2008/07/15

「想定利回りは大丈夫」との甘い誘いに気をつけよ


「早期退職は大丈夫」との甘い誘いに気をつけよ (日経ビジネスONLINE)
老後の蓄えを狙われて、米国“団塊世代”にトラブル続出
スタン・モリルさんは、これまでの蓄えによって退職後は妻と2人で不自由なく生活を送れるものと信じていた。31年間工員として働いた米イーストマン・コダック(EK)で、同僚が太鼓判を押す無料の資産運用セミナーに出席していたからだ。モリルさんは、講師を務めた米モルガン・スタンレー(MS)のトップ証券営業マン、マイケル・J・カザコス氏の提案する"49歳で悠々自適の退職"という夢のようなプランに魅了された。
─中略─
だが、最高で年14%という破格の投資利回りを想定したこのプランは、"夢物語"にすぎなかった。今やモリルさんの貯蓄残高はわずか5万7559ドル。ほかに目ぼしい蓄えもなく、生活費の捻出に苦労している。
(2008/7/14 BusinessWeek誌カバーストーリー)

もはや「アメリカの投資教育は先進的!」「アメリカ人は401kでハッピーリタイヤメント!」などという戯言を信じているようなナイーブな向きは少数派だろうが(まだ多数派か?)、当の米国では、資産運用セミナーで営業マンの口車に乗せられて虎の子をつぎ込んだ結果、大損こいた401k加入者が続出しているとの事。アメリカ人にとっては、「悠々自適の退職」というのがこの上ない殺し文句のようで(汗)。気の毒だとは思うが同情は一切しない。所詮、投資は自己責任つうことで。
ところで、日本の確定拠出年金(DC)もまた自己責任を旗印に導入された筈だが、にも関わらず、最近は「リスク性資産のウエイトを増やせ」と口を挟むお節介な輩が後を絶たない↓

 ○懸念される確定拠出年金加入者の運用収益率(野村総研)
 ○DCにおける投資教育の重要性(野村総研)
 ○わが国の確定拠出年金(DC)における加入者の資産配分(ニッセイ基礎研)
 ○確定拠出年金の運用割合を見直せ(三菱総研)

・・・つうかさ、自己責任ならほっとけタコ(汗)

この手の連中の発言を読み解くには、「リスク性資産」を「自社の投資信託」に読み替えると一目瞭然。結局、連中が問題にしているのは自社の投資信託が売れるか否かであって、冒頭の記事に出てくる営業マンと同様、加入者の老後などおそらく屁とも思っているまい。重要なのは、投資教育よりも、こうした甘言に騙されない消費者教育ではないのか?



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2008/06/24

日米のシンクタンクの能力差はあまりにも大きい!?


3兆円(日本)と900兆円(アメリカ)の差 (大和総研コラム)
(中略)国民が将来も生活の豊かさを維持するためには、年金制度の整備が不可欠であるが、公的年金が多くの困難を抱えている中にあっては、我が国においても、アメリカのようにIRAの創設と確定拠出年金の拡充が喫緊の課題である。
3兆円と900兆円(9.2兆ドル)。その差はあまりにも大きい。
(2008/6/23 大和総研Webサイト)

ハイ、またも出ました。証券業界関係者による無定見な米国金融市場礼賛記事。日米の経済規模や歴史的経緯などの差異を一切無視して「金額が巨額だから凄いんだぞ!」とのたまう様子は、真におめでたい(汗)。本論のツッコミ所は枚挙に暇がないが、整理すると以下の3点に要約される。


1.日米の経済規模の差を無視!
2006年末の名目GDPをみると、米国が約13兆ドルなのに対して、日本は約4兆ドル。米国は日本の3倍以上の経済規模を誇る。そもそもの土俵の大きさが違うのに、人口一人当たりに換算するでもなく、同じDC(確定拠出年金)資産だからと単純比較することに何の意味があろうか。柔道で言えば、48kg級の谷亮子と78kg超級の塚田真希を比較するようなもの。
※資料:OECD諸国の名目GDPの国際比較(pdfファイル)p.8

2.DC制度の歴史の深浅を無視!
米国でDCとりわけ401(k)が本格導入されたのは1980年代初頭からであり、四半世紀以上の経験を有している。対して日本で確定拠出年金法が制定・施行されたのは2001年で、ようやく5年経ったところ。5歳のガキに20歳代後半の大人と同程度の素養を求めてどうする!?

3.老後所得保障の実態を無視!
いくら401(k)プランだのIRAだので資産を一時的に積み上げたところで、それが老後資金に用いられないのでは制度の作った意味がない。現にアメリカでは、DCプランが老後所得の柱としてはちっとも機能していない事はもはや周知の事実だというのに。。。


──とまあ、これがわが国を代表するシンクタンク(苦笑)の、しかも理事クラスの手による解説なのだから、脱力モノである。それにしても、単純に金額が大きければ由という理論は、預かり資産規模を以って「大和は野村以下だ」と断罪する結論に繋がりかねない。木村浩一理事よ、親会社に弓を引いてどうする(汗)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/11/14): 『米国人は投資上手』なんて幻想?
The企業年金BLOG(2008/5/23): 金融のプロ(苦笑)ですら自身の老後準備には無頓着


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2008/06/04

論文のパワポ化は案外難しい!?


本日午後は、某所にて開催された某ビジネススクール修了生による年金研究発表を傍聴してきた。内容は、退職給付会計と確定拠出年金制度に関するテーマ3題。担当教授が「ウチは実証分析を売りにしてまして云々」と自負するだけあって、いずれのお題も論旨の軸は明快で、かつ堅牢な仕上がりであった。

しかし、それと同時に感じたのは、学位論文をパワーポイントで概略化することの難しさ。発表者は、当然ながら研究過程において試行錯誤を繰り返してきた(であろう)から、多岐に渡る前提条件はもはや自明の理だったのだろうが、初めて耳目に触れるギャラリーにとっては、「ここはキチンと説明して貰わないと分からんよ」といった箇所が幾つも散見された。とりわけ実証論文は前提条件の置き方が命であるため、いくら「有意でござい」とばかりにアスタリスク(***)を並べられた図表を示されても、前提条件の説明を伴わないものは説得力ゼロ。発表後に仔細について質問したかったのだが、主催団体のサイトに論文自体が後日upされるとの事なので、そちらを参照することにして会場を後にした。実証論文は原文に当たらないと何とも言えない。

ところで、論文を概略化する過程において重要な論点が抜け落ちてしまう危険性は、何も実証論文に限った話ではない。当BLOG管理人も来月に執筆論文のプレゼンを控えているだけに、肝に銘じなければ(汗)。ともあれ収穫の多い一日であった。



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2008/05/26

表彰式を以って全行程終了!・・・のはずが


先日お話した懸賞論文受賞の表彰式が、今夜都内某所にて執り行われた。顔見知りの方からは勿論、初対面の方々からも多大なご声援を賜った。ここに記して感謝したい。また、「ブログ見てますよ」との声も多くいただいた。当BLOGの業界での認知度が満更でもない事には感慨を覚えつつも、裏を返せば、これって見事に正体がバレてるという事ではないか(汗)。まあ、特に隠し立てしている訳ではないが。。。

それにしても、執筆締め切りから半年、審査結果受領から2ヶ月、本件については本日を以ってようやく一区切り!・・・となる筈だったが、何でも受賞記念講演会とやらが夏場に開催されるらしい。そんなの応募要領に書いてませんでしたが(泣)。



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2008/04/21

投稿論文が最優秀賞を受賞


私事で恐縮だが、昨秋に執筆・投稿した論文が、このたび某業界団体の懸賞論文にて最優秀論文賞を受賞してしまった。受賞論文の概要および全文は、主催団体のWebサイトにて6月以降にupされる予定。

なお、投稿に際しては10ページ(1ページ当たり40字×30行)という制約があったため、盛り込めなかった論点がかなり残っている。修士論文では、これらの論点を盛り込むとともに、規模と考察を更に膨らませる予定である。修士論文になってクオリティが低下したと揶揄されないか今からプレッシャーを感じつつ執筆しているが(現在の小島よしおもきっと同じ危機感を募らせているに違いない、と勝手に想像)、ともあれ今回の受賞は大いに励みとなった。



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2008/04/14

隣の芝生(講義)は青い・・・?


当BLOG管理人は昨春より某社会人大学院に通学しているが、長い春休みを経て、先週より2年目が本格始動した。2年目は修士論文作成がメインとなるため、あまり講義を履修する必要はないのだが、最近、自分が所属している研究科よりも隣の研究科の方が年金・社会保障系の科目が充実している事に気が付いた。租税・財政学の権威M氏、社会保障法で著名なK氏、更には、現役厚生官僚による医療・年金制度論etc ── よって春学期は、他研究科の講義を4科目ほど聴講することとした次第。その一方で、所属研究科の講義はゼミ以外は未履修ということに(汗)。



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2008/04/11

運用基本方針の非開示は進化か退行か


企業年金連合会、ヘッジファンドに投資 まず500億円 (NIKKEI-NET)
国内最大の民間年金基金である企業年金連合会は、金融技術を駆使して相場の下落局面でも利益を狙うヘッジファンドへの投資を始めた。投資額はまず運用資産の約0.4%の500億円程度とし、将来は1000億円以上に増やす見通し。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題で金融市場の混乱が続くなか、運用益の確保を目指した投資先の多様化が企業年金の間で広がってきた。
(2008/3/1 日経朝刊 5面)

1月前の記事をいまさら持ち出して恐縮だが、これは別に「また後追いの高値掴みか」などとしたり顔で批判するためではない(笑)。分散投資を旨とする年金運用においては、資産規模の増大とともに分散先を新たに模索する必要に迫られる。投資対象の拡大は年金制度のいわば宿命である。

閑話休題。たまたま記事を読み返していると、企業年金連合会(PFA)の資産割合が示されたグラフが目に留まった。確かPFAの政策アセット・ミクスは「円債37%:円株33%:外債7%:外株23%」だと記憶していたが、図をみると、外債の割合が増えている一方、国内株などは割合が縮小している。

pfa_asset_FY2006.jpg


そこで、PFAのサイトから「年金資産運用の基本方針」を参照したのだが・・・なんと、以前はpdfファイルで全文掲載していた運用基本方針が、要約版のみの掲載に変わっていた。また、資産構成割合や期待収益率・標準偏差等に関する項目も、いつの間にか非開示に。更に、会員専用コーナーに掲載されている職員名簿も、年金運用部のみ職員名が記載されていない。これって何て隠密同心?(笑)
まあ、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)みたいに何から何まで開けっぴろげにしていたら、機動的な運用はやりにくいものだ。そういう意味では、秘密主義というのも一つの見識ではある。しかし、会員基金・中途脱退者ならびに年金受給者への情報開示という観点からは、本来情報開示を推進する役割を担うべき業界団体(ナショナルセンター)が非開示へと向かう姿は、果たして世間からの賛同を得られるだろうか。。。



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2008/02/07

山崎元氏の「企業年金無用論」に釣られてみる


山崎元のマネー経済の歩き方(連載238号):企業年金無用論
企業年金無用論とは、いささか刺激的に過ぎるタイトルかもしれない。だが、特に将来の給付金額を加入者に約束して企業が運用リスクを取る、確定給付の企業年金は「ないほうがいい」。また、確定拠出年金についても、企業単位で制度を用意するのは非効率的だ。
(週刊ダイヤモンド 2008年1月28日号)

山崎元氏といえば、理知的だが歯に衣着せぬ物言いで資産運用業界に名を馳せている御仁。現在でこそワイドショーのコメンテーターなどもこなすマルトタレント的な地位に居るが、かつては金融機関および独立系コンサルファームで企業年金の資産運用業務に携わっていた時期もあり、年金資産運用との関わりは深い。
そんな山崎氏が突如ブチ上げた「企業年金無用論」。いや、突如というのは正確ではない。山崎氏の連載記事での一連のコメントを辿っている向きなら、氏のスタンスが「合理的な個人が合理的な判断を行えば由」という徹底した個人主義に根ざしており、合同運用を旨とする給付建て年金制度よりも確定拠出年金を志向していることは容易に察しがつくところ。個人的には、今回の山崎氏の宣言は唐突というよりむしろ「ようやく来たか」という感が強い。今回の記事で気になった点は以下の通り。


1.企業単位・職域単位は非効率か
公的年金については確かに徒な職域区分は不要だが、企業年金を「退職金の分割払い」ひいては「給与の後払い」と捉えるならば、企業単位・職域単位で制度を運営すること自体はさほど不自然ではない。それに、企業単位・職域単位を細切れと評するならば、個人単位こそ究極の細切れということになりやしないか?

2.勤務形態・所属組織によって条件が異なるのは不公平か
上記の「条件」というのが「税制優遇」を指すのか「企業の待遇」を指すのかがいまいち読み取り難いが、企業年金は任意の制度だという視点を忘れているように思う。給付設計と掛金拠出額が同一の制度を採用するのであれば、企業によって税制優遇に差が生じることはない。ただし、「どの制度(厚年基金・DB・DC)を採用するか」「どれだけ掛金を拠出するか」は企業が任意に選択するものであり、選択によって生ずる差異はアンフェアとは呼ばない。給与や福利厚生だって企業によって差があるじゃん。

3.企業が長生きリスクを引き受ける必要性
かつての厚生年金基金は、代行部分および上乗せ部分の1/2以上を終身給付とすることが義務付けられており、企業にとって長寿化リスクは決して軽いものではなかった。しかし、現在主流となっているDB・DCは、終身給付は義務付けられておらず、有期年金が主体である。実は、代行返上は企業を長寿化リスクから解放したという側面を持つ。

4.確定拠出年金は「個人型」こそあるべき姿
当BLOGでも以前に同様の見解を述べたことがあり、これには大いに賛同する。もっとも、山崎氏が記事で提唱している一時払い終身年金保険だが、現行の類似商品には課題が山積していることは他ならぬ山崎氏自身が指摘している通り。


──とまあ、山崎氏の記事に脊髄反射してしまったわけだが、企業年金というものの存在意義について幾つか興味深い示唆を得られたのは思わぬ収穫だった。それにしても、山崎氏がかつての顧客層を敵に回す(であろう)発言をするに至ったことは、思考が到達したのも然ることながら、そうした振る舞いに出ても潰されないだけの強固な地位を築いた証左でもある。敬服するが、羨ましくはない(汗)。



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2008/02/01

対案なき批判は単なる罵詈雑言


松浦晋也:年金、これで国を信じろと言うのか (nikkei BPnet)
一言、"怒"である。
今回の2冊を読み終えて、怒ることなく笑っていられる人は、よほどの人格者か極度の鈍感かのどちらかだ。そろそろ確定申告の時期だが、読み終えて、なおかつ気持ちよく税金を支払える人は聖人君子か、または認知症が始まっているかのどちらかである。
(2008/1/30 SAFETY JAPAN 書評)

宇宙開発に造詣の深い科学ジャーナリストによる記事(正確には長妻昭著「消えた年金を追って」および岩瀬達哉著「年金大崩壊」の書評)だが、伝わってくるのは「政府も社会保険庁もケシカラン、年金制度なんて潰してしまえ!」という素朴な怒りのみ。長妻氏や岩瀬氏が既に掘り起こした内容をオウム返しするだけで、年金制度のあり方について何の示唆も得られない。締めくくりも「選挙に行こう」程度のしょーもない提言。

社会保険庁のこれまでのデタラメぶりは批判されてしかるべきだし、それに対する筆者の怒りは至極ご尤もだが、いくら書評とはいえ、こんな中身のない文章をプロの名を冠してよくも臆面もなくupできたものだ。今回の2冊を読み終えて怒りに猛るだけとは、ジャーナリストとしては致命的な鈍感さである(汗)。



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2007/12/25

NHK「日本の、これから」に出演


日本の、これから 〜 どうなってしまうの? わたしの年金
◆2007年12月22日(土) 19:30〜22:29
5000万件の“宙に浮いた”加入記録の問題や、社会保険庁職員による横領問題など、年金制度への信頼が、かつてないほど揺らいでいます。少子高齢化が進む中で、今後、現役世代の負担はさらに増える一方、受け取る年金の水準は低くなっていきます。年金の“空洞化”も問題になっています。国民年金の保険料の未納率は33.7%に達しています。
どうすれば、安心で信頼できる年金制度をつくることができるのでしょうか。 今年最後の「日本の、これから」は、"年金"について、一般視聴者や有識者の皆さんをお招きして、徹底的に討論します。
(番組ホームページより引用)

実は当BLOG管理人も一般視聴者として出演していた次第。もっとも、発言機会は前半1回だけで、その後はちっとも当ててもらえなかった。やはり前半での発言内容が問題視されたか・・・(汗)
それにしても、設問が両極端に過ぎるので、見識のある者が考えあぐねているうちに、威勢の良い連中が好き勝手言いはじめて、気が付くと議論がしょーもない方向に流れがちであった(特に後半)。事前取材の段階で「これは良い意見だから是非言って欲しい」という論点を2つ用意していたが、これも結局披露できず。滅多にない経験をさせてもらったものの、いささか消化不良であった。企業年金ブログの管理人ふぜいが公的年金を語るのは畑違いだったか(汗)。



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2007/12/01

自己責任原則の敗北を意味するDCの「自動化」


前回に引き続き、日経ビジネス2007年11月12日号の附録「変わる企業年金」を教材にした記事の検証を行うこととする。

最後に言及する記事は、大川洋三東北福祉大学特任教授による米国401k制度のレポート。2006年の年金保護法の制定により、401kでは、@従業員が非加入を選択しない限り強制的に加入させる「加入の自動化」、A加入者が拠出率を設定しない限り強制的に一定上限まで掛金を引上げる「拠出の自動化」、B自動加入した者が運用商品の選定をしない限り強制的にバランス型投信等を選定する「運用の自動化」などの措置が講じられたことは、当BLOGでも何回か取り上げた(ココとかココとか)。
大川教授は、こうした米国の動向に何ら疑問を投げかけることなく、嬉々として「これぞ確定拠出年金の進化した姿。It's Cool!」とばかりに舶来礼賛思考ぶりを晒している。だがちょっと待ってほしい(by朝日新聞社説)。401kがわが国に紹介された90年代後半当時、401kはどのように喧伝・賛美されていただろうか。曰く、

 「自分の手で自分の未来を設計する」
 「加入者に選択肢や権限を与える」
 「米国では投資教育が小学校から根付いている」


──06年の制度改正は、これらの賛美がみーんな嘘っぱちだったことを白日の下に晒したわけだ。まあ考えてみれば、アメリカ人とて同じ人間。皆が皆投資知識に詳しいわけではない。かのエンロンの社員ですら401kで自社株一点買いしてたわけだし。今回の401kプランの制度改正が示唆するもの、それは自己責任原則の敗北である。

それにしても噴飯モノなのは、執筆者の大川特任教授。自動加入やファンドの自動選定などの措置を「より簡便に適切な投資機会の普及が図られた」と賞賛しているが、逆に加入者からは"選択する機会"を奪っているやんけ。挙句に、さんざん「自動化マンセー!」を唱えておきながら、最後は「自立意識を醸成し、自らの手でつくり上げたライフプランをもとに、自分の老後を確立していく風土づくりが急がれる」だと。もはや正気の沙汰ではない。欧米信奉者、マーケット信奉者にありがちな単細胞ぶりを見事に体現化した、ツッコミ所満載の記事であった。これでは"特任"教授の肩書きが泣くぞ(汗)。


<シリーズ:日経ビジネス別冊>
The企業年金BLOG(2007/11/29): リスク分散に逆行する「公的年金のDC化」
The企業年金BLOG(2007/11/26): いまさら「会計基準」「適年廃止」でDC化が加速ですか(苦笑)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/11/17): DC運用は「自己責任」から「委託責任」へ?
The企業年金BLOG(2006/11/14): 『米国人は投資上手』なんて幻想?



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2007/11/29

リスク分散に逆行する「公的年金のDC化」


前回に引き続き、日経ビジネス2007年11月12日号の附録「変わる企業年金」を教材にした記事の検証を行うこととする。

今回取り扱う記事は、内閣府大臣政務官(経済財政政策・金融・再チャレンジ担当)の田村耕太郎参議院議員へのインタビュー。元証券マンにして国内外でMBAやら経済学修士を取りまくりな御仁なだけに、マーケット信奉者としての発言を期待されての人選と思われる。記事自体は、「金融市場の活性化のためにも確定拠出年金(DC)の普及は必須」といういつものパターンで、特段目新しさは無かった。田村議員の「公的年金もDCで良くね?」「投資教育を義務教育に組み込むぞ!」などの発言の数々は、編集部の期待に違わぬ好演ぶりであった(笑)。

ところで、前述の「公的年金もDCで良くね?」という発言、田村議員に限らず、経済学者と称する連中がしばし主張するところ。金融商品の購入が進めば、金融市場が活性化して万々歳! という程度の浅薄な発想だが、投資理論をかじったことのある向きならば、この主張には違和感を感じるはず。年金と一口に言っても、公的年金は高所得者から低所得者への所得再配分、私的年金は自分のための利殖と、それぞれ性格は大きく異なる。これらを統一しろというのは、株式投資でいえば特定銘柄に集中投資せよと言ってるのと同じで、リスク分散の観点からは到底容認されるものではない。投資教育では「異なるリスク特性の資産に分散投資せよ」と言いながら、こと年金制度となると「公的年金も企業年金も全てDCにしてリスク特性を同一化せよ」と真顔で主張するダブルスタンダードな輩には、もういっぺん学部から経済学を学び直せとだけ忠告しておこう。


<シリーズ:日経ビジネス別冊>
The企業年金BLOG(2007/12/1): 自己責任原則の敗北を意味するDCの「自動化」
The企業年金BLOG(2007/11/26): いまさら「会計基準」「適年廃止」でDC化が加速ですか(苦笑)



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2007/11/26

いまさら「会計基準」「適年廃止」でDC化が加速ですか(苦笑)


「日経ビジネス」といえば、「東洋経済」「エコノミスト」「ダイヤモンド」と並ぶ4大ビジネス誌の一角だが、附録として半年に一度発行される企業年金特集号「変わる企業年金」をご存知だろうか。別冊といってもパンフレット程度の厚さだが、半分は金融機関の広告、残り半分は確定拠出年金(DC)の提灯記事というまさに森林資源の無駄遣い。去る11月12日号の附録として刊行された最新版も、期待に違わぬ能天気さ&ご都合主義な内容のオンパレード。あまりにも反面教師に最適な教材なので、本日より3回にわたって晒し上げ取り上げることとする。

まず最初は、「公的年金改革」「国際会計基準」「適年廃止」によってDC化がますます加速するという希望観測記事。「公的年金は今後スリム化が避けられないから、今後は私的年金が補完すべし」とは良く用いられるフレーズだが、当BLOG管理人はかねてよりこの前提はおかしいと感じている。そもそも公的年金への拠出すら余裕が無いという状況下で、果たして私的年金への拠出は可能なのかね? 懐が苦しい時は、支払先が公的年金だろうが私的年金だろうが、無い袖は振れないけどね。
「国際会計基準」「適年廃止」に至っては、5年前ならともかく、現在ではインパクトどころか既に"織り込み済み"な感が強い。会計基準そのものが導入された2000年に比べたら、即時認識への変更なぞ可愛いものよ。有識者(ニッセイ基礎研の臼杵氏)を担ぎ出してまで警鐘を鳴らすべき事項とは思えない。つうか臼杵氏ももう少し仕事を選べよな(毒)。
あげくに、公的年金もDBもダメダメだけど、DCは自己変革しながら成長するから大丈夫(苦笑)なんだそうな。DCの自己変革&成長の事例として、スウェーデンのNDC(みなし拠出建て公的年金)やオランダのCDC(集団型DC)の例を挙げているが、NDCの個人勘定はあくまでも概念上のものであり実際の運営は賦課方式のままである。オランダのCDCは、会計基準の適用を免れるための苦肉の措置として編み出された経緯があり、実はCDCこそ国際会計基準の動向如何では制度が衰退する危険性を孕んでいる。

この通り、初っ端から「生半可な知識」と「我田引水な自論」のオンパレード。附録だからって書き流しているだけなら良いのだが(いや良くない)。
(次回に続く)


<シリーズ:日経ビジネス別冊>
The企業年金BLOG(2007/12/1): 自己責任原則の敗北を意味するDCの「自動化」
The企業年金BLOG(2007/11/29): リスク分散に逆行する「公的年金のDC化」



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2007/11/24

あのPマークがブラウン管に


企業年金連合会 テレビCM

 pfa_cm

先日の朝、出勤準備がてらテレビを観ていたら、どこかで見たことのあるマークが。国民年金基金集客してナンボなだけにCM打ちまくりだが、まさか企業年金連合会のあのPマークをブラウン管で拝む日が来るとは・・・。まあ、やれる事は何でもやろうという意欲の現れと好意的に解釈することとしよう。



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2007/09/24

抜本改革に過度の期待を寄せる楽観主義者たち


当BLOGは、冒頭にも掲げている通りオススメ書籍を淡々と紹介することを主たる目的としており、読むに値しないクズ本には一切関わらないことを原則としている(amazonのレビューではボロクソに言及する場合もあるが)。しかし、このたび余りにもお粗末な書籍を手にしてしまい、またそれがわが国の社会保障制度抜本改革論者の問題点を具現化した一冊だったので、敢えてその禁を破ることとする。

問題の書籍は、旧大蔵省出身の大学教授が提唱する社会保障の財政改革論。初っ端から「皆保険・皆年金の幻想を捨てよ!」「社会保障制度にもパラダイムシフトを!」と掛け声だけは勇ましい。さてどんなに抜本的な改革案を提示してくれるのかと思いきや、これが全くの期待ハズレ。結局出て来たのは、「少子高齢化で財源が厳しいから、全て廃止・民営化しちゃえ」という単なる歳出カット路線。現行の社会保障制度に対して「理念がない」「旧来のパラダイムに拘っている」とさんざん批判している割には、著者の歳出カット論こそ旧来の財政パラダイムに拘泥している上に、著者の社会保障に関する理念が微塵も覗えない。この馬鹿らしさを経営コンサルタントに置き換えると、「ビジネスリスクを抑えたい」という顧客に対して「とっとと会社を畳んじまえ」とアドバイスするようなもの。
また、現行制度を廃止・民営化した際の悪影響に関する考察が皆無なのは、学者としてはお粗末極まりない。著者は2004年年金改正のスローガン「100年安心」を無い物ねだり(wishful thinking)と皮肉っていたが(←これには当BLOG管理人も同意)、何のことはない、「抜本改革すれば全てが上手くいく」という著者の主張もまたwishful thinkingに過ぎない。民営化や個人勘定化が必ずしも上手く機能しないことは、米国の民間医療保険の惨状401kプランの現状を見れば一目瞭然なのだが。

とまあツッコミ所満載の本書だが、巻末の参考資料の論文「年金財政の危機と確定拠出型年金の導入について」は、企業年金制度の歩みと確定拠出年金制度の検討経緯がつぶさに記されている資料的価値の高い力作。本書では抄録のみの掲載だが、財務総合政策研究所(PRI)のWebサイトに全文掲載されているので、こちらを参照されたし。それにしても、このペーパーで行ったような緻密な下調べを何故本論において行わなかったのか、理解に苦しむ(汗)。

思うに、社会保障制度の立て直しには特効薬など存在しない。現実的な妥協点を探りつつパッチワーク的に対処するのが、遠回りなようで実は近道ではないか。要はダイエットと同じ。社会保障の抜本改革を声高に唱える連中と、新手のダイエット手法に見境なく飛びつく輩が重なって見えるのは気のせいだろうか(汗)。



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2007/08/25

どんだけぇ〜!? at 企業年金


 
積立不足が解消したからって懲りずにまた不動産投資ですって」

ikko.jpg「どんだけぇ〜!?」


しょーもない年金記録システムを作った会社に今度は記録照合を委託ですって」

ikko.jpg「どんだけぇ〜!?」


「悪いのは昔のお偉方なのに責任取らされるのは現役幹部ですって」

ikko.jpg「どんだけぇ〜!?」


公的年金タスクフォースが頓挫したくせに時流に乗って年金批判ですって」

ikko.jpg「どんだけぇ〜!?」


年金履歴の虚偽申請を奨励したのに、大手マスコミは総スルーですって」

ikko.jpg「どんだけぇ〜!?」


確定拠出年金(DC)大好き新聞社の企業年金制度は厚生年金基金ですって」

ikko.jpg「どんだけぇ〜!?」

    ・
    ・
    ・
(以上、意味なしオチなし)


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2007/2/27): 欧米か! at 企業年金


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【2007.8.26追記】
「上記の大半は企業年金じゃなくて公的年金ネタじゃないかですって」


ikko.jpg「どんだけぇ〜!?」



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2007/06/12

他者を嘲笑う前に、我が身を省みては


木村剛氏といえばもはや説明不要の著名金融コンサルタント。3年前の公的年金改正の議論が高まった時期には独自の年金制度分析チームを立ち上げるなど一時期は年金改革に熱意を持っていた御仁だけに、約2年ぶりに年金問題についてコメントし出したと聞いて興味津々。金融コンサルタントらしい考察が見られるかと期待したのだが・・・

[ゴーログ]年金:再び「年金脱退論」を唱える!
(前略)皆さん、こんにちは。木村剛です。それにしても、社会保険庁はヒドイお役所ですねぇ。私はこの際、緑資源機構と同じように、完全に解体すべきだと思います。
「えっ、社会保険庁を解体したら、私たちの年金はどうなるの?」と心配される方は多いのではないか、と思いますが、じつは私、前々から「年金脱退論」を主張し続けてきました。みんなが公的年金から脱退すれば、社会保険庁も要らなくなります。(後略)

・・・もうね、ツッコむ気力すら失せますな(汗)

他のエントリ(ココとかコレとか)を見ても、混乱を極めている現場を大所高所から面白可笑しくコキおろしているだけで、そこには、事態収拾に寄与しようという意思や、金融コンサルタントとしての知慮や知見は微塵も感じられない。

そもそも木村氏は、年金について偉そうに講釈垂れる前に、かつて自身が華々しく打ち上げておきながらその後すっかり廃屋状態の「公的年金タスクフォース」(←注:既に閉鎖)について未だ釈明すらしていない。せめて中間報告もしくはギブアップ宣言ぐらい表明したらどうだ。このまま自身の不作為を棚に上げているようでは、事務完遂能力の低さは木村氏も社会保険庁も五十歩百歩と揶揄されても致し方あるまい。



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2007/05/06

憶測・伝聞に群がる情報サービス会社


ファンドに群がる厚生年金基金 (TOKEI News)
東芝企業年金基金運用担当課長、富士通厚生年金基金常務理事、ブリヂストン厚生年金基金常務理事・運用執行理事、紀文厚生年金基金理事長、山崎製パン企業年金基金常務理事・運用執行理事、三菱商事企業年金シニアマネージャー、プロミス厚生年金基金常務理事、ライオン企業年金基金常務理事、TDK企業年金基金常務理事・理事長、イトーヨーカ堂グループ厚生年金基金運用担当マネージャー、明治乳業厚生年金基金常務理事・理事長、三井物産連合厚生年金基金理事長・常務理事・事務長、カシオ計算機企業年金資金部長、あいおい損保厚生年金基金事務長など合計60名程が出席した新春セミナーが、1月10日東京プリンスホテルで開催された。

冒頭に年金基金の名前が連々と列挙されているのでつい目に留まってしまった上記の記事だが、読んでみると、一昔前の伝聞を繋いだだけのお粗末そのものな内容だった。概要をまとめると以下の通り。

1.タワー投資顧問清原達郎氏が2005年に長者番付トップとなった事で有名)がセミナーを開催
     ↓
2.そこでとある有望銘柄の買いを推奨
     ↓
3.その有望銘柄がSECの家宅捜索を受けて株価急落
     ↓
4.ところで厚生年金基金の役員って天下りばかりだよね
     ↓
5.天下り幹部は損失の責任も取らずにいい気なもんだ


まず、セミナーに出席した=問題銘柄を保有したという決め付けがイタい。金融機関のセミナーなんて宣伝&ポジショントークの嵐なんだから、それをいちいち真に受けて資産をつぎ込むほど関係者は暇じゃないのよ(汗)。
また、厚生年金基金=天下りという指摘も、業界団体が中心の総合型基金ならともかく、一企業および系列企業で構成される単独型連合型基金にとっては現在ではほぼ無縁な話(かつては学識経験監事なる制度もあったが)。本記事の冒頭に掲げられているのはいずれも単独・連合型基金ばかりで、この顔ぶれを以って天下り云々を語るのは、中日時代の成績だけでブライアントを語るようなもの、もしくは、横綱昇進後の成績だけで隆の里を語るようなものである。

本記事の発信元は企業の倒産・信用情報を扱っているようだが、こんなトンチキ記事を「警鐘」と銘打って恥じないようでは、この企業が提供する情報サービスの程度が知れるというもの(汗)。



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2007/04/16

審議会資料読みこなし術


官公庁の審議会・研究会の資料は、当該行政に関する政策方針や動向を窺う上で貴重な情報源であることは論を待たない。一昔前は、審議会等の開催日翌日にこれら資料の収集に霞が関を徘徊したものだが、近年はインターネットの環境が整ったこともあり、資料・レジュメは開催日の数日後、議事録もおおむね1ヶ月後には開示されるようになった。便利な時代になったものだ(遠い目)。
ところで、そんな貴重な情報源である審議会資料だが、情報量の多さも然ることながら有識者向けだけあって難解な表記も多く、全てを一気に読み通すのはかなり骨が折れる。そんな、もっとサラッと資料の概要をかい摘みたいという向きには、ズバリ以下の手法をオススメしたい。

 1.議事録内の資料説明部分を誰かに読んで貰う
 2.それを聞きながら資料に目を通す


つまり、上記1.の読み手には役所の担当課長になりきってもらい、2.の聞き手は審議会委員の如く説明に耳を傾けるという手法。一見バカらしいが、これが意外と効果テキメン。実際の審議会でも、役所サイドは資料の全てを隅から隅まで一字一句説明している訳ではなく、ポイントとなる箇所を重点的に説明しておりその様子は議事録にキチンと収められている。議事録のアップデートは資料等に比べると時間がかかるのがネックだが、これを活用しない手はない。当BLOG管理人は、これを審議会再現方式と命名しよう──と偉そうにほざいているが、実はこれ、先週末に大学院のゼミで実践したもの。ええ請け売りですとも(開き直り)。なお、審議会の議事録は大抵テキストファイルで公開されているので、テキスト読み上げソフトを用いるのも由。


<年金業界ウォッチャー御用達の審議会等>
○社会保障審議会
 ・年金部会
 ・年金数理部会
 ・年金部会経済前提専門委員会
○労働政策審議会
 ・勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会
○その他(検討会、研究会等)
 ・企業年金研究会
 ・確定拠出年金連絡会議



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2007/03/27

兵(つはもの)どもが夢のあと 年金編


栄枯盛衰は世の理(ことわり)。年金業界においてもまた然り。そんな、かつて威容を誇った兵(つはもの)どもの在りし日の様を、年度末のこの時期にこそ回顧せんとす。


日本マンパワー「年金コンサルタント養成講座」

日本マンパワーと言えば、社労士受験予備校の老舗であると同時に、合格後の有資格者向けの開業者・実務講座もまた講評を博していた。とりわけ「年金コンサルタント養成講座」は、資格称号を商標登録するほどの力の入れよう。テキストも微に入り細に入る充実の内容なだけに、当BLOG管理人もゆくゆくは受講しようと画策していたのだが・・・
ところが、日本マンパワーは伝統ある社労士通学講座を休止(通信は継続)、その煽りを受けたのか、年金コンサルタント養成講座も2007年度より敢えなく休止の憂き目に(涙)。嗚呼後悔先に立たず。時のうつるまで泪を落し侍(はべ)りぬ。_| ̄|●

  いつまでも あると思うな 親と講座 (字余り)


退職金太郎

「退職給付改革を中立的に支援する双方向のビジネスプラットフォーム」というフレコミのもと、(財)社会経済生産性本部が2005年10月に開設した企業年金・退職金改革サイト。翌06年2月には虎ノ門パストラルで開設記念シンポジュウムを開催したことは当BLOGでも取り上げたが、その後の活動は風の便りにも聞こえず(汗)。絶賛執筆中である筈の年金コンサルタントリレーエッセイは05年10月(つまりサイト開設時)から更新されずじまい。また、サイト随所に表示されている「ただいま準備中です」の文字が寂寥感を一層際立たせている。サイト運営元の「生産性」の3文字はもはや頽廃空虚の叢か。

  夏草や 金太郎(キンタロ)どもが 夢のあと


公的年金タスクフォース (←注:既に閉鎖)

そもそもの発端は、かの木村剛氏が自身のBLOGで公的年金の2004年改正に異を唱えたことから始まった。ちょうどブログが脚光を浴びはじめた頃と時期が重なったこともあり、木村氏を発起人に一般市民のブロガーが終結、一部の学者や国会議員を巻き込んで発足したのが件の「公的年金タスクフォース」。
烏合の衆と侮るなかれ、噂が噂を呼び、トラバがトラバを呼び、新聞記事にも取り上げられ、ついには厚生労働省への情報開示請求、年金局数理課とのミーティングにまで漕ぎつけたのだから大したもの。まさに、設立から絶頂まで一気に駆け上がった新興プロレス団体(例えるなら第一次UWFか)のムーブメントを髣髴とさせた。「ブログによる情報発信」「新たな社会参加のモデル」──これらの謳い文句が単なる美辞麗句や絵空事ではなく、まさに手に届かんばかりの現実味を帯びていた。
ところがその勢いもいつの間にやら沈静化。フェードアウトぶりまでプロレスばりとは予想外。メンバーと思しき者のブログを拝見しても、2005年夏頃を最後に、年金のネの字にも触れていない。肝心の木村氏も、今や年金への興味はすっかり失せた模様(汗)。せめてこれまでの検討経緯を俯瞰せんとするも、公式BLOGはとっくに閉鎖。現在ではトラックバック・ピープル(TBP)のみが、かつての栄耀を現世に伝えている。暫時千歳の記念とはなれり、か。

  五月雨の 降り残してや TBP



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posted by tonny_管理人 at 19:17 | Comment(2) | TrackBack(0)
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