2015年05月27日

企業年金の概況(2015年3月末)

毎年5月下旬に公表される「企業年金の受託概況」が、今年も信託協会生保協会JA全共連の連名によりリリースされた。

 ◆企業年金(確定給付型)の受託概況(平成27年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
  ■JA全共連のリリース
 (注)上記3つのリリースはいずれも同じ内容。

上記によると、2015年3月末における企業年金(確定給付型)の受託概況は、厚生年金基金が基金数444件(前年度比▲87件)、加入員数363万人(前年度比▲55万人)、資産残高は31兆2,882(前年度比+3,581億円)となった。2014年4月より施行された改正厚生年金保険法(正式名称:公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律)を受け、じつに87もの基金が解散・代行返上したにもかかわらず、資産残高はむしろ微増している。
一方、確定給付企業年金(DB)は、制度数13,884件(前年度比▲394件)、加入者数782万人(前年度比▲6万人)と、3年連続で制度数・加入者数が減少という結果となった。資産残高は58兆4,636億円(前年度比+4兆8,515億円)と依然増加基調にあるが、これを「資産運用の効率化を企図した制度の集約」とみるか、「企業のDB離れ」とみるか、判断は分かれよう。

なお、運営管理機関連絡協議会、信託協会および生命保険協会の連名で同時に公表された「確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成27年3月末現在)」によると、2015年3月末時点における確定拠出年金(DC企業型)の状況は、規約数4,572件(前年度比+191件)、資産額7兆4,871億円(前年度比+1兆3,132億円)、加入者数507万人(前年度比+41万人)であった。DCは普及が依然として右肩上がりだが、前述のDBの減少分を吸収しているとまでは言えない。

 ◆確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成27年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
 (注)上記2つのリリースはいずれも同じ内容。

なお、現在国会提出されている「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」では、個人型DCの加入対象の拡大等が大きな柱となっている。数年後には、個人型DCの統計概況なんてものも公表されるようになるかもしれない。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2014/5/27): 企業年金の受託概況(2014年3月末)
The企業年金BLOG(2013/5/27): 企業年金の受託概況(2013年3月末)



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2015年04月30日

厚生年金基金の実質的廃止措置の施行から早1年

厚生年金基金制度の実質的廃止措置を盛り込んだ改正厚生年金保険法(正式名称:公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律)が2014年4月に施行されて早1年。その間、厚生年金基金はどのような選択(存続or廃止or他制度への移行)を行ってきたのだろうか? 改正法施行後の厚生年金基金の解散・代行返上の状況については、実は、厚生労働省ホームページでひっそりと公表(月次更新)されている。

まず、厚生年金基金の解散・代行返上数は、以下の通り。
◆解散・代行返上の状況(2014年度)
 20150430kaisan
2014年度に解散した基金数は74件で、うち特例解散措置を利用した基金は28件と全体の4割弱に留まった。ここ数年間の資産運用環境の好転を受けて基金財政が回復し、特例解散措置の利用条件である「代行割れ」状態を脱した基金が増加したことが要因と考えられる。

次に、解散方針または代行返上方針の決定状況は、以下の通り。
◆解散または代行返上の方針内諾済基金数(2014年度)
 20150430houshin.jpg
施行当初(2014年4月)の段階では、解散も代行返上も選択しない「方針未定」の基金が半数を占めていたが、時間の経過とともに方針を決定する基金が増加し、2015年3月末時点では、解散方針が280件(全体の63%)、代行返上が103件(同23%)、未定が61件(14%)となっている。

改正法の施行当初は、殆どの基金が解散・清算を選択するものと目されていたが、ここにきて、代行返上を選択する基金が増加していることは特筆に値する。代行返上は全ての加入事業所が揃って確定給付企業年金(DB)へ移行することを前提としており、総合設立基金ではハードルが高いとされている。また、解散を選択した基金には、確定拠出年金への移行」を選択した基金や、「清算後にDBを新規設立」する基金も一定程度含まれている。単に制度を廃止するよりも、他制度への移行による生き残りを模索している基金関係者は思いのほか多い。
こうした基金関係者の動きを、「自身の雇用(既得権益)を守るための私利私欲」とみるか「中小企業の老後所得保障を守るための使命感」とみるかは、人によって様々だろう。当BLOG管理人は、例え動機が不純であったとしても、また運用環境の好転という追い風に便乗したものであったとしても、その行為が結果的に社会に便益をもたらすのであれば、それはそれで意義があるのではないかと考える。


※参考資料
厚生年金基金の解散・代行返上の状況(厚生労働省) (pdfファイル)

<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2014/3/26): 政省令・告示・通知がようやく出たわけだが
The企業年金BLOG(2013/11/6): 歴史ある制度を葬るなら万全を期するべし!
The企業年金BLOG(2013/6/19): 厚生年金基金の改正法案が可決したわけだが



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2015年01月29日

「確定拠出年金 ベストアンサー100」


前著刊行から7年、今度は「加入者」の視点から確定拠出年金を解説!

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みずほグループによる確定拠出年金(DC)本といえば、「企業のための確定拠出年金」もなかなかの力作だったが、前著刊行から7年、今度は加入者の視点に立った解説書を著してきた。DCの直近の制度改正や市場情勢を反映しているのは勿論、従来の類書では手薄だった給付や税制に関する解説も充実しており、網羅性は高い。また、一問一答形式のレイアウトは、回答内容がベストアンサーかどうかはともかく(笑)、つまみ食い的にトピックを調べるには利便性が高い。およそDC業務に携わる業界関係者ならば、本書を手にして「わが社でもこんな本を出したかったのに・・・!」と半ば嫉妬せずにはいられないまとまりの良さ。DCに関する入門書のファーストチョイスとして、本書の地位は当面安泰であると言っても過言ではないだろうか。



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2015年01月26日

「図解 年金のしくみ」第6版

8年ぶりの待望の最新版! 公的・私的を問わない年金の入門書

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年金関係の書籍と聞くと、
 ◆定年間近の高齢者向け、1円でも多く分捕ろう! 自称「裏ワザ」本
   (→本当は裏技でも何でもなくて、きちんと法律に定められてる訳だが)
 ◆いたずらに制度不安を煽るだけの「批判だけならサルでもできる」本
   (→この手の連中が実現可能な解決策を口にする事はまず無い
 ◆専門家向けの「難解さと分厚さがステータス」本
   (→学術的な価値がある書籍も多いのだが、難しい・・・)

・・・というパターンが殆どで、一般向け、特に保険料を負担している我ら現役世代に向けて公正に書かれた書籍が皆無なのが現状である。そんな数少ない例外の一つが本書。公的年金から企業年金・個人年金まで、また、制度のしくみから財政・数理・資産運用まで、年金に関するあらゆるトピックが網羅されており、公的・私的を問わず「年金」の入門書としては掛け値なしに最高峰の一つ。本書の内容を少しでもかじっていれば、新聞や週刊誌の記事がいかに的外れであるかが実感できよう。

今回の第6版では、「社会保障・税一体改革」「平成26年公的年金の財政検証」「厚生年金基金の見直し」「日本版シュチュワーシップ・コード」等のトピックが新たに収録された一方、2012年3月を以って廃止された適格退職年金等のトピックは削除されている。このように、版によって収録されるトピックに違いがあるため、改訂版が出たからといって旧版を廃棄するような愚は犯さぬよう注意されたし。



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2014年12月04日

「説得力ある提言」のために必要なものとは

すべての国民が使える「確定拠出年金制度」を求める民間有識者会議
【新たな個人型確定拠出年金の導入に関する提言】(2014/12/1)
(中略)現役世代の資産形成を様々な立場から支援する個人の集まりである、“すべての国民が使える「確定拠出年金制度」を求める民間有識者会議”はこの制度を「より多くの人が使える、よりわかりやすい制度」へと改善し、どのような職業やライフスタイルを選択しても、長期的に、継続的に資産形成を行うことを可能とするべく、下記の通りの制度改正を提言します。(後略)

主に資産運用業界・投資信託業界の有識者で構成される「すべての国民が使える『確定拠出年金制度』を求める民間有識者会議」による確定拠出年金(DC)制度への提言。これまでのDCに係る政策提言といえば、
 ・とにかく拠出限度額引上げ(or撤廃)を主張する税制優遇クレクレ系
 ・401(k)など外国の制度を至上とする舶来礼賛「欧米か!?」系
 ・投資教育・投資アドバイスの充実で手数料稼ぎを狙う我田引水・牽強付会系

──のいずれかばかりで、耳目に堪えないものが殆どであった。

さて今回の提言だが、詳細はリンク先を見てもらうとして、興味深いのは、この手の話題で良く要望される「拠出限度額の引上げ」「中途引出し要件の緩和」等には目もくれていない点。当BLOG管理人がとりわけ興味を抱いたのは、提言の3番目。
3) わかりやすく、かつ制度への参加意欲を引き上げるため、拠出額を所得控除の対象とする非課税制度は廃止し、政府が個人の拠出額に上乗せ拠出する制度(政府マッチング拠出と呼ぶ)を新たに創設する。具体的には、政府は、個人の拠出額の15%にあたる額を上乗せして拠出するが、現状の個人型確定拠出年金ならびに企業型確定拠出年金の個人拠出分に認められている、拠出額を所得控除対象とすることを停止する。

確かに、掛金の所得控除は拠出余力が大きい富裕層ほど税制優遇の恩恵を受けるというパラドックスを抱えるため、常に「高所得者優遇」という批判が付きまとう。今回の提言は、高所得者優遇批判に対する一つの回答と言えよう。
この他にも、「全国民を加入対象とする」「拠出限度額を全国民一律とする」など、旧来の類似の提言に比べると、業界エゴととられないための配慮が格別になされているように感じる。

しかし、それだけに、提言6点目の「有価証券による運用に対してのみ適用する」という主張には、強い違和感を覚える。こんなこと書いてしまうと、
 なんだ、所詮は運用手数料目当てか (´Д` )

ととられてしまい、他の提言もろとも矮小化されるのが関の山だろうに(汗)。
「あえて預貯金で置いておく」のも立派な資産運用であり、その選択肢を奪うべきではないと当BLOG管理人は思うのだが・・・

この手の提言は、ともすると我田引水、牽強付会ととられがちだ。そうした恣意性を廃し、単なる陳情から一皮剥けた説得力のある提言を行うためには、エゴイズムを排除した「目線の高さ」が必要である。今般の民間有識者会議のメンバーの面々は、資産運用分野においては紛れもなく有識者なのだろうが、この辺の感覚と言うか、資産運用に対する有識者(殿上人)と一般人(下界)との認識のズレをきちんと踏まえないと、せっかくの提言に耳を傾けてもらえないのではないか。とはいえ、旧来の業界人による提言に比べると、格段に格調高いものとなっているのは事実。今後に期待したい。

余談だが、上記の提言を無批判に賞賛するヘッポコFPどもの数の多さをFacebookやTwitter等で見るにつけ、わが国の資産運用業界・FP業界の成熟化は道半ばであることをまざまざと感じた次第(汗)。


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2011/8/4): 年金確保支援法が成立 ─ 拡がる企業型年金と個人型年金の格差
The企業年金BLOG(2010/10/2): 2年目で早くも寂れつつある「確定拠出年金の日」
The企業年金BLOG(2010/6/3): マッチング拠出よりも個人型DCへの拠出解禁を!
The企業年金BLOG(2009/6/9): 頭を冷やす良い機会かと
The企業年金BLOG(2007/12/15): 単なる「金持ち優遇税制」要望は通用しない




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2014年09月30日

悪条件にイコールフッティング!?

中途引き出し、原則不可 企業年金改革で 厚労省方針 (時事通信)
厚生労働省は30日、社会保障審議会の企業年金部会を開き、企業年金を受け取らない代わりに一時金を受給する「中途引き出し」について、支給開始年齢に到達する前は原則として認めない方針を示した。年末に向けてさらに議論を詰め、来年の通常国会に関連法改正案を提出する方針。
企業年金の支給開始年齢については、60歳以上に統一する案を提示した。現在は確定給付年金(DB)では退職時に50歳以上であれば受け取ることができるのに対し、確定拠出年金(DC)では60歳以上となっている。
現在の企業年金制度では、DBは中途引き出しが認められている一方、DCでは認められていない。これがDCの普及を妨げる一因になっているとの指摘もあり、厚労省は制度間のイコールフッティング(条件の同一化)を図る必要があると判断した。
(2014/9/30 JIJI.COM)

本日開催された第9回社会保障審議会企業年金部会の様子を伝える上記の記事。当BLOG管理人も傍聴していたが、前回までの閉塞感漂う議論から一転して、今回は「DB・DCの両方を合わせた一つの水準を設定すべき」「DB・DCは(中略)原則として中途引き出しを認めない」など、聞いてて ( ゚д゚)ポカーン な提言が目白押しだった。
本日の議論で厚労省サイドがやたらと繰り返したのがイコールフッティング(equal footing:条件の同一化)という言葉。DB・DC間で異なる取扱いを均一にすべしとの主張なのだろうが、「DCの拠出限度額撤廃」「DCの中途引出し要件緩和」など条件の良い方に合わせろと主張するかと思いきや、まさか条件の「悪い方」に合わせるための方便に用いてくるとは・・・(汗)。さすがは、公的年金の給付水準の低下を「適正化」「スリム化」と嘯(うそぶ)く前科を持つだけのことはある。

それにしても、このようなトンチキな制度改正を強行したら、企業年金の普及どころか衰退を招くのは必至。厚労省はわが国の企業年金を保護・育成する気があるのか? ・・・と思っていたら、直近の『年金情報』(第658号)のコラムにて「厚労省は企業年金よりも公的年金が大事な"公的年金至上主義"」と指摘されていた。本日の部会の内容と照らし合わせると、あながち冗談とも言い切れないのが何ともはや(汗)。



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2014年05月27日

企業年金の概況(2014年3月末)

毎年5月下旬に公表される「企業年金の受託概況」が、今年も信託協会生保協会JA全共連の連名によりリリースされた。

 ◆企業年金(確定給付型)の受託概況(平成26年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
  ■JA全共連のリリース
 (注)上記3つのリリースはいずれも同じ内容。

上記によると、2014年3月末における企業年金(確定給付型)の受託概況は、厚生年金基金が基金数531件(前年度比▲29件)、加入員数408万人(前年度比▲18万人)、資産残高は30兆9,301億円(前年度比+2兆409億円)となった。厚生年金基金の実質的廃止を目論んだ改正厚生年金保険法(正式名称:公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律)が昨年6月に可決・成立し、29基金が解散・代行返上したにもかかわらず、資産残高は直近2年間で4兆円増加した。アベノミクスさまさまか(汗)。

一方、確定給付企業年金(DB)は、前年度は制度数・加入者数とも初めて減少したが、2014年3月末は制度数14,278件(前年度比▲398件)、加入者数788万人(前年度比▲8万人)と、2年連続で制度数・加入者数が減少という結果となった。資産残高は53兆6,121億円(前年度比+3兆5,862億円)と依然増加基調にあるが、これを「資産運用の効率化を企図した制度の集約」とみるか、「単なるDB離れ」とみるか、判断は分かれよう。

なお、一昨年から運営管理機関連絡協議会、信託協会および生命保険協会の連名で公表が始まった「確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成26年3月末現在)」では、2014年3月末時点における確定拠出年金(DC企業型)の状況は、規約数4,381件(前年度比+160件)、資産額7兆4,871億円(前年度比7,261億円)、加入者数466万人(前年度比+23万人)であった。2012年1月から解禁されたマッチング拠出はDC導入・普及の起爆剤になると喧伝されたが、こちらも期待通りとまでは行っていない模様。

 ◆確定拠出年金(企業型)の統計概況(平成26年3月末現在)
  ■信託協会のリリース
  ■生保協会のリリース
 (注)上記2つのリリースはいずれも同じ内容。


最後に、毎年恒例の感想を述べて締めくくりとしたい。
確定給付と確定拠出でプレスリリースを分けるのは無意味だ!


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2013/5/27): 企業年金の受託概況(2013年3月末)



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2014年04月02日

さらば「時事通信401kWeb」


20140402jiji401kweb.jpg

わが国における確定拠出年金(DC)専門サイトの草分け的存在であった「時事通信401kWeb」が、先月末をもって15年間の歴史に幕を閉じた。

当サイトが創設されたのは1999年。折しも、日本版401(k)の実現が本格的に検討され始めた頃であり、マスメディアによる年金情報専門サイトとしてはWeb年金情報(R&I)と双璧を成す存在として注目された。当BLOG管理人が実際にログインして利用するようになったのはここ2・3年だが、ログインせずともニュースヘッドラインを追うだけでも業界動向が把握できる優れモノで、まさに貴重な情報源の一つであった。
しかし、確定拠出年金の普及が想定通りとまでは行かなかったのか、はてまた高額な利用料金がネックとなったのかは定かではないが、いずれにせよサービス終了と相成った次第である。いちユーザーとしては甚だ残念な結末ではあったが、逆風吹きすさぶ企業年金業界の現状を鑑みるに、複雑な心境ではある。



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2014年03月31日

2014年度の企業年金の予定利率

厚生労働省は本日3月31日、厚生年金基金および確定給付企業年金の財政検証に用いる2014年度の利率を告示した(厚生労働省告示第167〜169号、年企発第0331第1号)。継続基準に用いる予定利率の下限は0.7%非継続基準に用いる利率は2.00%となり、予定利率が自由化された1997年以降では史上最低の水準となった。当該利率の根拠となる国債の応募者平均利回りは、財務省Webサイトの「国債入札カレンダー」から入手できる。なお、各制度における下限予定利率の推移は以下のとおり。

◆継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.0%   ──  10年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  3.4%   ──        
 1999年  2.9%   ──        
 2000年  2.4%   ──        
 2001年  2.0%   ──        
 2002年  1.2%  1.2%  5年平均または1年平均のいずれか小さい率
 2003年  1.2%  1.2%       
 2004年  0.9%  0.9%       
 2005年  1.3%  1.3%       
 2006年  1.2%  1.2%       
 2007年  1.3%  1.3%       
 2008年  1.4%  1.4%       
 2009年  1.5%  1.5%       
 2010年  1.3%  1.3%       
 2011年  1.1%  1.1%       
 2012年  1.1%  1.1%       
 2013年  0.8%  0.8%       
 2014年  0.7%  0.7%       



非継続基準については、利率そのものは告示等で定められているものの、2003年以降は、当該利率に0.8〜1.2の調整率を乗ずることが可能となっている。非継続利率の推移は以下のとおり。

◆非継続基準の予定利率
 <年度> <厚年> <DB>   <算定根拠>
 1997年  4.75%   ──  20年国債応募者平均利回りの5年平均
 1998年  4.00%   ──  (小数点以下0.25揃え)
 1999年  3.50%   ──        
 2000年  3.00%   ──        
 2001年  2.75%   ──        
 2002年  2.50%  2.50%       
 2003年  2.23%  2.23%  (小数点以下0.25揃えを廃止)
 2004年  2.29%  2.29%  30年国債応募者平均利回りの5年平均
 2005年  2.20%  2.20%       
 2006年  2.17%  2.17%       
 2007年  2.20%  2.20%       
 2008年  2.27%  2.27%       
 2009年  2.44%  2.44%       
 2010年  2.38%  2.38%       
 2011年  2.32%  2.32%       
 2012年  2.24%  2.24%       
 2013年  2.13%  2.13%       
 2014年  2.00%  2.00%       



※参考資料
企業年金制度における各利率の設定基準(日本年金数理人会) (pdfファイル)
◆10年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 keizoku-rate2014.jpg
◆20年・30年国債応募者平均利回り (当BLOG作成)
 hikeizoku-rate2014.jpg


<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2013/3/21): 2013年度の企業年金の予定利率
The企業年金BLOG(2007/3/16): 企業年金の予定利率の算出根拠とは



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2014年03月27日

年金数理人になるための要件が密かに緩和

仕事のため今週公布・発出された法令・通達につぶさに目を通していたところ、年金数理人に関する驚くべき改正が施されていたことに気がついた。

そもそも年金数理人に関する要件は、厚生年金基金規則第76条および通知「年金数理関係書類の年金数理人による確認等について」にて規定されている。具体的には、以下の4つの要件を満たしたうえで厚生労働大臣の認定を受ける必要がある。
1. 基礎知識:公益社団法人日本アクチュアリー会の正会員であること
2. 実務経験:年金数理業務に5年以上従事した経験があること
3. 責任者たる経験:上記業務の責任者として2年以上の経験があること
4. 十分な社会的信用を有するものであること

しかし、今般の改正厚生年金保険法の制定に伴い現行の厚生年金基金規則が廃止されることとなったため、年金数理人の要件については改正後の確定給付企業年金法施行規則(86ページ左下)に移設され、以下の通り改正された。
1. 基礎知識:アクチュアリー会が実施する試験の全科目に合格したこと
         または 数理人会が実施する試験の全科目に合格したこと
2. 実務経験:年金数理業務に5年以上従事した経験があること
3. 責任者たる経験:上記業務の責任者として2年以上の経験があること
4. 十分な社会的信用を有するものであること

新たな省令では、年金数理人に必要な知識要件が、アクチュアリー会の「正会員」から「全科目に合格した者」に変更されているほか、「数理人会が実施する試験の全科目に合格した者」が新たに追加されている。数理人会の能力判定試験は2002年から実施されており、従来は全科目合格しても準会員どまりだったが、今回の改正により、数理人会の能力判定試験が年金数理人へのパスポートとして公に認知されることとなった。

また、今般発出された通知「『確定給付企業年金制度について』の一部改正について」では、上記と同等以上の知識を有するものとされるための要件として「以下の1〜5の試験全てに合格している者」と規定されており、現行のアクチュアリー資格既合格科目の免除措置が正規に制度化されることとなった。
  【アクチュアリー試験の科目】     【数理人会試験の科目】
1.  「数学」および「損保数理」  または  「基礎数理T」
2.  「生保数理」          または  「基礎数理U」
3.  「年金数理」          または  「年金数理」
4.  「会計・経済・投資理論」   または  「会計・経済・投資理論」
5.  「年金1」および「年金2」   または  「年金法令・制度運営」

実務経験5年以上(うち責任者として2年以上)等の要件は従来通りだが、アクチュアリー試験の「損保数理」や2次試験で足踏みしている年金アクチュアリーにとっては、今般の制度改正は朗報と言っても良いのではないだろうか。
それにしても、厚生年金基金の実質的廃止(およびそれに伴う年金数理人業務の縮小)を企図した今般の制度改正の中で、シレっと巻き返しを図るこの抜け目のなさ。どんな知恵者が暗躍したのであろうか(汗)。



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posted by tonny_管理人 at 02:04 | Comment(0) | TrackBack(0)
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