会計基準そのものについても妥当性を問うのが筋だと思うのだが、マスメディアやネットを見渡した限りでは、その点にまで言及してる発言は皆無であった。

個人的には、年金運用の目的が運用収益を稼ぐことにある以上、保有目的は何であれ債券もまた投資有価証券(こちらは企業会計基準でも時価評価が必須)であり、よって時価認識こそ合理的であると考える。むしろ、投資有価証券は原則時価評価としつつも「満期保有目的債券なら簿価評価OK」という恣意性テンコ盛りの処理を残している企業会計基準の方こそ珍妙に感じる。会計の専門家でもない素人の戯言だが、どなたか専門家の方からご意見をいただけると幸いである。

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ちなみに、同様の措置は企業年金(厚生年金基金・確定給付企業年金)についても2004年より認められている。

年金経理では、積立金の価格下落により積立不足が生じた場合、通常は掛金拠出の増加といった措置が求められる。しかし、満期保有目的債券を簿価評価にすると、金利変動による資産価格の変動の影響を受けにくくなるため、積立不足の発生を抑制できる。ただし企業の最終的な負担が減るわけではなく、あくまでも金利変動の影響を受けにくくなるだけの話である。

ところが、退職給付会計では事情が少々異なる。まず退職給付会計では年金資産はどのみち時価評価である。また、積立金の価格下落により損失(正確には期待運用収益との差額)が生じても、当該損失分は「数理計算上の差異」として次年度以降に遅延認識していくため、掛金拠出の増加が求められるわけではない。要は、退職給付会計とはあまり関係ないという事だ。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/3/23): 公的年金の債券運用、結局時価評価に




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posted by tonny_管理人 at 12:27 | Comment(2) | TrackBack(2)
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