加入時年金現価積立方式 (initial funding method)
準備時期 : 加入(入社)時
準備形態 : 一括払い
準備方法 : 掛金+運用収益
加入時年金現価積立方式は「加入時積立方式」とも言い、「年金給付に要する費用を、その者が制度に加入した時に一括で積み立てる」仕組みである。前回説明した退職時年金現価積立方式は掛金を退職時に一括払いする方式だが、加入時年金現価積立方式の掛金を入社から退職まで予定利率で複利運用すると、退職時年金現価積立方式の掛金と一致する。つまり、両者の掛金の差は入社から定年までの運用収益の差であり、両者は対をなす財政方式であると言える。
加入時年金現価積立方式では、給付原資を加入時に一括積立するため、年金受給者だけでなく在職中の加入者についても資金的裏付けを有することとなる。また、年金原資を加入時から退職時まで長期にわたり運用することとなるため、あらゆる積立方式の中で運用収益に依存する割合が最も高い(完全積立方式よりは小さいが)。
しかし、入社したばかりで即戦力でもない新入社員のために定年退職金に準ずる規模の支度金を用立てる気前の良い企業は皆無であろう。また、これは退職時年金現価積立方式にも言えることだが、掛金の一括払いは分割払いに比べて資金準備の負担が大きいほか、損金算入を過大に認めると企業の節税手段と化す恐れがあるため税制上優遇されることはない。以上の点から、加入時年金現価積立方式が現実の年金制度で採用される可能性は極めて薄い。
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